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2011年3月21日 (月)

沢木耕太郎の足跡を追うその2~サミラー・ホテル

あの震災から1週間が経過。まだ、被災者の心境は落ち着かないと思う。自分もブログをやっていて、こんな時に更新している場合じゃないとも思っていた。

直接被災地とは離れたところに暮らしていても、まだまだ不便はある。計画停電であったり、鉄道の運休、物不足・品不足など。それに不意に襲ってくる余震などもあり、落ち着かない気分はまだ続いている。

そんな気持ちを落ち着かせるためにも、やっぱりこのブログを更新していくことにした。

…と、長い言い訳ですが。ぼちぼちやっていこうかと思います。

「チュムポーンの次はどこに行くんだい?」

手の甲に刺青のある男が言った。

「まだ決めていないんですけど……」

「それなら、ソンクラーに行くといい」

「ソンクラー?」

私が訊き返すと、もうひとりの男が引き取って答えた。

「ハジャイの近くの港町さ」

私が中途半端に頷くと、刺青のある男が付け加えるように言った。

「綺麗な海岸があるんだ。バタヤなんかより、ずっといい」

(沢木耕太郎「深夜特急」より引用)

という、ことが頭にあってハジャイに着いたら、ソンクラーに行ってみようと思っていた。そして、ソンクラーのサミラー海岸に着いてみると、それがあったのだ。

Mp0558

<BPサミラー・ビーチ・ホテル>K7/FA35

 相乗りの客は四人。全員がソンクラー方面に向かうのだという。中にひとり英語を話す婦人がいて、ソンクラーに泊まるなら海の傍のサミラー・ホテルにしなさいと熱心に勧めてくれた。部屋代はいくらくらいだろうと訊ねると、急に曖昧になり、自信なさそうに四十から五十バーツではないかなと答えた。

(中略)

 やがてタクシーはソンクラーの街に入り、客はひとりずつ降りていく。最後まで残った私を乗せて、タクシーは海に向かってさらに走った。

「あれだよ」

 と、運転手に指さされ、困ったなと思った。それが海岸の最もいい位置に一軒だけ建っている、白い瀟洒な外観を持つ建物だったからだ。

(沢木耕太郎「深夜特急」より引用)

そんなわけで、我々もソンクラーに向かった。乗り合いタクシーではなかったが、タイでロットゥと呼ばれるミニバスであった。片道30バーツ。乗り込むと、料金を支払うためのカゴが回されてきた。トルコのドルムシュと呼ばれる、乗り合いミニバスとよく似たシステムだった。

そして、サミラー海岸に到着し、我々の目に入ったのがこのホテルだったのだ。沢木氏が記述したとおりの白い建物。近くにホテルはこれ以外なく、名前は微妙に変わっているものの、ここが沢木氏も泊まったホテルなのだと確信した。

とはいえ、泊まるわけにはいかないので、ここでささやかに食事をすることにした。

Mp0605

<ミックスジュース>

建物に入ってはみたものの、レストランの入り口でややためらう。料金が心配だったのだ。だが、メニュー表を見せてもらい、それほど高価でないことを確認し、一番海に近い席に着くことにする。

昼間から酒もなんなので、ジュースにしました。おそらくスイカベースのスムージーまたは、シェイクのような感じ。

Mp0607

<シーフードの炒め物>GR DIGITAL

Mp0608

<シーフードサラダ>GR DIGITAL

調理法は異なるものの、どちらもシーフードで素材も同じようなものを頼んだ。美味しく頂いたが、ここはタイ南部。スパイシーな度合いがバンコクあたりとは違い、プリッキヌーと呼ばれる極小かつ激辛唐辛子がたっぷりと使われていた。

食事ということだけいえば、海岸にある屋台風のところで、豪快にシーフードのバーベキューを食べるのが一番なんだろう。だが、いささか料金が高くても、これでいいと思った。なぜなら、沢木耕太郎が遙か昔に訪れたところで、その空気に浸ってみたかったからだ。

ここは、外見は素っ気なく見えるものの、なかなかホスピタリティに富んでいて、泊まってもいいかなと思った。だが、ハジャイから小1時間かかり、他の都市へのアクセスも良くないため、クルマがあるなど自分の足を確保できた時ならば、いいのではないかと思った。

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コメント

私はあえて普段どおりの駄文をブログに書いていました。
続けることに何か意味を持たせようとしていたわけでもないのですが、悲惨なニュースを見て滅入ってくる気分以外には書けない理由もありませんでしたので。
むしろ書かないことの理由付けを考えたくなかったからかもしれません。

写真を拝見していると沢木耕太郎、3回目を読んでみようかなあと思います。

投稿: スクムビット | 2011年3月23日 (水) 22時05分

スクムビットさん、こんにちは。
はじめから、このホテルに行くという目的があったわけではないのですが、着いてみて、深夜特急に出てくる記述通りの建物だったので、ここで食事することにしました。自分の強い希望です。
沢木耕太郎氏と自分の旅はルートが似ていますけど、全然違うんですよね。
ただ、辿っているだけなのですが、こんなのもありかなと思います。
3回目の記事はかなり想像力を働かせなくては、かけないと思いますが、さてどうしよう。

投稿: ヒョウちゃん | 2011年3月24日 (木) 00時11分


その引用が・・・

何かすげぇwwwww


ドラクエの主人公みたい!w


投稿: 大竜先生 | 2011年3月24日 (木) 11時32分

大竜先生、こんにちは。
いうならば、Sawaki Questですね。
「深夜特急」いいですよ。
文庫では6巻ですけど、それぞれがそれほど長くないので、読みやすいです。

投稿: ヒョウちゃん | 2011年3月25日 (金) 20時24分

こんにちは♪
サラダのニンジンとダイコン(かな?)
の飾りきりきれいです。
海のそばだけあってさわやかなかんじですね
この飾りきり(カービングでしたっけ?)
を習いに行きたくてあちこち探しているのです

スイカのジュースご一緒な方はど・な・た?(テヘっ)

投稿: trintrin | 2011年3月26日 (土) 13時58分

trintrinさん、こんにちは。
一緒だった人は、日本のおぢさんです。
ネット上でつきあいのある人で、海外オフするのもこれで4回目かな。
あの飾り切りだけは、食していません。

投稿: ヒョウちゃん | 2011年3月26日 (土) 15時33分

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