クメール寺院と中国廟
メコンデルタという土地は、ベトナム人のものと思いがちである。ベトナムという国は実は少数民族の宝庫であり、北部のサバなどにはモン族やヤオ族が居住する。ここメコンデルタではクメール人がかなりの比重を占める。
<クメール寺院>MZ-3/35mm/E100VS
そんなカントーにも、クメール寺院があった。メコンと共にカンボジアから下ってきた人たちなのだろう。メコンデルタ南部のソクチャンなどは人口の1/3がクメール人だという。
この寺院はひっそりとしていた。クメール様式の寺院というとアンコール遺跡などに代表されるようなプラーンと呼ばれる釣り鐘型の仏塔が特徴である。だが、ここにはそういうものはない。
<四面仏>MZ-3/35mm/E100VS
そのかわりにバイヨンにあるような小ぶりの四面仏があった。周囲の装飾などは細かい文様があり、ちょっと手が込んでいる感じである。それにしても、ここでは僧侶は見かけなかった。ベトナムではほとんど僧侶を見ていない。こうしたあたりが他のインドシナ半島の国との違いだろうか。
<協天宮>MZ-3/50mm/E100VS
こちらは、カントー川沿いにある中国廟。ベトナムはすでに漢字を捨ててしまったが、ここでは繁字体の漢字が健在である。厳密に言うとベトナム人の名前はすべて漢字で書き表すことができるのだが、現在はアルファベットに声調記号を付けたクォックグー(国語)表記が一般的。
それでも、こういうところがあるということは、かなり早くからベトナムにやってきた中国人がいるということなのだろう。
<うずまき線香>MZ-3/50mm/E100VS
内部に入ると線香の香りに包まれる。香港やマカオの廟などに見られたうずまき型線香である。こうした線香は中国系住民の多いマレーシアやタイなどでは見られない。中国でも広東省あたりに見られる文化なのかもしれない。
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コメント
渦巻き線香がとっても幻想的に見えます。
これだけ並ぶと壮観というよりも、目が回りそう・・。
ベトナム人の名前を漢字表記できるのも驚きです!
奥が深いですね、ベトナム。
投稿: lastsmile | 2009年5月19日 (火) 10時13分
lastsmileさん、こんにちは。
うずまき線香が何百とつり下がる様は香港あたりと変わりませんねえ。
ベトナムでは旧北ベトナム時代に漢字表記を禁止したそうです。
ホー・チ・ミンは胡志明、グエン・バン・チューは阮文紹などとなります。
ま、もともと漢字も使っていたのですが、表現しきれない音は漢字を組み合わせたものを使用していたみたいです。
投稿: ヒョウちゃん | 2009年5月19日 (火) 20時53分
中国廟に書かれている漢字気になります。
「汚穢」
まったく読めませんでした。
webで調べるとどうやら「おわい」
何でこんな字がここに書いてあるのか不思議です。
もうひとつ
「勿近」
この漢字も国語辞典、中日辞典で調べましたが載っておらず、それなのにWebで検索するとたくさんヒットします。
未だに読めませんが、不思議な漢字(熟語)です。
ストレス感じちゃいます。
投稿: スクムビット | 2009年5月20日 (水) 21時14分
スクムビットさん、こんにちは。
取る時にはまったく気にしていなかったんですが、元写真を見て?と思ってはいました。
汚穢については、「おわい」とも読むと思いますが、汚れ全般のことではないかと思います。
勿近については、わかりません。
こういうところを突っ込んでくれるのは、さすがスクムビットさんです。
中国廟の写真ですが、メコンデルタではおそらくこのくらいなんですが、ホーチミンに戻った時に数カ所立ち寄っていますので、運良くまた意味不明の文字があるかもしれません。
その時まで待っていてください。
投稿: ヒョウちゃん | 2009年5月20日 (水) 21時29分