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2010年10月14日 (木)

ジャワ島の近郊列車

結局のところジャワ島ではジャカルタからジョグジャカルタの少し先、ソロまで鉄道で移動したことになる。大きな移動は愛称のついた特急または急行(区別がよくわからない)だったが、この他にも鉄道には乗っている。

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<ジャカルタ・コタ駅>K-7/Sigma20

ジャカルタに到着した翌日、実質初日には宿の近くのゴンダンディア駅からかつてのバタビア地区のクタ駅まで鉄道を利用した。料金1,000ルピア、日本円にして10円という信じられない値段である。

ゴンダンディア駅には長距離列車は止まらないので来たやつに乗ればよい。最初に停車したのがこのタイプであった。これは電車でよく見ると「東急車輌」の文字が見える。どうやら日本の電車のお古らしい。内部もロングシートでつり革まであるが、余裕で座ることができた。東急車輌で作られた電車のすべてが東京近郊を走る東急電鉄のものではないのだが、これはどうやら東急田園都市線を走っていたものらしい。田園都市線は自分の居住地域をかすめるようにしているのだが、生活圏が違うのでまったく馴染みがなかった。

コタ駅はジャカルタを代表する駅のようにも思える。駅舎はかなり立派でバンコクのフアランポーン駅にも引けを取らないが、長距離列車のほとんどは市の中心部にあるガンビル駅から発車する。ここはただの終着駅に成り下がった存在である。

もっとも、クタを基点にボゴールなどへ頻繁にいろいろな列車が発着している。ほとんどは通勤通学用のものでいずれも日本の鉄道のお下がりを使っている。つまり電車だ。ま、中には人が満載でドアを開け放ちひどい場合になると屋根の上まで人が座っているものを数回見かけた。おそらく、スピードを出さないようなローカル列車だとは思う。通勤電車タイプのものだと、振り落とされてしまうだろうから。

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<ボゴール駅にて>K-7/FA35

その翌日ジャカルタに近いボゴールまで足を伸ばした。料金は2種類あり、エアコン急行、11,000ルピアのチケットを購入した。インドネシアの鉄道駅にはせいぜい路線図などがあるばかりで、行き先の表示がないのが不安である。ボゴールに行く電車は結構頻繁にあるようだったが、駅で1時間近く待たされやってきたのが、この都営地下鉄三田線を走っていた車両であった(ガイドブックにそう記述があった)。

要するにかつて走っていた地下鉄のものと何ら変わりない。エアコンはもちろん入るが、なぜか扇風機が回っていたり、窓を開け放していたりするが、急行とあるからには途中の駅をすっ飛ばしていくのだろう。さほど、飛ばした感じはなかったものの1時間程度でボゴールに到着した。

ジャカルタ近郊を走るこのタイプの電車は節約のためなのか、インドネシア人が目がいいのかわからないが、内部の照明を切ってしまう。かなり暗い状態で走るのである。地下鉄の時は風景が見られなかったはずだが、結局眠りこけてしまい、同じことだった。

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<急行Prameks号>K-7/Sigma20

ジョグジャカルタからソロまではやはり鉄道が便利だ。ジャワ島の都市部ではバスターミナルはかなり郊外にあるが、鉄道は都市の中心部に乗り入れている。ソロまではやはり急行で9.000ルピア。ま、ボゴールのエアコン急行の例もあるのであまり期待をしていなかったが、こんなやつが登場した。

ジョグジャカルタまで来ると鉄道は非電化区間となるため、ディーゼルカーとなった。機関車が車両を引っ張るのではなく、ディーゼルカー。ドアは自動だし、まあまあ洗練されているのだが、乗り込んだ人数が半端じゃなかった。エアコンもなかった。結局席には往復とも座ることができず、吊革をつかむこととなる。

ジャワの鉄道はこうした区間でも律儀に検札を行う。また、急行であるゆえんなのか飲み物や食べ物の車内販売があるのだ。人をかき分けて移動するだけでもかなり大変そうなのだが、乗り込んで座席に座ることのできた人たちは、結構その場で購入して飲食をしていた。ちなみに、この日からラマダンが始まっているはず。「旅行」をしているからいいと判断しているのかな。飲食することにまったくためらいもなかったように見えた。

東南アジアということでどうしても比較してしまうタイの鉄道ですが、タイの国鉄(王立鉄道)は電化されていないため、すべてがディーゼルカーか、ディーゼル機関車が客車を引っ張る編成のどちらかしかありません。そのディーゼルカーもほとんどは特急に使われているようで、バンコクなどの近郊を走るものでさえ、客車の編成ですね。ましてや、自動ドアの列車というものは優等列車を除いてありません。ということで、営業距離なども含めてインドネシアの鉄道の方がタイよりも進んでいて一般化されているように感じます。この間、ジャワ島内の鉄道で追突事故が起こりましたが、それでも鉄道を利用すると思う。

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コメント

 へー、インドネシアの鉄道は、日本の中古車輌を利用しているのですか。知りませんでした。海外で、昔懐かしの電車に出会えたりするのも、おつなものですねー。
 ディーゼルカー、以前日本でも走っていたけど、きっとひょうちゃんは乗ったことがないでしょうね。私はあります。

投稿: マサエ。 | 2010年10月14日 (木) 09時36分

マサエ。さん、こんにちは。
すべてがそうではありません。
あくまでも、ジャカルタ近郊のみです。
ええ、わたしゃ、結構歳いってますので、もちろんディーゼルカー体験ありますよ。
何たって、父親の田舎は八高線沿線で、よく乗っていたし、近くには相模線というのもあります。八高線は電化されたはずですが、相模線はまだじゃないかな。
それに、北海道や山陰などにもたくさんのディーゼルカーが走っていましたよ。
ディーゼルカーに乗ったことのない人というのは、それこそ大都市居住の20代以下の人でしょう。

投稿: ヒョウちゃん | 2010年10月15日 (金) 00時18分

都営三田線ハードユーザーなので親近感あります♪
昔ミャンマーのバスターミナルが都バスで覆われていたけど
東京都は世界中で活躍してるみたいですね
ヒョウちゃん、都の予算ってどのくらいかご存知ですが?
先日ちょっとHP見たんですけど6兆円でした
ひょえー!ろ・6兆!
どこかの国の国家予算にひとしいと思います
そんなだからドンドン払下げして世界中で地下鉄やバスが
走っているのかしら?

↓ジョンレノンってひょっとして10月8日がお誕生日?

投稿: trintrin | 2010年10月15日 (金) 13時35分

trintrinさん、こんにちは。
三田線はまったく縁がないです。だから車両を見てもわかりません。
ミャンマーではバスには乗らなかったのですが、長距離バス、市内の路線バス、空港内の送迎バスを含めてそのほとんどが日本のどこかで使われていた営業用のバスです。
バンコクからヤンゴンに飛んで空港の建物まで、神奈川中央交通バスに乗ることになるとはびっくりしました。うちの地元を走っているバスで、毎日お世話になっていますから。
ま、東京都交通局のバスや電車に限らず、どこのものでも需要があれば世界のどこかで使われていると思うんですが、元の塗装そのまんまというのはミャンマーかインドネシアくらいじゃないかなあ。

ええ、話は変わりますが、ジョン・レノンの誕生日、10月9日でした。惜しいですねえ。
生きてりゃ、70歳ですもんね。

投稿: ヒョウちゃん | 2010年10月16日 (土) 00時48分

電車でもバスでも日本で使われていたものが海外で見られるというのは嬉しいですね。
モノがこうして磨り減るまで使われるのは作った人たちの何よりの喜びでしょうね。
特に電車は移動が大変なので感慨があります。
昔、三球照代という漫才師の「地下鉄をどうやって地下に入れたか考えると夜も寝られない」というギャグがありましたが、この輸送大変だったでしょうね。
そういうプロジェクトの仕事は面白そうだなあ。

投稿: スクムビット | 2010年10月16日 (土) 08時00分

スクムビットさん、こんにちは。
最初はかなり違和感があるのですが、頑張ってるなという気持ちになってきますね。とりわけ、電車やバスを作った人たちがこのことを知ったら、嬉しくなるのではないかと思います。
バンコクのフアランポーン駅の車両置き場で日本のブルートレインに使われていた客車を目撃したことがあります。なんといっても、行き先表示が「青森」などとそのまんまなんですよね。
ともかく、船に1両ごとばらして乗せるのでしょうが、現地の港に着いて車両基地に運ぶのでしょうけど、どうやって入れたのか気になりますね。
クレーンでつり上げて降ろすんでしょうけど、日本と軌道が異なる場合はその取り付けも必要ですし。
スクムビットさん、こちらに転職なんてことはないでしょうね。

投稿: ヒョウちゃん | 2010年10月16日 (土) 15時03分

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