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2011年8月20日 (土)

コルカタの二つのホテル

深夜特急の足跡を追うVol.1

では旅のレポートを始めます。まあ今回かなり重なるということで、やはりこんなテーマからはじめるのが適当かと。年末年始ののマレー半島の旅では「沢木耕太郎の足跡を追う」というシリーズをやっていましたが、今回からは「劇的紀行・深夜特急」のドラマも含めて、「深夜特急の足跡を追う」というシリーズにしてみたいと思います。

これを思いついた時には「こりゃいいや」みたいに思っていたのですが、検索してみると同じようなことをやっているブログもあったりして。まあ、あまり気にしないでいってみましょう。

 その時、ターンテーブルに私のザックが出てきた。ちょうどいいタイミングだった。私は、では、と言ってその場から離れようとした。ところが一瞬早く彼が言った。

「できたら、同じホテルに泊めてくれませんか」

(中略)

「泊まるところ、決まってないの?」

 背後で声がした。しかも、また日本語だ。振り返ると、やはり私たちと同じくらいの年格好の若者が立っている。がっちりした体格の、ラフな格好をした日本人だった。

(中略)

「だったら、僕のホテルに来るといい」

(沢木耕太郎「深夜特急」から引用)

こんな感じで、カルカッタ(当時の名称)に到着した沢木耕太郎は、ダッカ行きの若者に誘われるまま、カルカッタの最高級ホテル、オベロイ・グランドに泊まることになります。

In0048

<The Oberoi Grand>K7/DA21

てなわけで、ちょっくら行ってみましたよ。一応わたしゃ日本人なんで、覗くことくらいは簡単だなと思っていましたが、なんと、入口で荷物をX線にかけるというセキュリティチェックがありました。とはいえ、そこらの物売りのおっさんなどが入ろうとしても、門前払いなんでしょうけど。

セキュリティチェックを終えると、そこは物静かなロビー。ま、ここでお茶でも(チャイではなくてイングリッシュティーね)飲んでくればよかったんでしょうが、しつこい物売りから逃れ、しばしぼーっとしてしまったわけです。こんな謎の日本人がソファーに座ってメモなど取っていても、さすがにオベロイの従業員はぶしつけな態度を取ることもなく、暖かく無視してくれました。

 残された私たちはサダル・ストリートへと歩きはじめた。これからどうするつもりなのかと訊ねてきた医大生に、サダル・ストリートという安宿街へ行くつもりだと告げると、当然のことのように肩を並べてきてしまったのだ。

(中略)

 救世軍の門を覗き込んだが、先ほどのヒッピーの姿は見えなかった。どうやらベッドにありつけたらしい。それではこちらの番だ。しかし、医大生も泊まれるところとなると見当がつかない。私がどこから当たったものか迷っていると、医大生が言った。

「ここはどうだろう」

 彼が指さしたところは、救世軍の向かいの小綺麗なホテルだった。

(沢木耕太郎「深夜特急」より引用)

そこは、サダルストリートに唯一あるまともなホテル。リットン・ホテルです。当時の価格ツインで73ルピー。オベロイは400~500ルピーらしかったです。

In0044

<リットン・ホテル>K7/DA21

ここは、Agodaにはのっかってきませんが、アップル・ワールドでは予約可能。よっぽどここにしてしまおうかとも考えたのですが、宿でネットができるという魅力に勝てず、やめました。一応アップルの価格では1泊1万円近くしたような。でもやっぱり、当時としては沢木さんはかなり金を持っていたバックパッカーだったのではないかと思います。

沢木さんの場合は知り合った医大生が翌日にカトマンズに発ってしまったので、さらに別の安宿を探そうとフロントで訊ねたところ、半額でツインの部屋を使うことができたようです。彼はここを拠点にカルカッタに半月ほど滞在した模様です。

一応ここにはバーとレストランがあり、酒が飲めてビーフステーキを食べることができます。インドで普通に旅していると、アルコールと牛肉(豚肉も)と出会う確率が極めて低くなります。自分の場合は結局インド滞在中はノンアルコールということになりました。

カルカッタでの「深夜特急」の記述ではモイダン公園でピーナッツを投げ入れるとドブネズミが乱舞するという場所もありましたが、探すのも骨だったもので、この程度でしょうか。ダッカ行きの若者にインド式洗礼を受けさせてもらう娼家というのもありますが、こちらはさらにハードルが高いので、もちろんありません。

ま、とりあえず一発目のレポートはこれくらいで。カテゴリーにMidnight Expressというものを作りました。沢木耕太郎のみならず、大沢たかおの登場するシーンもあわせてレポする予定です。

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コメント

もう疲れはとれて、片づけは終わったでしょうか。
いよいよ旅行記はじまりましたね。コルカタの印象はほとんどないので、思い出してみようと思います。

投稿: とんび | 2011年8月20日 (土) 00時45分

とんびさん、こんにちは。
片づけは終わりました。疲れもほとんどありません。
物質的なものはいいとして、まだ画像の整理がほとんど終わっていません。
コルカタはたったの1日だけだったので、こちらも観光らしいことはまったくしていません。
名所とかは出てきませんので、悪しからずです。

投稿: ヒョウちゃん | 2011年8月20日 (土) 10時04分

2006年にカルカッタ行った時にオベロイで洋式の朝食を
食べようと思って行きました
入口でレストランどこ?みたいに聞いて入ったら
朝食セット(コンチネンタルだったか?)が650ルピー
だったのでビビって止めました(^^ゞ
入口でさっき場所を教えてくれたひとがどうしたのか?
場所が分からなかったのか?といわれて困りました
オベロイ中庭のプールとかあって別世界ですね(^^ゞ
私も最近、深夜特急のインド編を読み直しましたが
カルカッタではすごいリッチなパッカーですね

投稿: kimcafe | 2011年8月20日 (土) 21時33分

kimcafeさん、こんにちは。
をを、kimcafeさんも、覗いてみたのですね。
それにしても、朝食で650ルピーですか。
自分が食べた最も贅沢な食事(いちおインド料理)よりも高額です。
さすがはインド。こういう世界もあるんですねえ。

ま、沢木さんはマカオで200ドルバクチですっていても送金を受けず、しかも、パリから飛行機で戻ってこれるんですから、お金は持っていたはずですね。
このあたりは、「旅する力」にきちんと書いてありますけど、「若き実力者たち」の印税をそっくり持って行ったそうです。
でも、100万円には足りなかったみたいですけど。

投稿: ヒョウちゃん | 2011年8月20日 (土) 23時22分

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