デビュー30周年、1980年の佐野元春
かすてら音楽夜話Vol.22
今年で佐野元春がデビューから30年を迎えました。10年前の20周年の時にはアルバムもリリースされ、武道館でライヴも行われたのですが、今回はない模様。地味ですね。それにしてももうそんなに経ってしまったのか。
佐野元春は学生時代アマチュアとしてポプコンなどに出場をしていたが、デビューの機会に恵まれなかった。いや、話はあったらしいのだがスカウトした側と本人との見解の相違で話はご破算になった。それでいったんは身を引き、広告代理店に勤めるようになったのだが、ある時元春のデモテープがとあるディレクターの耳にとまり、24歳という遅咲きのデビューを果たしたのである。
デビューシングル「アンジェリーナ」、デビューアルバム『Back To The Street』をリリースするものの、まったく売れず、結局は地道なライヴ活動により実績を積み上げることで徐々に人気を獲得していった。その後のことは割愛する。
元春はデビューしたといっても、自分のバンドを持たず、レコーディングはスタジオミュージシャン、バンドのメンバーは寄せ集めで元春が思うようなサウンドを再現できなかったらしい。それでも、一度レコーディングで出会ったことのある伊藤銀次に声をかけ、徐々に実力のあるメンバーが集まってきた。それが初期のThe Heartlandである。
元春にとって幸運だったのは、デビュー間もなくテレビ神奈川の「ファイティング'80」という番組に準レギュラーのような形で出演することができたことである。だが、上記のようなバンド状況だったため、司会の宇崎竜童にさんざん酷評されたとのことだ。映像はその「ファイティング'80」から。ただし、すでにバンドはThe Heartlandになっている。曲は「夜のスウィンガー」。シングルカットされた曲ではないが、デビューアルバムの『Back To The Street』のオープニングナンバー。ファンにとっては一番最初に聴くはずの曲だ。(★この映像は削除されました。)
代わりといっては何ですが、佐野元春公式YouTubeチャンネルでアップされていた1987年の横浜スタジアムライヴより、「アンジェリーナ」をご覧ください。
どうです。決して美味いとはいえないが、迫力とかがむしゃらさが伝わってくると思います。イントロで元春、滑って転んでいますね。そして、眼が据わっています。それに、言葉をこれでもかと詰め込む、楽譜には納めきれない独特のテイストがあります。こういうものは絶対にカバーできないはず。(★以前の映像の印象です。)
この頃は、レコーディング中、ヴォーカルのパートと関係ないところでも、声を張り上げて歌ってしまい、その音がレコーディングしているマイクに入ってしまい、何度か録り直しをしたとのエピソードがあります。今では考えられないパワーがあったのですね。
<追記します>
ちらっと写る、伊藤銀次(G)、古田たかし(D)、ダディ柴田(Sax)の若い頃も貴重か。
横浜スタジアムのライブ、すでにデビューから7年経過し、若さが爆発とまではいきませんが、情熱とか気持ちはデビュー時のままかもしれません。ギターの伊藤銀次は抜け、3代目ギタリストの長田進が弾いてます。また、ホーンセクションも石垣三十郎、ボーン助谷が加わっております。
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コメント
若いですねぇ。
すっころんで焦ったのか序盤は一人つっぱしりで力みが感じましたが、後半はバックとも一体感が出てるのも若々しい。
観客もトシちゃん風と聖子ちゃん風が多くて時代も感じますねぇ。
投稿: lastsmile | 2010年5月 5日 (水) 18時34分
若いですよ。24歳ですからね。
一人で突っ走る=疾走 というのが、あのころの元春のイメージのひとつです。
この収録は、蒲田の日本工学院という、専門学校で行われたので、観客は一部のコアなファン(大多数かもしれませんが)を除き、二十歳前後の学生だと思われます。
松田聖子はかろうじてデビューしていたのかな。
投稿: ヒョウちゃん | 2010年5月 6日 (木) 20時43分