Happy Birthday, Moto Lion.
かすてら音楽夜話Vol.7
今夜は、ミャンマーから遠く離れて久々音楽話である。タイトルのMoto Lionとは、わかる人はわかると思うが、佐野元春のこと。本日は佐野元春の51回目の誕生日なのである。おめでとうございます。
元春の日本のロックシーンへの登場は1980年。すでに27年前。それまでは、大学を卒業し広告代理店に勤めていたサラリーマンである。ところが、このサラリーマンは中学時代からソングライティングを始め、高校生ですでに11人編成のバンドを結成し、ポプコンにも応募、入賞するという活躍をしていた。ある時プロからの誘いがあったらしいが、オリジナル曲があまりにも自分のイメージと異なるアレンジをされ、デビューコンセプトまでを業界人に勝手にいじくられてしまうのに嫌気がさしてしまったらしい。
それが24歳での遅いデビューとなったのは、広告代理店時代にロスで売れないミュージシャンがあくまで自分の道を貫いているのに触発されたためである。そこで、一念発起し、デモテープを作り、それが新興会社エピック・ソニー(当時)のディレクターの目にとまったのだ。
だがデビューしても曲が売れない。活動の場として与えられたのが、横浜のサンドイッチ店。ここでライヴを行っていたものの、階上の産婦人科からたびたびのクレーム。かろうじて、TVK「ファイティング80」でレギュラーを持ったが、メインの宇崎竜童などからは「音程が取れない」などとさんざんであった。
これじゃいけないと、バンドメンバーの選定からやり直し、バンドマスターにお願いしたのが、伊藤銀次であった。当時銀次は他のバンドを掛け持ちしていたが、銀次も元春の曲やパワーに惹かれ、OKする。
そんな中で製作されたのが、『Heart Beat』。だが、これまた売れない。だが、バンドはどこにでも出かけていくようになり、場数を踏み、銀次をはじめ、キーボードの西本明、ベースの小野田清文、ドラムの古田たかしなどメンバーがパーマネント化することにより、一体感が出てくる。やがてバンドは新宿ルイードに出演するようになる。
一方、チャート上は爆発的ヒットは現れなかったものの、そのパフォーマンス機関銃のような言葉とビート、親しみやすいメロディなどが確実にファンを生んでいった。
そして、これでだめだったらやめようとの覚悟で製作されたのが、3作目の『Someday』である。
このアルバムの頃から、バンドはツアーを開始。いよいよ火がつく。ファンも増え、シングルもようやくチャートに登ってくるようになる。このアルバムと前後するように、大滝詠一と杉真理とのコラボレーション、ナイアガラトライアングルVol.2での露出度とも相まって、ここにブレイクを果たしたのである。
上にも書いたが、佐野元春のロックは、古くさい酒・暴力・セックスなどがモチーフのものではない。また、町の不良が一人称で歌うものでもない。普通の10代~20代の目を通してストーリーテラーとなり、メロディの中にできるだけ言葉を詰め込んだこれまでにないスタイル。なのである。
これ以上書くととりとめなくなってしまう。とにかく、佐野元春はそれまでにない日本のロックスタイルを確立した。これまでに紹介してきたアルバムを聴くと、今ではそれほど斬新ではないと思えるが、当時はもの凄く画期的であった。ただ、ヴォーカルのパワーは並はずれているはず。是非聴いていただきたい。
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コメント
ヒョウちゃんさん
はじめまして。佐野元春検索でやってきました。
27年前、ラジオで「Do what you like」を聞いてからのファンです。最近コンサに行き元春の言葉と佇まいに、久しぶりに。。。んーっと、まいってます。昔もそうだったけど、他の人とは違って特別に心が落ち着かなくなるんです。いい歳なのに。。。50代になっても、たくさんの痛みを感じてる彼を見ると どうしていいか、わからない感じ。ただのファンなのに、心配でしょうがないんですよね?同じような人は居ないかブログを巡るんですが。。。
長文 失礼しました。
たくさん旅行されてるんですね。写真はプロの方?
ブルーがキレイです。
投稿: シャンティ | 2008年4月 4日 (金) 14時13分
1年も前の記事に反応していただき、ありがとうございます。
自分も、ラジオの「アンジェリーナ」に触発されて、聴くようになったんです。
ただ、お金がなかったから、最初に買ったのはシングルだったかな。その後、ぽつぽつと集めるようになってきました。
元春はイノセントな人ですよね。
テレビに出ると特異なキャラから、誤解されてしまうんですけどね。
旅ですが、これがないと行き詰まってしまうので、よく行く方です。
写真は撮っていますが、プロじゃありません。
プロだったら、もっとテーマを持って、撮るものを特定していくでしょう。
ミュージシャンを追い続けるなんてのもいいです。
投稿: ヒョウちゃん | 2008年4月 4日 (金) 22時17分
早速の返信、ありがとうございました。
今回のライブでは、「観覧車の夜」『夜空は澄み渡り 晴れやかな心に~』のフレーズが心に残りました。ヒョウちゃんさんのモロッコの写真のような風景の地で、やっと解りあえた二人が光に包まれる感じ。。。
海外は7年前にパリに行ったきりです。
最近は国内ばかりですが、台湾はよしもとばななさんに依ると、昔の素朴な日本みたいという事なので興味があります。
ただ、一人旅をしてまで行きたいか!?という事です。
一人で食事をして日本語も喋れないって辛くないですか?
投稿: シャンティ | 2008年4月 6日 (日) 02時47分
今回のツアーは、行きませんでした。
残念ですが、次に期待しようと思います。
>一人で食事をして日本語も喋れないって辛くないですか?
突き詰めてしまえば、そういうことになりますけど、それを何とも思わない人もたくさんいるってことですね。
同じように一人で海外を旅している日本人はたくさんいるわけで、その人たちが、外国語に堪能かというと、そうではないですからね。
それでも何とかなるのが、旅の面白いところで、これがわかったら、また行きたくなるってことです。
だいたい、3週間も休みを取って、モロッコまで行ってくれる友人ってそういませんよ。
投稿: ヒョウちゃん | 2008年4月 6日 (日) 17時15分