パワー・ポップの時代
かすてら音楽夜話Vol.17
一番最初に買ったレコードってやはり忘れないものでしょう。比較的人生長く生きているもので、一番最初に買った「CD」じゃありませんよ。「レコード」です。ちなみに、一番最初に買ったCDはなんだったか、覚えてないです。
本当のことを申し上げると、初めて買ったレコードは朝日ソノラマのソノシートって、これまた死語ですが、そういうものではなくオリコンなりビルボードなりに売り上げが反映されるポップスやロックのレコードですね。ドメスティックでいえば、これまた恥ずかしながら尾崎紀世彦の「また逢う日まで」で、ここでこの話はおしまいなんですが、洋楽はRaspberries(ラズベリーズ)の「I Wanna Be With You(邦題「明日を生きよう」)」なのである。
当時、日曜のTBSラジオで、久米宏(邦楽)と宮内鎮雄(洋楽)による「今週のベストテン」という番組をやっていて、国内国外のベストテンを紹介していた。ちょっと変わっていたのは、久米と宮内がチンチロリンなどの勝負を番組で行い、勝った方の曲を長く流すという仕組みであった。
そんな中で、カーペンターズなどの曲も多く流れ、この番組は自分にとっての洋楽の入り口を示してくれたものである。当時も、ビルボードや「American Top 40」という番組はあったと思うが、いきなりそこまで行くには敷居が高いというか、まあそんなものでしょうか。その中ではまったのが、ラズベリーズである。特に、ヴォーカル、Eric Carmenの歌唱力と曲作りには新鮮さがあったはずで、早速近所の電気屋にレコードを買いに走ったものである。それにしても、すごいと思うのは、今ならメガストアにしか置いていないと思われる洋楽のあまりメジャーではないレコードが街の電気屋の片隅にあったレコードのコーナーにあったことである。
ま、うんちくはおいといて、曲を聴いてもらいましょう。ビルボードシングルチャート5位(最大のヒット曲)となった、「Go All The Way」~「I Wanna Be With You」のメドレーです。当時の映像では貴公子然とされていたはずのエリック・カルメンですが、スタジオでの映像は無精ヒゲ状態なのがちょっとレアかも。(レア映像ですが削除されました。)
★公式チャンネルがありました。音声だけの「Go All The Way」を付け加えました。
さて、ラズベリーズは、この後「Let's Pretend」「Tonight」とシングルをリリースするものの、ヴォーカルのエリックとリードギターのウォリー・ブライソンとの対立が決定的となり、1974年に解散となった。その後、エリック・カルメンはソロに転じている。
ラズベリーズのメンバーですが、Eric Carmen(エリック・カルメン、Vo/G/B/P)、Wally Bryson(ウォリー・ブライソン、G/Cho)、Jim Bonfanti(ジム・ボンファンティ、Ds/Cho)、David Smalley(デヴィッド・スモーリー、B/G/Cho)の4人。なくてはならない中心人物のエリック・カルメンは元々クラシックをやっていた人で、ラフマニノフが永遠のアイドル。曲作りも彼が中心でソロ作ではラフマニノフのメロディを元に壮大な曲も作るというほど。なお、デビュー当初はもちろんリードヴォーカルであるものの、担当楽器はベースということであった。2作目のアルバムからは、デヴィッド・スモーリーと担当をチェンジ。エリックが器用であるということと、カメラ写りがやはりギターがいいということなんでしょうか。
リードギターのウォリー・ブライソンは、なかなかの凄腕で、他の映像の「Go All The Way」を見ると、6弦と12弦がひとつのボディに収まった重そうなギターを弾いています。イントロとソロ部分を6弦で弾き、中間部は12弦を使うという。
彼らのよいところは、激しく音を鳴らしながらも、メロディアスで全員がコーラスに参加でき抜群のハーモニーを奏でることができることかな。たった数年で解散してしまうなんてもったいないと思っていたら、なんと2005年に再結成ツアーをやっていたようです。YouTubeでは、その時の映像もありますね。
ただ、今年あたりでエリック・カルメンも還暦だしその他のメンバーは第一線を長らく離れていたようなので、エリックよりも年下ながらもかなり老人くさく見えてしまう。でも、演奏は素晴らしかったけど。
近年、彼らのアルバムがリマスターされ、紙ジャケット仕様でリリースされていました。1作目から3作目までゲットしましたが、ラストアルバムだけはまだ。ただ、アルバムの作品はちょっと疑問点のつくものもあって玉石混合という感じです。
のちの再結成ライヴから、「Tonihgt」です。
2009年の段階ですでに還暦を迎えていた彼らですが、ただの懐かしい気持ちだけで再結成したわけでもなさそうです。この映像を見ると、演奏力は高まっております。
ただ、ビジュアルが…。特にリードギターのウォリーは上半身巨大化しております。でも、解散前にはなかったオーラが出てますよね。
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コメント
最初のレコードは「水曜の朝午前3時」か「アビーロード」どっちだったかは忘れました。どちらもLPです。なつかしいなあ。
投稿: 04mat | 2009年7月27日 (月) 02時26分
04matさん、こんにちは。
そうなると、04matさんはワタクシよりもやや世代的に上かなあ。
その頃は自前のステレオ持っていたんですけど、ターンテーブルがEPのサイズしかないもので、無理すりゃLPもかけられたというものです。お年玉で買っていたと思います。
でまあ、小学生の小遣いですから、とてもアルバムを買うことなどできませんでしたし、電気屋にはアルバムはなかったな。あってもなんだそりゃ、でしたね。
Simon & Garfunkelはサイモンとガーファンクルという表記でしたね。
投稿: ヒョウちゃん | 2009年7月27日 (月) 18時45分
ラズベリーズ♪ 懐かしいですね。
POPな世界は彼らの(というかエリックの)お得意な世界でした。
私が最初に買った洋楽レコードは、エルビス・プレスリーでした・・。「好きにならずにいられない」とかいう曲でした。子供ン時にプレスリーにはまった時期があったのが懐かしいです。
投稿: lastsmile | 2009年7月29日 (水) 14時24分
lastsmileさん、どうもです。
お待ちしていました。
「Tonight」の映像を見て頂くとおわかりと思いますが、ティーンエイジャーの女の子のファンがかなり多いですよね。
で、ラズベリーズのプロモーション活動に出てくる、ライターが八木誠さんという人でして、のちにエリックがソロになっても、ライナーノートなどを書いていました。
もちろん、エリック・カルメンの曲はポップそのものなんですが、曲の骨組みがしっかりしているというか、きちんとした曲ですよね。
日本のポップというと、個人的には杉真理や堂島孝平を思い浮かべるのですが、彼らの曲が束になって「Go All The Way」や「Let's Pretend」などにぶつかっていったら、見事にワンパンチノックアウトという結果になるくらい、きっちりした曲なんだと思います。
ま、クラシックやって基礎がばっちりできているからなんでしょうが。
エリック・カルメンについては続編をまたやります。
エルビスが最初のレコードでしたか。
それってリアルタイムではなくて、かなりさかのぼりますよね。
投稿: ヒョウちゃん | 2009年7月29日 (水) 20時16分