ロバのあとをついていくと…
フェズ・エル・バリを歩く。フェズ・エル・バリはモロッコで、いや、世界中の都市の中で最も複雑なラビリンスなのである。ともあれ、カラウィン・モスクまでは、ガイドブックの案内図通りに歩く。メインストリートといえども、かなりの狭さで、その中を搬入・搬出用の馬やロバが通っていく。人があふれ、通行人で渋滞する。まさか、モロッコまで来てこれほどの人いきれを感じるとは。
<メディナを闊歩する馬>MZ3/35mm/RVP F
フェズ・エル・バリのメディナではわずかに陽がさすものの、青空とは無縁。あまり暑さも感じない。馬やロバを操る男は、かけ声を出して人をどかす。ようやく、サファリーン広場に到着。一息つくが、この喧噪は収まりそうもない。広場のどこかで怒鳴り声が聞こえる。喧嘩が始まってしまったようだ。
さて、どうしようか。と、ロバが通りかかる。今まで通ったことのない路地に消えていく。よし、あのロバを追ってみようか。
<ロバのあとを追って>MZ3/35mm/RVP F
ロバの足はなかなか速い。ロバを操るおじさんは数頭引き連れているので、たまにぐずったロバに手間取る間に何とか追いつく感じである。まったくツーリスティックではないメディナの通り。先ほどの喧噪が嘘のように静かである。
<さらに追う>MZ3/35mm/RVP F
角を曲がる。おじさんとの距離が離れてしまった。だが、その間に別のロバが入った。このあたりから人影もちらほらしてくる。住宅地なんだろうか。
<メディナの少女>GRD 3:2mode
先ほどの角を曲がった頃から、並行して歩き出した少女。まるで道案内をしてもらっているようでもあった。頭上に掲げているのは、パン。おつかい帰りであろうか。彼女は、カメラを見ると「フォト」と言ったが、別に何も要求しなかった。はじめ、MZ-3で撮ったが、デジのGRDヴァージョンをアップしてみる。GRDのモニターを確認したあと、彼女は左にあるドアに微笑みながら消えた。
ただ写真を撮って欲しい。そんな人物もこのツーリスティックなフェズにも存在する。その潔さがなかなか気持ちよかった。あいにくとロバは見えなくなってしまったものの、今度は別の子供たちがつかず離れず歩き出した。
<糸紡ぎ>MZ3/35mm/RVP F
しばらく歩くと、こんな光景に出会う。狭く細い路地を利用した糸紡ぎである。初めてモロッコに来た1994年にはすべて人力で糸を寄り合わせていたのだが、現在はモーターを利用してたぐり寄せていた。手前の青年が左手にモーター付きの糸車を持っている。この時は、カメラを見せて「撮っていいかな」とジェスチュアできいてみたが、快く頷いてくれたのである。
<サボテンの実売りのおじさん>MZ3/35mm/RVP F
またしばらく歩くと、サボテンの実売りがいた。この時も身振りで写真を撮っていいかきくと、OKしてくれ、しかも皮むきのポーズまで取ってくれたのである。おじさん、買わなくてごめん。ここからすぐに、メインストリートに復帰できたことを付け加えておく。
思いつきでロバのあとをついていったのだが、おかげでいいものがたくさん撮れた。あのロバに感謝である。
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コメント
糸を壁に渡しているのを見ました。何をやっているのか分からなかったのですが、糸紡ぎだったのですね。ふーん。
私達が行った時はラマダンだったので、ふだんより外に出ている人は少なかったらしいです。それでも私はすごい人ごみだと思ったのですが。きっとヒョウちゃんのときは、もっと混んでいたのでしょうね。
投稿: マサエ。 | 2007年11月 7日 (水) 21時08分
◇マサエ。さん、こんにちは。
糸紡ぎはよく見かけますよ。
シャウエンでもよくやっていました。
さて、フェズの通り、かなり混雑していたのですが、時間帯にもよるようです。
自分が訪れたのは、10:00くらいからだったと思いますが、凄いものでした。
そのかわり、別の日でしたが、レストランで食事後に出てみたら、いくつかの門が閉ざされていて、とても閑散としていました。門は閉じていても、別の箇所から出入りできるのですが。
投稿: ヒョウちゃん | 2007年11月 7日 (水) 21時59分