たどり着いたら大都会
ピッサヌロークからウドンタニーまで、果たしてバスが走っているのだろうかという危惧が当初あった。頼りとなるのは、事前に読んでいた下川裕治の「5万4千円でアジア大横断」(新潮文庫)という本の一節である。
日本橋をバスで出発し、トルコ・ブルガリア国境までの旅。アジアハイウェイとヨーロッパハイウェイをできるだけバスを使うというコンセプトのものである。もちろん海に阻まれる博多-プサン、インチョン-丹東はフェリーを使い、陸路で通り抜けられないミャンマーは除外するというもの。この中で、コーンケンからピッサヌロークまで行くバスというものがあったのだ。
スコータイに出かけたときに、チェンマイ-コーンケンというバスを見かけた。それも複数。ご存じの通り、日本で一番発行数の多いガイドブックには、タイの地方都市間のアクセスがほとんど載っていないが、これでかなり地方都市間が網の目のようなネットワークで結ばれていることがわかった。ならば、ピッサヌロークでもウドンタニー行きはあるだろうし、なかったらコーンケンまで行き、乗り継げばいいと思った。
<ピッサヌローク-ウドンタニー行き2等エアコンバス>K7/DA21
たいていのバスターミナルには、客の行き先を聞いて窓口に案内する係がいる。たいていは押し出しの強そうなオッサンなので、引いてしまうが、きちんと案内してくれる。バス会社に雇われているのかバスターミナルが雇っているのかよくわからないが、決してチップ強要ということはないので、頼り切っていい。
そうして案内してくれた窓口でウドンタニー行きのチケットを無事購入。ただ、本数が少ないのか、1時間待ちである。そしてやって来たのは外観は綺麗に見えるが、中はオンボロの2等バスであった。エアコンはあるがトイレはない。座席は指定されている。この指定の番号が座席の後ろに油性ペンで書かれているもので、ひとつ後ろに座ってはいけない。ここ、間違いやすく、日本では理解しにくい表示なので注意が必要である。
バスはアジアハイウェイ16号線を東に進む。AHという略称の下に番号が書かれた標識だが、アジアハイウェイを推し進めるのがタイが主導らしく、下川裕治もこの標識をタイ以外では見なかったと記していた。
そのまま進めばコーンケンなのだが、バスは途中から山道に入った。律儀に2時間ごとにトイレ休憩がある。しかし、長時間の休憩はなく、飲食物のサービスはなかった。山道は、ナコーン・タイ、ルーイというルートを通り、6時間50分かかって、ウドンタニー郊外のバスターミナルに到着。途中のルーイのあたりは、かなり涼しく、車内で長袖が役に立った。ルーイはタイでもっとも涼しいところで、乾季には気温が0度近くなるらしい。
<タイ貢献党のポスター>K7/DA21
バスがウドンタニーに近づくと、赤いポスターが目立ってきた。また、役所関係の建物には、現在の首相、インラックの顔写真がついているものもあった。インラックやタクシンはチェンマイ近郊の出身らしいが、イサーンでもかなりの勢力があるらしい。
そうして到着したウドンタニーだが、宿までが遠く、トゥクトゥクの言い値、100バーツを80バーツまで値切り、元米軍相手だったという宿へ。一応ウドンタニーの中心部なのだが、ちょっと奥まったところにあり、やや不便だった。
<セントラル・プラザ>K7/DA21
中心部まで歩くと、光り輝くビルがあった。セントラル・プラザといい、今年改装されたものでまだ日が浅いらしい。できたら駅あたりまで行き、そのあたりの食堂でイサーンの食べ物を味わいたかったが、雨が降ってきたので、ここでもいいかと中に入る。
<キャンペーン中のキャラクター>K7/DA21
入ってすぐのところでは、イベントが行われていて、こんな被り物のキャラもいた。カメラを向けるとVサインである。ちょっと前のタイでは考えられなかったと思うのだが。
ビルの一番上の階はフードコートとレストラン街になっていた。きらびやかな世界である。レストランは異様に日本食が多かった。ちょうどラオスを脱出してきたらしい日本人の2人組がいて、「すっげえ都会に見える」とつぶやいていた。確かに、ここだけはバンコクに引けを取らない。
結局この日の夕食は迷ったあげくに、弥生軒に入り、カツ丼と餃子にした。234バーツとバンコクと変わらない価格。この日のバス代より少し安いだけ。この階には、レストラン富士、八番ラーメン、Hot Potなどがあった。昼食代わりに売店で買った菓子パン2つだけだったから、まあいいことにしよう。
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コメント
確かに大きそうな街ですね。下川さんの本がヒントになったのですね。この本は見てませんが、ユーラシア大陸横断鉄道旅行2万キロってのを読みました。これは鉄道ですが、ヒントになったのはバスでの横断だったのですね。
今、羽田にいます。っても、海外脱出はしません。この間、書いていた行先です。ヒョウちゃんは連休は旅行記に専念でしょうか。今回のは、かなり省略されている部分もありますが、なにしろ長いんで大変だと思います。
投稿: とんび | 2012年9月15日 (土) 10時39分
キャラクターのお姉さん(だよね?)いいすね(^^ゞ
ウドンタニは飛行機乗り継ぎで寄っただけなので泊ってみたいです
下川裕治のビンボー旅シリーズ好きでした
あれが旅を再開するきっかけのひとつかな
投稿: kimcafe | 2012年9月15日 (土) 11時07分
新潮文庫収録の下川裕治作品ですが、「5万4千円でアジア大横断」、「格安エアラインで世界一周」、「世界最悪の鉄道旅行 ユーラシア横断2万キロ」という順の発行です。すべて購入しました。
下川さんと同行のカメラマン、阿部稔哉氏のメンバーは変わりませんが、「5万4千円…」には橋野君というITバックパッカー、「格安エアライン…」には冨永君という21歳の若者が同行します。
とんびさんご指摘の通り、タイ北部とイサーンを結ぶバスがあるということがヒントになり、こうした旅をアレンジできました。以前にも書きましたね。
もちろん、今回の旅の様子はかなり省いていますが、画像の加工の関係でまだ未整理なところもあるので、今後前のところに戻ってフィードバックする記事も出ると思います。
まあ、イサーンでは移動とうだうだしていた部分が多いのですけど。
投稿: ヒョウちゃん | 2012年9月15日 (土) 12時05分
ウドンタニーは、都市の規模も大きくて、バンコクに次ぐ都会かもしれませんが、まあやっぱり何もないですね。
2泊してすべて雨だったので、それほど動けなかったです。
このあと、kimcafeさん好みのネタはありますが。
下川裕治ですが、最近では以前の貧乏旅を引きずる部分もあるんですが、とんびさんのところで紹介した著書などもあり、かなり変わってきていると思います。
ワタクシが思うに、もう蔵前仁一は新しい著書を出せないだろうと思いますが、下川裕治はこれからも出し続けると思います。幅が広がってきているんですね。
最近ではPC持参みたいです。
投稿: ヒョウちゃん | 2012年9月15日 (土) 12時11分
本の名前、ちょっと違ってましたね。そうそう世界最悪のってが最初につおいていました。旅にでているので確かめられませんでした。内容は貧乏旅とはちょっと違っていましたね。でも、題名の通り最悪でした。同じ旅をしようとは思いません。ヒョウちゃんが参考にされたバス旅のほうの本も面白そうですね。読んでみようかな。
今、層雲峡の宿ですが、無線LANがサクサク使えています。それに飲物の持ち込み可でいうことないです。国内旅行は昔は青春18切符を使って夜行列車、それも座席車で泊まりながらの乗継旅とかしていましたが、今はもう無理で多少快適な旅にはしっています。ヒョウちゃんの国内旅行記読みたいなと思ったこともあるのですが、ないのはあまり興味なしってことなのかなぁ。
投稿: とんび | 2012年9月15日 (土) 20時40分
まあ、沢木耕太郎も含めて、ユーラシア横断ルートでは、バスだけとか鉄道だけとかではなかなかつながらないということがわかりますね。
まあ、それでも、両者を混ぜていけば、陸路で行けるということはわかりましたので、いつの日か実現できればいいというか、一気にやらなくても、少しずつつなげていけるといいのですけど。
最近の下川作品は読んでいていやになってしまうような赤貧話は出てきませんので、お勧めです。
国内は10年くらい前に大阪と神戸に行って以来ご無沙汰ですね。移動にかなりお金がかかるので、今のところ興味ありません。
投稿: ヒョウちゃん | 2012年9月15日 (土) 21時59分
写真を拝見して「日本のショッピングセンターとあんまり変わらないなぁ」と思いました(笑)。さらに日本食だとその気持ちはさらに強くなる気が( ̄▽ ̄)
投稿: おりんぴあ | 2012年9月16日 (日) 00時32分
夕方の暗い写真だったので、そのように感じられたかもしれませんが、結構すごい建物です。
新宿あたりに持ってきてもまあまあなんじゃないかと。
とはいえ、バンコクとかKLに比較すると、こういうのがばんばん建っているわけではないので、ちょっと寂しいかもしれません。
イサーンで日本料理というのが少し驚きでしたが、実はパクセーにもあったりしました。
投稿: ヒョウちゃん | 2012年9月16日 (日) 11時31分
もういっちょ書きますね。
国内旅行は興味なさそうですが、2つばかり聞いてみたいことがあって、、
1つは、自分が海外旅行をはじめる以前は国内のそれも長期の旅をしていました。青春18切符で普通の夜行で何度も泊まったりして安く上げるような旅です。海外旅行をはじめるきっかけのひとつは国内をあらかた行ってしまったってということがありました。それで、海外旅行をはじめて、最初から個人での長いたびでした。ヒョウちゃんの場合は、海外旅行の前はどうだったのかなってちょっと気になります。
もう1つは、7,8年前にオアハカでお会いしましたが、あれが自分にとって長い旅の終わりでした。国内旅行を再開したのは、その後のことで、長いたびができなくなったってことが大きいです。長いたびができなくなったあと、短いたびを頻発する作戦に切り替えて、海外旅行の頻度は大幅にアップしましたが、海外ばかり行くわけにいかず国内にも目を向けました。ヒョウちゃんも長いたびができにくくなってきたことを時々書いていらっしゃいますが、もしそうなれば、短期の海外旅行や国内旅行ってことになるのかな。
投稿: とんび | 2012年9月17日 (月) 05時44分
就職する前は国内旅行していました。
国内をあらかたではありませんが、主に当時国鉄のワイド周遊券を使い、宿泊はユースホステルでしたね。
就職してからは同じような感じでちょこちょこ出歩いていましたが、違和感はありました。宿泊も、民宿やビジネスホテルに変わりましたね。
まあそれで、みんな海外に出かけるので、自分もとなり、ツアーを申し込んだら面白かったですね。異文化体験は国内旅行よりも、数倍面白いとなり、現在に至るわけです。
2つ目の回答ですが、長旅ができなくなったとしたら、それでもできるだけ長く行けるところを見つけますね。やはり海外ですね。
とんびさんのように頻繁に出かけられないので、回数は変わらないと思います。
投稿: ヒョウちゃん | 2012年9月17日 (月) 19時19分