沢木耕太郎の足跡を追うその3~タイの列車
「沢木耕太郎の足跡を追う」シリーズ最終回。テーマはタイの列車。といっても、自分自身は使っていないのですが。
列車は一時間ほど遅れて午前三時にチュムポーンに着いた。
(中略)
プラットホームから駅の周辺を眺め渡したが、月明かりに背の高い椰子の木が照らされているばかりで、およそ商店街などと呼べるようなところはありそうもない。いったい宿屋があるのかどうかさえも覚つかない。
(沢木耕太郎「深夜特急」より引用)
<チュムポーン駅>K7/DA21
チュムポーンから最終目的地、バンコクまではバスで移動する予定だった。チュムポーンに着いて、宿を探しざっと荷物を整理して、再びバスターミナルに戻る。そこでバス便を探した。だが、2日後の昼の便はソールドアウト。仕方なく夜行バスを予約する。
2日後にはバンコクで宿を予約している。さてどうしようか。その足で駅に出向いた。翌日の夜行列車に乗ることができれば、2日後にバンコクに到着する。時刻表のバンコク行きすべてをメモに写し取り、窓口で訊ねてみたが、空席はない。
2日後の早朝発のバンコク・ノーイ(トンブリー)行き鈍行列車があった。これに乗ることができれば、相当な時間はかかるだろうが、バンコクに夜遅く着き、宿の予約が無駄にならずに済む。こちらはどうだと訊ねたが、当日来てくれと軽くあしらわれてしまった。
<プラットホーム>K7/DA21
時刻はそんなに遅くない。ちょうど夕食を食べるのに適したような時間。ホームはかなり暗いが、旅行者らしい人や物売りも行き来している。カオパットや麺などを食べさせる簡易食堂もオープンしている。ちょうど列車がやってくるところらしい。
<駅入口>K7/DA21
駅を出ると沢木耕太郎の描写の通り、椰子の木が揺れていた。このあと沢木氏は同情していたタイ人の若者たちの家に行くことになるのだが、そんな感じの家並みも見える。
結局のところ、バンコクに行く手だては、宿の近くの旅行会社を兼ねたバックパッカー宿で手配できた。2日後の早朝便である。押さえていた夜のバス便はキャンセルでき、全額が戻ってきた。ひとまず安心なのだが、何となく夜行列車の雰囲気は感じることができた。
疲れていたのだろう。ハジャイ行きの列車に乗り込むとすぐに眠り込み、眼を覚ますとハジャイの駅に着く十分前だった。
(中略)
朝六時。さすがにハジャイはチュムポーンやスラタニーより大きな町だった。しかし、まだバスは動いてないという。
(沢木耕太郎「深夜特急」より引用)
<ハジャイ駅>K7/DA21
ハジャイに着いた時も、次の移動手段をどうしようかと思っていた。また、あまりタイバーツを持っていなかったので、とりあえず駅付近まで出てみて両替所探しとチケット探しをしようと思った。だが、外貨両替をする銀行も両替所も見つからず、見つけた旅行社もバスを扱っているようだったが、クラビやプーケットの文字は見えるものの、チュムポーンという地名が見つからなかった。
そして、駅に。この時も列車がやってくる雰囲気があった。そして、日本人に声をかけられる。北海道で農業をしているという男性だった。冬は農業ができないので、夏の間に稼いだ資金で旅をしているのだという。彼に教えられ、両替を済まし、一緒に食事をした。
ハジャイからチュムポーンもとんびさんに教えられた旅行社で手配できた。しかし、列車に乗ることはできなかった。出会った男性はこの時、駅で幸運にも夜行列車を予約できたのだという。
どうも、タイの長距離列車には縁がない。まあ、絶対数が少ないというのもある。乗ったことのある列車は、いずれも普通列車の短区間利用ばかりで、座席予約した列車というものがない。いつかは乗って、旅を楽しみたいのだが。
| 固定リンク
「911t Malay Peninsula」カテゴリの記事
- さらばバンコク、また来るぜ(2011.06.24)
- バンコクの法輪功(2011.05.28)
- 沢木耕太郎の足跡を追うその3~タイの列車(2011.04.08)
- ハジャイの屋台(2011.03.05)
- ワット・マハタート(2011.06.12)
「Vehicle」カテゴリの記事
- スターフェリー(2018.04.20)
- MRTができて便利に(2018.04.09)
- 90分待ち、ペナンヒル(2018.02.22)
- 現在のマラッカ(2018.02.10)
- マレー風チキンライス(2018.02.03)
コメント
「沢木耕太郎の足跡を追う」シリーズはこれで最終回でしたか。
深夜特急ネタはアジアにはまだまだありますね。
次回もよろしくお願いします。
といっても急速な発展をしてるアジアですから、足跡はだんだん見えなくなってくるかもしれませんね。
投稿: スクムビット | 2011年4月 9日 (土) 21時25分
深夜特急ですと、アジアでは香港とマカオなんてのが探しやすそうです。
カジノのリスボアはあるし、ベラビスタホテルも健在だろうし、張君につれられて入った陸羽茶室もあります。
インドならばブッダガヤの日本寺とか、いろいろ感じることもできそうです。
このうち、いくつかは訪れていますが、当時はそんなに沢木耕太郎の深夜特急を頭に入れて旅していたわけではありません。読んではいましたけど。
この旅とは別に、続編のレポートを揚げても良さそうですね。
スクムビットさんが、インドあたりに出かけていって、レポートしてくれるというのもありだと思いますが。
投稿: ヒョウちゃん | 2011年4月10日 (日) 00時51分