中国の洗礼
ルアンナムターからさらに北上。今日はいよいよ国境を越え、雲南省に入る。ラオスと中国の出入国地点はラオス側ボーテン、中国側磨憨(モーハン)である。ルアンナムターの町中でさらにその先、勐臘(モンラー)行きのバスチケットを扱っていた。早速これをゲットする。公定料金45,000キープだが、旅行会社では55,000キープとなる。ただし、バスターミナルまで行かず、旅行会社の前でピックアップされるとのことで、トゥクトゥク代と考えれば、納得はいく。
<勐臘行きバス>GR1s/T MAX100
その後、ナイトマーケットの裏手あたりで、このバスを見つけた。IVECOの大型ワゴンといった方がいいくらいのサイズ。すでに乗客の姿はなく、メンテ中といった趣か。車体の前方と側面には、漢字で行き先が書かれ、両国の国旗も描かれている。
翌日の朝、旅行会社前で待っていると、トゥクトゥクではなくこのバスが直接横付けされたのである。荷物は後方のトランクへ。乗り込むと、見渡す限り中国人だらけ。空いた席に座り、バスは走り出す。
<車内>GR DIGITAL
内部はマイクロバス程度の広さ。左側二人掛け、右側一人掛け。空席はあとわずかといったところ。バスはところどころに止まり、中国人が徐々に増えてくる。左側の男性は成金趣味なのか、レイバンのサングラスを決して外さず、10分置きくらいにタバコを吸い出す。その吸い殻は、構わず床にポイ捨てである。前の座席の男性は、やおら窓を開けると、見事な手洟を飛ばした。その斜め前の男性は、絶えず喉を鳴らしては、痰を床に吐き続ける。まったく世界の常識が通用しないバスなのであった。マナーの悪い(彼らにとっては常識なのだと考える)のはこの3人に限ったことではなく、同じような光景が車内の至る所で繰り広げられていた。つまりは、このバスを降りるまで数分おきにこれが繰り返されるのであった。
<ボーテン>MZ-3/50mm/RVP100
バスはルアンナムターのバスターミナルに止まり、フランス人カップルとギリシア人のおじさん二人組が乗り込んだ。道はあくまでも快適だが、車内は中国の常識が支配していた。やがて、ボーテンへ。イミグレーションの手前でパスポートチェック。一部の中国人は2種類のパスポートらしきものを提示していた。二重国籍者か。
ボーテンにはこのバスだけが到着したわけではないのだが、このイミグレーションを通過する中国人の数はおびただしいものであった。これが列を作らない。我々外国人旅行者はほとんど後回しなのである。だが、無事にラオス出国となる。
この時初めてフランス人たちと言葉を交わす。フランス人は、勐臘からその日のうちに寝台バスで昆明に向かうという。一方、ギリシアのおじさんたちは中国ビザを所有してないのに、自信満々であった。今までどんな国でも最終的に何とかなったというのである。
<磨憨>MZ-3/50mm/RVP100
二国間は山道で結ばれている。我々のように国際バスなら、そのまま乗車していればよいが、その他の手段の人たちは、イミグレーションの向こうに待機しているトゥクトゥクを利用する。この山道の右側には、ラオス・中国の実際の国境線があり、そこには石碑が建てられているらしいが確認できず。ちなみに、この国境は歩いて行き来することもできるので、その場合はじっくりと確認できるはずである。
さて、バスは10分もかからず、磨憨のイミグレーションに到着。まずは、国境の係員がバスに乗り込み、パスポートをチェック後、すべての荷物を開けさせた。異常がない場合は、その脇の入国審査に行くことができる。ここでは写真を撮られるものの、たいした問題はなく、出入国カードに記入しパスポートとともに係に提示するのみ。
さて、バスに戻ると係員がいるというのに、堂々と闇両替(ラオスキープ→人民元)を持ちかける女性も。そして、ギリシアのおじさんはボーテンに戻るよう命じられていた。ただし、係員の態度はどこかの国のように横柄ではなく、親切なようでもあった。
磨憨で少し降りたので、幾分楽になる。磨憨・勐臘間には有料道があるが、なぜかバスは巧みに料金所を避けてガードレールのすきまから田舎道を走るのであった。まあ、すぐに再び有料道に復帰したのだが。
磨憨の町は国境貿易で成り立っているようで、ボーテンとはまるで違い、新しい建物が多い。ただ、磨憨を過ぎ去ると山の中に入ってしまうのだが。1時間ほどで勐臘到着。ここでも、客引きがあまた。
<勐臘>MZ-3/50mm/RVP100
この日の最終目的地、西双版納タイ族自治州の州都景洪(ジンホン)へ。国境で時計を1時間進めるが、すでに昼下がり。ここから景洪まではミニバス。39元でうち保険料が1.0元。ただし、鉄格子の入ったチケット売り場では、かなり頻繁に横入りする地元民がいるので、負けないように。
ミニバスは座席指定制。席に着くと、横は痰を吐き続けたおじさんだったし、前はレイバン野郎だった。ただし、運転席に禁煙を示す中国語が書かれていたためか、レイバン野郎はおとなしかった。車内には痰を吐き続ける音のみが…。中国のバスに乗るときには床に何が付着しているかわからないので、荷物等には気を付けた方がいい。また、車内禁煙はこのバスではきちんと守られていたが、景洪から出るバスではほとんど容認されているようであった。
勐臘・景洪間も有料道が続く。ただし、中央分離帯のない対面交通である。舗装状況はラオスの上を行く。だが、雨季であり、ところどころで土砂崩れの爪痕などは感じられた。やがてメコンを渡り、景洪へ。
<景洪>MZ-3/50mm/RVP100
ここから目指す宿まではタクシーを利用。市内は一律5.0元と安い。ここから中国での5泊6日が始まった。
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コメント
うっ、痰と手洟とタバコですかー!!。私、このバスには絶対に乗りたくないです。30分と我慢できません。
やはり日本人専用ツァーの観光バスじゃないと、無理だなー。
投稿: マサエ。 | 2008年11月 1日 (土) 15時35分
マサエ。さん、こんにちは。
20年くらい前の北京や上海もこんな状況でしたよね。
さすがに都市部の公共の場では姿を消しつつあると思いますが、手洟と痰は残っていると思いますよ。
地方、それも辺境部に行くとまだまだ健在という感じでした。
なんてバスだと思いましたが、フランス人もギリシア人もしょうがねえなあと思いつつも、他の手段がないので、乗っていたのだと思います。
手洟と痰は実はラオス北部でもかなりあるのですが、人口が希薄なので、それほど感じませんでしたよ。
投稿: ヒョウちゃん | 2008年11月 1日 (土) 16時05分