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2014年1月 6日 (月)

想い出にさよなら

かすてら音楽夜話Vol.32

その日、ヤンゴンの空港にいました。これからバンコクへのフライトです。搭乗できるようになり、乗り込みます。ちょうど機体の出入り口に新聞が置いてあって、いつもならば見向きもしませんが、バンコク発行の読売新聞があったので、1部もらって席に着きます。ちなみに、読売は大手新聞の中でもバンコクで印刷しているので、好き嫌いは別にして一番早い日本のニュースが読めるんです。他の社は、日本で印刷したものを送っているらしい。

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早速読売に目を通すと、ヘッドラインに大瀧詠一の訃報が目に入りました。なんてこった。

大瀧詠一(「大瀧」はライターとしての名前、シンガー/アーティストとしては「大滝詠一」となります)との出会いは、父親が運転するクルマのラジオから流れてきた「ナイアガラ音頭」でした。なんだ、これはと思ったものです。ちなみに、「ナイアガラ音頭」はアルバム『Niagara Triangle Vol.1』に収録されていて、リード・ヴォーカルは大滝詠一ではなく布谷文夫。もちろんあとで知りました。

大瀧=ナイアガラ、わかりますよね。元々大瀧詠一ははっぴいえんどのオリジナルメンバーで、リードヴォーカルとギター担当。他のメンバーは、鈴木茂(リードギター)、細野晴臣(ベース)、松本隆(ドラムス)という構成。はっぴいえんども評価は高いもののそれほど売れたわけでもなく、解散後ソロになってからの大瀧詠一も異様に売れませんでした。それでも福生に自宅兼スタジオを構え、実験的な作品を作り出していったのです。

そして月日が流れて1981年、初めて聴いて心をぐっと引き寄せられるイントロの「君は天然色」がメディアに流れはじめます。アルバム『A Long Vacation』、有無をいわせず購入に向かいましたねえ。これは売れた。発売当時は塩化ビニールのLPレコードだったのですが、その後のCD化に伴い、ソニーレコードの栄えあるシリアルナンバー1がついたほどです。それにしても、あの「ナイアガラ音頭」の人なのかと。

食えない時代に実験的な試作を重ねた結実ですね。その後も佐野元春・杉真理と『Niagara Triangle Vol.2』のコンピレーションアルバム、松田聖子をはじめとして森進一から小林旭に至るまでの楽曲提供など一時は飛ぶ鳥を落とす勢いでした。

その後社会人となったワタクシは、大瀧さんのアルバム、関係するアルバムや書籍も買いあさり、いっぱしのナイアガラーとなったわけです。ちなみに、『Niagara Triangle Vol.1』では、山下達郎・伊藤銀次と組んでいます。山下達郎の説明は不用でしょうが、伊藤銀次はもう終わってしまう「笑っていいとも」のオープニングテーマ「ウキウキWatching」の作者で、ウルフルズのプロデュースや「イカ天」(三宅裕司のイカすバンド天国)の辛口審査員などもつとめました。

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そうした関連する人たちもフォローしていましたねえ。今はなきNiftyserveのパソコン通信会議室、fbeatなどでも、「次に『Niagara Triangle Vol.3』をやるとしたら誰と組むか」などと激論を交わしたものです。

 

さて、追悼の曲は『Niagara Triangle Vol.1』から「幸せにさよなら」です。元々伊藤銀次の曲でアルバムでは伊藤銀次がリードヴォーカルを取っているんですが、シングルとしてもリリースされ、こちらを取り上げています。

こちらは、伊藤、山下、大滝と交互にヴォーカルを担当していくもので、けっこう気に入っています。

葬儀には元はっぴいえんどのメンバーも駆けつけ、棺を担いだとか。この人が日本のPops/Rockに与えた影響は多大なものがあるはず。今頃布谷さんと音頭のセッションを繰り広げているのかもしれませんね。

★YouTubeの映像は伊藤銀次の弾き語りによる「幸せにさよなら」に変更しました。

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コメント

ヒョウちゃん、今年もよろしくお願いします。大瀧詠一氏の訃報、驚きました。若過ぎますね。ヒョウちゃんにはショックが大きいでしょう。
 私は彼の歌を聴く機会は多くなかったのですが、楽曲では「君は天然色」「A面で恋をして」、意外な作品で「うなずきマーチ」、見事な歌声の「出前一丁のCMソング」等を記憶しています。
 タイプは全く違いますが、やしきたかじんも亡くなりました。自分の青春期に活躍していた多才な方が逝くのは切ないですね。〈合掌〉

投稿: ヤン水 | 2014年1月 8日 (水) 08時49分

ヤン水君、こんにちは。
こちらこそ、よろしくお願いします。
大瀧さんの功績としては、クレイジー・キャッツと植木等の再評価というものもあります。
クレイジー・キャッツとしての最後のシングル、「実年行進曲」なんてのもありますね。
三ツ矢サイダーとか「♪髪に栄養」のシャンプーなどのCMも手がけていましたね。
このあたりの年代の人たちが亡くなっていくというのも、時の流れでしょうかね。あまり頻繁にそういうニュースを聞きたくないんですけどね。

投稿: ヒョウちゃん | 2014年1月 8日 (水) 21時30分

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