<チェンマイ行きディーゼル特急>K7/DA21
タイ国有鉄道は、略称SRT。総延長4,041kmは、東南アジア最大規模とのこと。これまで、SRTに乗った区間はどれも短距離で、今回のように6時間近く乗るということは初めてである。
ちなみに、バンコクからアユタヤまでバスで50バーツ、ロットゥで60バーツ、なんとSRTの3等ではたったの15バーツである。つまりは激安なのだが、時間が読めないことから、旅行者としてはやはり確実なバスになびくであろう。
ちなみに、ピッサヌロークまではVIPバスで431バーツ、1等277バーツである。ところが、自分の乗るこの列車は449バーツかかるという逆転現象が起きるのだ。まあそれは、この列車がSP. DRCと表記された特別な列車だからである。
<洗車作業、ちなみに前日撮影>K7/DA21
SRTは、すべての路線が非電化である。たいていは無骨なディーゼル機関車が古ぼけた客車を引っ張る形式だが、このディーゼル特急はエアコンの効きもよく、タイでもっとも速い列車だという。事実、これから乗るチェンマイまでの北本線には、3往復しかなく、東北線も1往復、南本線も2往復という具合である。
ちなみに、すべて座席のオール2等なのだが、出発前にこんな洗車作業をやるくらいだから、SRTとしても、もっとも力を入れている列車だということがわかる。ちなみに、上の画像は前日にチケットを購入する前に撮影したもの。やはり北本線だが、チェンマイまで行かないもの。
<車内>K7/DA21
遅れることが当たり前のようになっているSRTだが、始発のフアランポーンでは比較的正確か。8:30の始発に間に合うために、1時間と余裕を持って宿を出てきた。ホームに入りしばらくすると、タイの国歌が流れた。毎日朝8時と夕方6時にはテレビと人の集まる主だったところではこれが流れて、だいたいの人は直立姿勢を取る。もちろん立たない外国人もタイ人もいるが。
しかし、まだ入線はしてなくて、15分くらい前に入ってきた。これで晴れて乗車できるが、外では洗車作業をやっている。窓は開閉できないが、デッキとドアは開いているので水を浴びてしまう人もいるかも。
車両と座席はチケットに英文でも表記されているのですぐにわかった。ビニール張りのシートで、リクライニングができるが、VIPバスと比べるといかにもくたびれている感じがする。インドネシアのノンエアコンのビジネス(ちなみに上から2番目)にエアコンを付けたような感じである。
<検札>K7/DA21
理由はわからないが、のっけから30分の遅れである。まあ、これくらいは遅れのうちに入らないか。そして、検札が始まる。事前にこの列車のことを知っていたのは、タイ賛美者が書いた「タイ旅の雑学ノート」という本を読んでいたからだ。エアコンもかなり効くとあったので、長袖の薄手のトレーナーを用意してある。はじめのうちはかなり効いていたものの、途中から明らかに効きが悪くなった。しかし、このトレーナーは移動の時にはかなり役に立った。やはり、タイのエアコンは半端ではないのである。
<アテンダント>GR DIGITAL
また、この列車には車掌の他にも女性のアテンダントが乗り込んでいる。これもまた上記の本で知っていた。「チケットを見せると笑顔で座席まで案内してくれる」とあるが、それはなかったな。ともかく、飲み物を配りだした。食事サービスがあるというのも事実らしい。でもまだ朝だし。
と思っていると、自分の席に来てタイ語で聞かれてしまった。コーヒーをもらう。
<おやつ>GR DIGITAL
まるで飛行機のようだが、使い回しのプラスチックコップというところが、SRTなのである。きちんと砂糖とクリーム付き。まあインスタントだろうけど。同時に配られたのが、紫色のスポンジケーキと月餅であった。飲み物は他に水とコーラ、オレンジジュースがあったが、アルコール類はない。LCCよりはいいんじゃないすか。これも前の座席の背もたれにテーブルがセットしてある。
ちなみに、男性のアテンダントもいて、こちらは清掃などを行っていた。列車の編成は短く、4両くらいだったか。ひとり2両分くらいを担当するようである。
<激辛カレー>GR DIGITAL
ちょうど昼頃、食事が配られる。デザートはまさに水ようかんである。まるでホカ弁のようなパッケージ。まったく簡素なもので、これらで追加料金が取られているとしても、何となくホスピタリティが嬉しい。たぶん、先ほどのおやつとこの食事を合わせても、100バーツはしないだろうが。
さて、車内ホカ弁であるが、ケーンというよりはまさにカレーである。しかもこれが飛び抜けて辛い。これが目に入ったら、すさまじいことになる。高級料理店のような辛味と酸味のハーモニーなどということはなく、ひたすら辛い。かなりの唐辛子が入っていることだろう。おかずは、カレーとカーオ・スアイ(うるちのタイ米)の上に乗ったハンバーグ状の肉くらいなのだが、これで十分なくらい辛かった。だが、辛さに慣れておくのはよいことだ。幸い咳き込むような不作法なことはなく、デザートも合わせてすべて頂いた。
<ピッサヌローク駅>K7/DA21
列車は30分の遅れをキープしたまま、ピッサヌロークに到着した。14:45。
ついでに書いておくと、トイレはかなり綺麗だった。車両の入り口付近になんと自動ドアがあり、このデッキ寄りに通路を挟んで2つトイレがある。自分の入った方は洋式であった。水もきちんと流れるし、なんと紙も流せる。もう一つの方はタイ式なのかもしれないが、確認はしていない。
また、車両の間のデッキには幌はなく、車両を行き来するのはかなり危険である。物売りは乗り込んで来ないので、水分ともしもの食べ物はあった方がいいかも。荷棚は成田エクスプレスみたいなものはなく、すべて座席の上に収納するが、重量約10kgのバックパックも収まった。
列車のスピードは、果たしてどのくらい出ているものか。何しろ、軌道の間が1mちょうどのメーターゲージなので、100km/hは出ていないように感じた。今手元で計算したら、平均速度は70km/h弱といったところであった。また、単線なので途中駅での待ち時間もかなりある。保線の状態もよくないので、乗り心地もかなり揺れがある。速度でインドの鉄道といい勝負。快適さではインドの方に軍配が上がるか。もちろん、優等列車のまともな席での比較である。タイの三等席とインドの二等座席(どちらもフリーシート、最低価格)を比べたら、タイの方がいいと思いますが。
ピッサヌロークからはスコータイに行ってしまうという手もあったが、いささか疲れたので、そのまま目当てのゲストハウスに直行した。意外にも外国人旅行者、いわゆるファランがかなりいた。
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