« インドのなんちゃって中華 | トップページ | いい加減に見えて50年 »

2015年5月31日 (日)

陰の功労者

かすてら音楽夜話Vol.36

Tc1656

<ローマ>K-7/DA21mm

ご存じ「ホテル・カリフォルニア」はイーグルスの不滅の名曲です。だとしたら、その名前を頂いてしまおうという人もいるわけで、ローマはテルミニ近くにそのホテルも存在しました。

イーグルスは一度解散してしまいましたが、1994年に再結成され、スタジオ録音のアルバムリリースが極端に少ないものの、コンサートツアーも行うなどして、現在も活動中です。

最大のヒット曲となる「Hotel California」は1977年のリリース。38年前のこととなります。

元々はリンダ・ロンシュタットのバックバンドから派生したグループで、初期はカントリーロック風の作品が多かったのです。それは、バーニー・レドンというバンジョーやマンドリン、スティール・ギターを使いこなすマルチプレイヤーがいたためです。そのレドンの紹介でギタリストのドン・フェルダーが加入し、イーグルスはロック色を強めていきます。

しかし、バンドの主導権を握るグレン・フライとドン・ヘンリーとの関係が悪化し、レドンは脱退し、後任にはジョー・ウォルシュが加入します。このことでイーグルスはハードロック路線に傾いていくことになります。

Eagles「Hotel California」ライヴ

YouTubeの映像いかがだったでしょうか。ヴォーカリストはドラムのドン・ヘンリー。もうひとりの主要メンバーであるグレン・フライは12弦のアコースティックギターを担当していますが、なんといっても印象的であるのは、映像の右側でギターを担当するドン・フェルダーとジョー・ウォルシュではないでしょうか。

印象的なイントロはドン・フェルダーによるもの。彼はダブルネックのギターを弾いています。イントロは上の12弦でつま弾き、ギターソロは下の6弦で弾いています。後半のギターソロとウォルシュとの掛け合いが素晴らしいです。

「Hotel California」のライヴ映像ですが、Capital Centerのパフォーマンスが素晴らしいんですが、イーグルスの公式YouTubeチャンネルが存在しないもので、削除されまくりです。

ちょうど、ひとりでイントロと後半のギターソロを解説するように弾いている人の映像がありましたので、ご覧ください。

 

ほとんど映像に出てこなかったベースのランディ・マイズナーですが、映像のツアーの最中にバンドを脱退しています。それも、リーダーであるフライとヘンリーとの間の軋轢なんだそうで、絶頂期にありながら、こうしたことが起きてしまうのですね。

実は「Hotel California」はほとんどの部分をドン・フェルダーが作曲したといわれています。作詞はドン・ヘンリーとされていますが、曲のクレジットはヘンリー、フライ、フェルダーの順になっています。グレン・フライは歌詞のアイディアを出しただけだそうですが、こんなところからバンドの状態が健全でなくなっていくのですね。

再結成時にドン・フェルダーはバンドに参加していましたが、結局はフライによって解雇され、法廷闘争となったそうです。

実は2004年に彼らが来日したとき、東京ドームに見に行ったのです。この時のメンバーはランディ・マイズナーに替わってティモシー・B・シュミットでしたが、ドン・フェルダーの姿がありませんでした。この時点では「不参加」という発表で、フェルダーのパートはサポートメンバーが完コピでつとめていました。この時すでに解雇されていたのですね。

きっちり見たかったな。

さて、「ホテル・カリフォルニア」の歌詞にはいつでもチェックアウトできるが、決して逃れられないという意味のところがあります。われわれ旅人もどこかに「ホテル・カリフォルニア」を抱えているんでしょうね。

<追記>
映像をさらに解説します。

イントロのギブソンSGのダブルネックギターは、ドン・フェルダーのパートです。ここでは12弦のネックにカポタストを付けての演奏です。

そして、最終盤のギターソロの掛け合い、最初のソロはドン・フェルダーで、6弦に切り替えての演奏。次のソロはジョー・ウォルシュで画面では右側のギブソン・レスポールですね。実際にはジョー・ウォルシュが使用したのはフェンダー・テレキャスターです。

そして、掛け合いから二人のアンサンブルとなります。

最も最後に一番上の画面で12弦も登場しますが、まさか、ドン・フェルダーが同時に弾けるわけもなく、こちらはグレン・フライが使用していた12弦アコースティックギターの代わりでしょう。

ちなみに、ライヴではほぼグレン・フライの音は聴こえてきません。

| |

« インドのなんちゃって中華 | トップページ | いい加減に見えて50年 »

Music Talk」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 陰の功労者:

« インドのなんちゃって中華 | トップページ | いい加減に見えて50年 »