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2010年2月 3日 (水)

メディナを一望

博物館や美術館の重要性はわかっているつもりでも、時間の限られた旅の中ではほとんど積極的に訪れるということはない。内部に展示されている数々の逸品が素晴らしいものであるとしても、本来の遺跡や寺院や教会などに心惹かれる。たとえそこにあるものがレプリカだとわかっていてもそうなのだ。

たとえていうと、フィレンツェのミケランジェロによるダビデ像だが、アカデミア美術館にある本物よりも、シニョーリア広場に面したヴェッキオ宮殿前にあるダビデ像の方に親しみを感じる。この間訪れたアンコール遺跡ではライ王のテラスにあるライ王像がレプリカとわかっていても、本物を見るためにプノンペンの国立博物館を訪れることはないだろう。

長い前置きだったが、チュニジアで唯一博物館というところを訪れたのがスースでのことだった。と、いってもチュニスのバルドー美術館に次いで大きいという考古学博物館ではなく、私設のダール・エシド博物館というところを訪れた。チュニジアの古い民家を博物館にしたもので、19世紀の中流階級の生活がわかるというものだ。

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<パティオ>MZ-3/35mm/RVP100

この建物自体はメディナで最も古いもののひとつらしい。10世紀のものというので、日本ならば間違いなく国宝級のものだ。入り口を入るとアラブの生活に引き戻されるような気がする。そこにはパティオがある。

パティオというとスペインのものと思われがちだが、元々はイベリア半島に進出していったアラブ人が持ち込んだものである。モロッコに行けば、古い屋敷を改装したレストランが数多くある。もちろんチュニジアもアラブ勢力の影響下にあったのでこうした建物は数多いはずだ。

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<タイル>MZ-3/50mm/RVP100

こうした建物は外見上はどうということのない石造りのものだ。しかし、内部は美しい。従って、外見で中身を判断してはいけない。マグレブを支配したアラブはとうの昔にイスラム化されていたので、意味のある絵や文字の装飾はないはずだが、このタイルは植物をあしらってどうにかアラベスク模様を作り出している。メッカ発祥のイスラムもマグレブまでくると、解釈が緩くなるということだろうか。

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<寝室のひとつ>GR DIGITAL

ひとつの階には4つくらいの部屋があり、いずれも天蓋付きのベッドが置かれていた。冒頭で「中流階級の生活」と記したものの、セレブ級の生活であると思う。ベッドも見事なのだが、中にはハマム付きの部屋などもあったりするほどであった。

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<スースのメディナ>MZ-3/50mm/RVP100

3階より上は螺旋階段が続いていた。登り詰めてみるとセルフ式のカフェとなっている。飲み物を購入し、一休み。そこはメディナを一望できる場所となっていた。港に停泊している船までばっちりだ。博物館自体がメディナの中でも高い場所にあり、ひときわ高いミナレットを持っているのでこうした風景を見ることができる。

メディナで一番高い場所にあり、メディナを一望できそうなものにはカスバがあったが、ここは立ち入りができないのでこの博物館のカフェに行くだけでもここを訪れる価値はあると思う。

ね、アラブの建築は外見殺風景でしょ。

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コメント

乾燥した空気を感じますね。
街並み、迷路みたいです。
カフェでのコーヒーの味は、
やはり日本のものと違うでしょうね。

投稿: Mako | 2010年2月 3日 (水) 05時52分

Makoさん、こんにちは。
メディナの通りは確かに迷路状です。
ちょっとしたところで横道に入り込むと、なかなか復帰できなかったりして。
ただ、チュニジアのメディナはそんなに複雑ではないです。世界一のラビリンスは、モロッコのフェズのメディナですね。
モロッコの旅の記録もあるので、そちらもお時間のあるときにでも覗いてみてください。

屋上のカフェですが、私がいただいたのはなんてことはないコーラでした。
コーヒーは本場じゃないので、あまり飲んでいないのです。

投稿: ヒョウちゃん | 2010年2月 3日 (水) 19時44分

カフェ=コーヒー・・・と、
思い込んでいました。

はい。モロッコのメディナ
拝見させていただきます。

投稿: Mako | 2010年2月 3日 (水) 21時52分

Makoさん、こんにちは。
チュニジアでもオヤジやオッサン、青年を卒業したあたりの男性と、男ばかりが集まるカフェがあって、ここではコーヒーかお茶を飲んでいますよ。もっとも、眺めただけで入っていませんけど。
観察したところでは、お茶よりもコーヒーの方が比率が高かったような。

投稿: ヒョウちゃん | 2010年2月 3日 (水) 22時51分

石の街。白だからこその荘厳さを感じます。
建物の中の装飾もヒョウちゃんの言う通り、凝っていて面白いですね。

投稿: lastsmile | 2010年2月 4日 (木) 23時59分

lastsmileさん、こんにちは。
そう、チュニジアではだいたいの建物が石造りでしょうね。南部の砂漠に行くと洞窟を利用した建物もありますが。
新築ってのもなくはないでしょうが、都市部の住宅は数代続いて転売されて、他の人のものになることの繰り返しなんでしょうね。
実家がメディナにあるってことも、ひとつのステータスなのかもしれません。

投稿: ヒョウちゃん | 2010年2月 5日 (金) 20時35分

 博物館、大好きです。特にこういう古い建物が博物館になっているのは、そそられますねー。
 タイルの模様や家具、織物の模様など、じっくり見たいところです。
 ツァーで行くと、どうしても見学時間が限られるので、私は後でフリータイムに行きなおすこともよくあります。

投稿: マサエ。 | 2010年2月 6日 (土) 14時23分

マサエ。さん、こんにちは。
結構民家を利用した私設の博物館は多いですよ。
旅行者としては、現地の人と知り合わない限り、住宅の中を垣間見ることはありませんので、訪れて損はないと思います。
こうした博物館はたまに訪れるんですけどね。
パリを訪れているというのに、ルーブルにも行っていないんですよ。

投稿: ヒョウちゃん | 2010年2月 6日 (土) 21時46分

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