« 重慶大厦に行ってみた | トップページ | Taj Hotelでレモンライス »

2016年1月10日 (日)

陸羽茶室に潜り込む

深夜特急の足跡を追うVol.20

今回ワタクシが旅先を香港・マカオにしたのは、深夜特急探索隊としてのミッションを帯びていたからです。ま、そればかりじゃないんですけどね。

Hs0118

<陸羽茶室>K-7/DA21mm

ということで、昼食はここで飲茶です。問題となるのは、お茶の代金だけで32HKDという、高額な設定の老舗で、人気があるためひとりで果たして入店できるのかということです。

 彼が案内してくれたのは、陸羽茶室という広東料理の老舗だった。しかし、その名店は、調度こそ重厚だったが、サービスには妙に格式ばったところがなく、実質一本槍なのがいっそ気持よかった。ディナーはまた別なのだろうが、近くの商店主やサラリーマンで満員になる昼は、メニューといってもザラ紙に印刷された品書きが出てくるだけだ。客はそこに自分たちの食べたい物の数を書き入れていく。(後略)
(沢木耕太郎「深夜特急」より引用)

Hs0119

<店内>K-7/DA21mm

予約もせずに突入してみました。ここは創業1933年。歴史のあるところです。ですが、現在はオーナーが替わり、味が落ちたという話も。とはいえ、沢木さんが落馬州(「深夜特急」では鞍馬州と記載)の国境展望台に一緒に出掛けた張君と翌日会食したところです。

当時はターバンを巻いたインド人のドアマンがいたようです。今もインド顔のドアマンはいましたが、ターバンは巻いていませんでした。インド人かどうかもちょっとわからないです。店内大混雑です。「ひとり」と指を立てると、「ちょっと待って」とレジ横の椅子に待つよう指示されました。それから10分ほどでご案内です。

Hs0121

<お茶は普洱>i Phone5c

お茶はもちろん香港でもっともよく飲まれている普洱(機種依存文字です。さんずいに「耳」、いわゆるプーアール茶、広東語ではポーレイ)にします。

 茶はポットに入ってくる。茶碗は小ぶりで、はじめ飲むときには熱湯の入った容器で洗ってから使う。ポットはふたを開けておけば何回でも注ぎ足してくれ、何十杯でも飲むことができる。
(沢木耕太郎「深夜特急」より引用)

確かに、分厚いメニューはなく(頼めば出すそうですが)、ザラ紙があるだけです。想像力を働かせて、豉汁蒸肉排(機種依存文字です。「豆」へんに「支」)、山竹牛肉球、蒸蘿蔔糕(機種依存文字です。「米」へんに「羔」)を選び、紙に記入してウェイターに渡します。

今では飲茶もオーダーシート式ですが、陸羽でも10:00以前は駅弁売りスタイルでテーブルを回るそうです。

Hs0124

<湯葉巻き牛肉シュウマイ>GR DIGITAL

まずやってきたのがこれ。蒸籠に入って熱々です。それにお茶と合うんだな。美味いです。画像は2個だけですが、ひとつ食べてしまったあとです。腹減っていたもので。

Hs0128

<豚肉スペアリブトウチー蒸し>GR DIGITAL

お皿だけのようですが、蒸籠でやって来ます。これまた熱々。トウチーというのが調味料のひとつで黒大豆を発酵させたものが原料だそうで。トウチーはたぶん初めて味わうものでしたが、この料理に関しては想像通りでした。少しだけ骨がありましたが、美味いです。

Hs0129

<蒸しダイコン餅>GR DIGITAL

これまた想像通りの料理でしたが、味わうのが初めてです。中国ハムとエビが入っていました。かなりジューシーで美味しかったです。

ちなみに焼いたダイコン餅もあるそうですが、そちらはハイカロリーです。

老舗であり、料金も高く、香港人が気軽に立ち寄る店ではないようです。この時間帯は観光客が半分くらいを占めていたようですが、朝などは常連客が2階に通されるそうで。その常連というのが、企業家や高給取りのビジネスマンのようです。

 点心を四種、野菜と肉の炒め物、魚の油煮、中国式ヌードル、中国式パイ。料理の名前はわからないが、とにかく満足するまで食べて、二人で二十ドル、千二百円にしかすぎないのだ。
(沢木耕太郎「深夜特急」より引用)

と、このように書いている沢木氏ですが、1HKDが60円だったのですね。香港が高度成長を遂げるのがこのずっと後ですから、張君はカリフォルニア留学してアメリカ資本の銀行に勤めているくらいなので、当時としても相当なエリートだったと思われます。

ちなみに気になる料金は194.7HKDでございました。また、この店では2002年に金銭トラブルで客が中国から来たヒットマンに暗殺されています。その18番テーブル(常連はいつもの席につく)は撤去されていないそうで、ここに座りたがる地元の人はいないそうです。何も知らない観光客がよくそこに案内されるそうで。オレじゃないだろうな。

この話は後日知りました。

| |

« 重慶大厦に行ってみた | トップページ | Taj Hotelでレモンライス »

Food」カテゴリの記事

Midnight Express」カテゴリの記事

201512 HK-Macau-Shen Zhen」カテゴリの記事

コメント

香港は何度も行ってらっしゃるから、沢木耕太郎ファンのヒョウちゃんは足跡いろいろ行っているに違いないと思っていましたが、ここは初めてでしたか。自分は1992年に行ったように思います。ただ、自信がないんです。ほかのお店かもしれないです。ガイドブックに紹介されていて、代表的な茶室として行ったと思うのですが。今となっては、初期の旅行では食べものの記録をほとんど残していなかったのが悔やまれます。行ったとして、沢木耕太郎が行ったころの雰囲気が残っていたでしょうし、TVドラマよりは前ですね。

投稿: とんび | 2016年1月11日 (月) 12時52分


とんびさん、こんにちは。
香港は5回目です。
結構行ってはいるんですが、「深夜特急の足跡を追う」シリーズを始めてからは初めてでして、かつて行っているところもあえて訪れました。
とはいえ、陸羽茶室は初めてです。
沢木さんと張君ですが、陸羽の普通の人が入るフロアかだったかどうかも不明です。
予約客や常連は上のフロアに通されると思います。
今でも、建物や店内を改修していないので、当時の雰囲気は十分残っていると思いますよ。

投稿: ヒョウちゃん | 2016年1月11日 (月) 19時11分

陸羽茶室、ひとりでもOKなんですね
10時前なら駅弁スタイルが残っているというのが魅力ですね
でも、やっぱり高いですね~(^^ゞ

投稿: kimcafe | 2016年1月14日 (木) 22時24分


kimcafeさん、こんにちは。
やはり、朝はそんなに混んでいないみたいですよ。
高額ですし。
ここはミッションなので我慢しましたが、やはり蓮香楼で飲茶したかったです。
次回の課題です。
もうずっと前からですが。

投稿: ヒョウちゃん | 2016年1月14日 (木) 23時19分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 陸羽茶室に潜り込む:

« 重慶大厦に行ってみた | トップページ | Taj Hotelでレモンライス »