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2008年6月 9日 (月)

船のエレベーター

中国で長江を下るクルーズ船に乗ったことがある。早朝重慶を出て3泊4日で武漢までの長丁場である。その間に、鬼城という名の地獄巡り、劉備終焉の地白帝城、三峡下り、洞庭湖などのポイントがあり、三峡下り以外は船を下りて観光することとなる。

当時は悠久の大河長江という趣があったのだが、それでも、長江を開発するというプロジェクトは進行中であり、それが三峡ダムなのである。三峡ダムの完成予定は2009年だというが、完成して長江の水位が上がると、水没してしまう観光名所も出てくる。また、このプロジェクトにより、水没する町もあり、強制的に移住を余儀なくされる住民は100万人以上だともいわれる。生態系の影響も大きく、工事による水質汚染によりヨウスコウカワイルカやチョウザメの絶滅も危惧されている。

まあ、そんなものは中国の国家的プロジェクトにとっては、どうでもいいことなんだろう。完成すれば、世界最大の水力発電所となり、中国の電力消費量の1割がまかなえるのだ。船に乗り込んだ中国側のダムに関する発言では、「新たな景観が見ることができる」、「小舟でしか行かれなかった小三峡まで、大型船でさかのぼることができる」、「水位が上昇し、上海からそのまま超大型船で重慶よりも奥に行くことができる」などというものであった。

当時は三峡ダムはほとんど形もなかったのだが、三峡から少し下流にある、宜昌という都市にも水力発電所を兼ねる葛州覇ダムがあった。このダムは長江のすべてをせき止めてしまうものではなく、分流も作ってあった。ただし、船舶はどうしてもこのダムを通らなくてはならず、パナマ運河と同じく閘門式の水門を持ち、水位を上下動させて、船を通過させる面白いものであった。いわば、船のエレベーターである。

Cs494

<閘門へ導かれる船>EOS1000s/28-105mmZoom/RD

我々の乗ったクルーズ船は船室が5層になったような大型船である。上の画像は船尾からのもの。さらに同じような船が続いて入ってくる。閘門もかなりの大きさで、同タイプの船が3隻は入ることができた。また、ダムの閘門もひとつではなく、3つの閘門があるという規模のダムである。

Cs497

<閉じるゲート>EOS1000s/28-105mmZoom/RD

これまた船尾からの眺め。ゲートが閉じようとしています。水位に注目。ゲート上に人が鈴なりになっているのは、ここがくっつくと、行き来ができるため。つまり、川の対岸に渡れるようになっている。

Cs500

<抜かれる水とともに沈む船>EOS1000s/28-105mmZoom/RD

ゲートが閉じられ、水が抜かれる。ちょうどダム側と同じアイレベルになったところ。壁の変色しているところが、普段の水位。

Cs501

<最も下位レベルの水位>EOS1000s/28-105mmZoom/RD

ようやく水抜き完了。このあと、この反対側のゲートが開き、下流側へ行くことができる。

と、いうことで結構貴重な体験をしました。三峡ダムが完成したら、ここはどうなってしまうのか。よくわかりませんが、三峡ダムも閘門式である可能性が高そう。

それにしても、画像の解像度低いですねえ。リバーサル特有の色も出てないし。スキャンし直したら、うまくいくかなあ。

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コメント

 ヒョウちゃん、こんにちは。なかなかダイナミックな閘門式の水路ですね。空母が通るようなパナマ運河とは較べられないでしょうが、かなりの大型船も通れそうですね。
 ところで、小規模なものなら埼玉県に見沼通船堀があって、年に1回ぐらいですが、催しでここを小さな船が通っています。芝川と見沼代用水とを結ぶ閘門式運河ですが、寛永年間、つまり18世紀前半のものだそうです。
 ここはたまたま側を通ったことがあるので見ているんですが、もちろん運河はお休み中でした(笑)。でも、数週間ずれていたらちょうどビンゴだったんですよ。

投稿: 伊 謄 | 2008年6月10日 (火) 23時57分

karaoke伊 謄さん、こんにちは。
三峡ダムと比べてしまうと小さく見えますが、やはり大きなところですよ。このあと、上陸して、発電所見学とチョウザメ研究所に行きました。
ともかく、実際通ってみて、これが閘門なんだと実感しました。
伊 謄さんがご指摘の埼玉の運河ですが、パナマ運河を調べていて、出てきました。

投稿: ヒョウちゃん | 2008年6月11日 (水) 21時11分

 さすがに、埼玉もチェック済みでしたか。
 それにしても長江の方では最大どれくらいの船が通れるんでしょうね。5000tクラスでも通れそうでしょうか。

投稿: 伊 謄 | 2008年6月12日 (木) 21時26分

karaoke伊 謄さん、こんにちは。
総トン数わかりません。
ちなみに、自分たちの乗ったのは「長江公主号」というクルーズ船で、ちょっと検索してみたら、まだ現役で運行しているようです。
長さ、100mくらいで、幅は15mくらいですか。後部甲板では、バドミントンくらいはできる広さがありました。
香港のオーシャンターミナルに接岸するとしたら、かなり小さい部類になると思いますけど、香港の尖沙咀とマカオを結ぶ港外フェリーや香港島とランタオ島を結ぶフェリーよりも間違いなく大きいです。
太平洋でも就航できるくらいだと思います。

投稿: ヒョウちゃん | 2008年6月12日 (木) 22時18分

勢いのある国はスケールが違いますね。
日本でも環境問題を言い出したのは、ここ20年くらい。
それまでは、ジャパン・アズ・ナンバーワンなんて言っていたわけだから。
旅をしてそういう国に身を投じれば、その国の感覚がわかりますよね。

投稿: HARU | 2008年6月12日 (木) 22時42分

sagittariusHARUさん、こんにちは。
実は三峡ダムを造ると、強力な圧力によって地震が引き起こされるという説もあるんです。
wikipediaには記載があるので、よろしかったらどうぞ。
ともかく、国家的プロジェクトの前には、一般大衆にはなすすべがないってことですね。

投稿: ヒョウちゃん | 2008年6月13日 (金) 21時41分

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