陰の功労者
かすてら音楽夜話Vol.36
<ローマ>K-7/DA21mm
ご存じ「ホテル・カリフォルニア」はイーグルスの不滅の名曲です。だとしたら、その名前を頂いてしまおうという人もいるわけで、ローマはテルミニ近くにそのホテルも存在しました。
イーグルスは一度解散してしまいましたが、1994年に再結成され、スタジオ録音のアルバムリリースが極端に少ないものの、コンサートツアーも行うなどして、現在も活動中です。
最大のヒット曲となる「Hotel California」は1977年のリリース。38年前のこととなります。
元々はリンダ・ロンシュタットのバックバンドから派生したグループで、初期はカントリーロック風の作品が多かったのです。それは、バーニー・レドンというバンジョーやマンドリン、スティール・ギターを使いこなすマルチプレイヤーがいたためです。そのレドンの紹介でギタリストのドン・フェルダーが加入し、イーグルスはロック色を強めていきます。
しかし、バンドの主導権を握るグレン・フライとドン・ヘンリーとの関係が悪化し、レドンは脱退し、後任にはジョー・ウォルシュが加入します。このことでイーグルスはハードロック路線に傾いていくことになります。
YouTubeの映像いかがだったでしょうか。ヴォーカリストはドラムのドン・ヘンリー。もうひとりの主要メンバーであるグレン・フライは12弦のアコースティックギターを担当していますが、なんといっても印象的であるのは、映像の右側でギターを担当するドン・フェルダーとジョー・ウォルシュではないでしょうか。
印象的なイントロはドン・フェルダーによるもの。彼はダブルネックのギターを弾いています。イントロは上の12弦でつま弾き、ギターソロは下の6弦で弾いています。後半のギターソロとウォルシュとの掛け合いが素晴らしいです。
「Hotel California」のライヴ映像ですが、Capital Centerのパフォーマンスが素晴らしいんですが、イーグルスの公式YouTubeチャンネルが存在しないもので、削除されまくりです。
ちょうど、ひとりでイントロと後半のギターソロを解説するように弾いている人の映像がありましたので、ご覧ください。
ほとんど映像に出てこなかったベースのランディ・マイズナーですが、映像のツアーの最中にバンドを脱退しています。それも、リーダーであるフライとヘンリーとの間の軋轢なんだそうで、絶頂期にありながら、こうしたことが起きてしまうのですね。
実は「Hotel California」はほとんどの部分をドン・フェルダーが作曲したといわれています。作詞はドン・ヘンリーとされていますが、曲のクレジットはヘンリー、フライ、フェルダーの順になっています。グレン・フライは歌詞のアイディアを出しただけだそうですが、こんなところからバンドの状態が健全でなくなっていくのですね。
再結成時にドン・フェルダーはバンドに参加していましたが、結局はフライによって解雇され、法廷闘争となったそうです。
実は2004年に彼らが来日したとき、東京ドームに見に行ったのです。この時のメンバーはランディ・マイズナーに替わってティモシー・B・シュミットでしたが、ドン・フェルダーの姿がありませんでした。この時点では「不参加」という発表で、フェルダーのパートはサポートメンバーが完コピでつとめていました。この時すでに解雇されていたのですね。
きっちり見たかったな。
さて、「ホテル・カリフォルニア」の歌詞にはいつでもチェックアウトできるが、決して逃れられないという意味のところがあります。われわれ旅人もどこかに「ホテル・カリフォルニア」を抱えているんでしょうね。
<追記>
映像をさらに解説します。
イントロのギブソンSGのダブルネックギターは、ドン・フェルダーのパートです。ここでは12弦のネックにカポタストを付けての演奏です。
そして、最終盤のギターソロの掛け合い、最初のソロはドン・フェルダーで、6弦に切り替えての演奏。次のソロはジョー・ウォルシュで画面では右側のギブソン・レスポールですね。実際にはジョー・ウォルシュが使用したのはフェンダー・テレキャスターです。
そして、掛け合いから二人のアンサンブルとなります。
最も最後に一番上の画面で12弦も登場しますが、まさか、ドン・フェルダーが同時に弾けるわけもなく、こちらはグレン・フライが使用していた12弦アコースティックギターの代わりでしょう。
ちなみに、ライヴではほぼグレン・フライの音は聴こえてきません。
| 固定リンク | 0
「Music Talk」カテゴリの記事
- アウトテイクだらけで全米1位ゲット(2023.09.09)
- ムード歌謡じゃありません(2023.08.20)
- 達郎発言についての私的見解(2023.07.25)
- 代々木にGUEENを見に行った(2023.06.14)
- Queenのターニングポイント(2023.05.22)
コメント