トラムに乗って米粉を食べに行く
深夜特急の足跡を追うVol.22
<二階建てトラム>K-7/DA21mm
香港にだけ存在して、あとは世界のどこにもない乗り物とは?そう、二階建てトラムです。
この路線は香港島だけですが、西は堅尼地城、東はシャウケイワン(筲箕灣)まで走っています。途中、ハッピーバレー(跑馬地)への支線と北角への支線などがあります。運賃は全線均一で2.3HKD。基本どこまで行っても同じ料金ですが、乗り継いだ場合はその都度支払います。もちろんオクトパス利用可能。
そこで、今まで行ったことのない、シャウケイワンに行ってみることにしました。
1階席はベンチシート。2階席は前後を除き進行方向向きの座席で、右側が2席、左側が1席となっています。
中環あたりから乗車するとだいたい上も下も満席なんですが、ほとんどの乗客が乗り通すことはありませんから、絶対に座れます。
<乗車専用>K-7/DA21mm
乗車は後ろのドアから。回転するバーがあるので、これを押して乗り込みましょう。
<降車口>K-7/DA21mm
降りるのは運転席の脇から。ここで支払います。
<サンパン>K-7/DA21mm
終点のシャウケイワンから、海方面に進みます。
小雨が降る中を筲箕灣に行った。香港島の徳輔道から路面電車に乗って終点まで行くと、そこが筲箕灣だったのだ。
(沢木耕太郎「深夜特急」から引用)
沢木さんはロンドンまでの旅ではガイドブックを持っていませんでした。詳細な地図もありません。そこで、その都市の概要を頭に入れるために、市バスなどに乗って終点まで行き、往復して戻ってくるということをよくやっています。
当時の香港には地下鉄がありませんから、手軽な交通機関はバスとトラムです。なおかつ、均一料金のトラムですから、ベストなテキストだったのでしょう。
筲箕灣は小雨に煙って無数のサンパンに埋め尽くされていた。ここは香港仔のような観光地ではない。ただ人が住むためのサンパンがあり、バラックがあるだけの土地だ。
(沢木耕太郎「深夜特急」より引用)
画像だけ見ると、当時とあまり変わらない雰囲気もありますが、湾の周りには高層の建物がそびえ立っていました。ここも開発が進んでいます。
ここで、文無しの若者が登場し、沢木さんとしばらく会話した後、麺を食べようということになります。食べ終わったあと、若者は麺屋のオバサンに何事か告げたあと、立ち去ってしまいました。すっかり若者にたかられたと思った沢木さんは二人分の料金を払おうとするのですが、オバサンは受け取りません。若者は臨時雇いの仕事が入るので、二人分をツケにしてくれと言い残して立ち去ったようでした。
(中略)私は、失業している若者に昼食をおごってもらっていたのだ。自分が情けないほどみじめに思えてくる。情けないのはおごってもらったことではなく、一瞬でも彼を疑ってしまったことである。少なくとも、王侯の気分を持っているのは、何がしかのドルを持っている私ではなく、無一文のはずの彼だったことは確かだった。
(沢木耕太郎「深夜特急」より引用)
<向かいは九龍>K-7/DA21mm
船上で生活する人を「蛋民」と呼ぶようです。現在はほとんどが陸に上がってしまったようですが、これらの船から岸に接近して上陸する人もいますから、仕事は船の上という人もまだまだいそうです。
さあ、ワタクシも沢木さんに倣い、麺を食べましょう。
<鯪魚球米粉>GR DIGITAL
いわゆるフィッシュボール、つみれの麺です。機種依存文字で、「魚」へんに「綾」の「糸」へんを抜いたものです。「レンユーカウ」と読むようです。
麺の種類を選べたので、いつもの小麦粉麺をやめて米から作ったいわゆるビーフンにしてみました。とはいえ、麺がかなり柔らかく、乾燥させたものではありませんね。
つみれはけっこうぷりぷりしています。どうやら川魚のすり身団子とのことで、いかにも魚という味ですか。タイのルークチンとは全然違いますね。
<清湯>GR DIGITAL
スープは薄味でした。これなら、まだまだ他にも食べられそうなんですが。香港にしてはかなり格安の18HKD。ワタクシが以前訪れたときにはこの程度の料金で九龍でも雲呑麺が食べられたのですが。
ちなみに沢木さんがおごってもらったのも、「白い麺でさっぱり塩味」だったみたいですよ。
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