Boat On The River
かすてら音楽夜話Vol.14
カントー最終日、というかその日にはホーチミンに戻るという日、カイランまで船をチャーターした。カイランというところには水上マーケットがあるのだ。船のチャーターは実に簡単で、カントー川に面した船着き場には常に船を手配する人物がいる。頼むと、2時間170,000ドンだという。外貨にして10USドルだというが、その場で素早く計算。ドン払いの方が安い。
<船頭>MZ-3/50mm/E100VS
ということで、船上の人となる。カイランまでは片道40分くらいである。あまりいい写真が撮れていないと感じていたため、カントー川をただクルージングしているだけなのに、何回もシャッターを切ってしまう。
<スイカ船>GR1s/28mm/EBX
やがてはたまにこんな船が向かってくる。船の通行は原則的に右側通行らしく、上の写真のようなシーンは滅多にないのだ。カイランの水上マーケットまではやや退屈ともいえる。
こんな時には川の流れに身をゆだねて、小舟の浮遊感を味わうのがいいだろう。そんなときにぴったりなのが、Styxの「Boat On The River」だろうか。
スティクスは元々はプログレッシブ・ロック的なバンドで曲も10分も超えるような長大なものが多かったのだが、その音楽性が評価されるとともに、よりポップな方向に転換。そして、オリジナルのギタリストの脱退によって、トミー・ショウが加入する。
1977年の『Grand Illusion』、1979年の『Cornerstone』はともに商業的にヒットし、特に後者はビルボードアルバムチャート2位、シングルカットされた「Babe」はシングルチャート1位に登り詰める。その後も、1981年の『Paradise Theater』がアルバムチャート1位となり、この時が絶頂なのであった。
バンドの顔はキーボードでヴォーカルのデニス・デ・ヤングなのだが、人気を二分するのが、前述のトミー・ショウ。バンドにはジェームス・ヤングというど派手なリードギターもいたが、彼も負けてはいない。裏のリードギターとでもいうようなツインのギターサウンドがバンドの売りでもあった。
その、トミー・ショウ、ルックスとも相まって日本では彼の方が人気が高かったようにも思う。バンドの代表曲はほとんどがデニスの曲とヴォーカルが多いと思うが、トミーの曲としては、アルバム『Cornerstone』に収録された「Boat On The River」があまりにも有名だろう。
そのスティクス、『Paradise Theater』の頃から知名度が日本でも上がりはじめ、その後来日公演も果たす。その次のアルバムは『Kilroy Was Here』というものだが、なんと大胆にも日本語を使った「Mr. Roboto」などがヒットしたものの、デニスとトミーの間に亀裂が入り、スティクスはトミー抜きで活動するようになる。
トミーの方はダム・ヤンキースなどを結成していたものの、1996年ついにトミーを含めたメンバーでスティクスはワールドツアーに出ることとなった。YouTubeの映像はその時のものだが、ドラムのジョン・パノッソが急逝したため、ここでは急遽呼ばれた代理がドラムをつとめている。デニスもヒゲを剃り落とし何となく若返ったような印象でアコーディオンを弾いています。トミーのマンドリンも印象的(この映像は削除されました)。
その後のスティクスはデニスが体調を崩し脱退したものの、未だ健在でワールドツアーを行っている模様。(デニスは解雇され、別のキーボーディストが加入。)
改めて、Styxの「Boat On The River」の映像見つけました。音源はオリジナルアルバムからで、映像はあてぶりのプロモーション用ですかね。当時のメンバー全員がアコースティックセットでやってます。これなら、ライヴでもやっていたでしょうね。
トミーがマンドリン、JYがアコースティックギター、デニスがアコーディオンです。この曲は一部の国ではシングルカットされたようですが、本国ではB面です。日本ではこういう哀愁を帯びた曲は人気が出ますからシングル化されました。
それにしても、40年以上経つと、さわやか系だったトミー・ショウもタトゥーが入ってめちゃくちゃおっさんです。ま、アングロサクソン系は仕方ないですかね。
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