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2019年2月26日 (火)

ハワイの沢木氏

深夜特急の足跡を追うVol.32 番外編

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<ある種の史跡>KP/DA21mm

ホノルル4日目。最終日です。この日は2日目に雨で中断となった「ホノルル史跡巡り」の続きを行いました。

カラカウアアヴェニューを進んでいくと、不意にサーフボードの並んだ路地が現れました。ちょっと気になって進んでいくと、ビーチになります。そうです。そこがワイキキビーチなのでした。

ま、徒歩でやってこられるとしても、アラモアナホテルから水着のままで歩いてくるのは常識外の行動となります。

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<モアナ・サーフライダー>PowerShot

ま、それはともかく、そのビーチの背後にいかにもコロニアル様式のホテルがありました。なんか気になってガイドブックを開くと、現在はMoana Surfrider,A Westin Resorts & Spaという長ったらしい名前です。

1泊ツインで340ドルから。スイートで1350ドルからという、とんでも超高級ホテルですね。

ですが、このホテル一番上のプレートに記されている通り、1901年開業、ハワイで最も長い歴史を持つホテルなんです。当時の名前はMoana Hotel。

その名に記憶がありました。

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<中庭のバニヤンツリー>KP/DA21mm

あの沢木耕太郎氏が若き頃泊ったことがあるんです。

沢木さんはまだ「若き実力者たち」を出版する前の無名時代、とある研究会に参加することになります。そこで、当時は新進気鋭の建築家、磯崎新氏と知り合うことになります。

 そんな風にして二年ほどが過ぎた。
 あるとき、磯崎氏がハワイ大学で集中講義をすることになった。すると、今村氏は、私にこんな提案をしてきた。一緒にハワイに行かないか。一週間ほどハワイに滞在し、一日数時間だけ磯崎氏と対話する。それをテープレコーダーに録音しておき、資産家に聞かせる。要するに、磯崎氏の建築に対するイメージの引き出し役を務めないかというのだ。(中略)

 あまり期待はしてなかったが、そのハワイでの日々は信じられないほど楽しかった。泊ったホテルはモアナというコロニアル風のホテルであり、低層の木造建物のたたずまいが魅力的だった。そのホテルの一室で、午後の二、三時間雑談をすると、あとは何もすることはない。砂浜に出て泳ぐか、部屋で昼寝をしているか。そして、夜になると、磯崎夫妻や今村氏たちと食事に行く。帰りには、涼しい夜風を浴びながら、みんなで土産物屋を冷かしたり、ゲームセンターで遊んだりする。
(沢木耕太郎「旅する力 深夜特急ノート」より引用)

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<ホテル内部>PowerShot

深夜特急の旅に出る2年くらいまえのことでしょうか。と推定すると、1972年あたり。創業当時はこの前の通りを路面電車が通っている写真が残っています。

2枚目の写真は旧モアナホテルと形状は同じものですが、すでに木造建築ではなくなっています。ウェスティングループと手を組んでからは、隣接する建物を買収しそちらはかなり高層のビルとなっています。

正面のフロントから入ると、コロニアル様式が残されています。

沢木さん、さりげなく書いていますが、その当時でもここは格式あるすごいホテルだったのではないでしょうか。まあ、連れていかれたも同然で、自分のお金はほとんど使ってないのですけど。

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<バニヤンコートヤード>KP/DA21mm

この中庭でラジオ番組「ハワイ・コールズ」が放送されました。1935年から1972年ごろまでだそうです。この番組は世界中で流されたそうです。もしかしたら、沢木さんが滞在していた時にも番組があったかもしれません。

沢木さんは夕食の席でサラダのドレッシングを何にするかきかれ、フレンチドレッシングと答えたものの相手に通じず、磯崎夫人の宮脇愛子氏から「Have」を使って訪ねるといいとのアドバイスを受けます。すると、相手が理解してくれたと。

この「Have」を操りながら、香港からロンドンまで旅をしたともいっています。

しかし、わずか24、25歳くらいでこんなところに泊まれてしまう。このあたりは「深夜特急」に何回も出てくる偶然ではないんですが、なんとラッキーな星のもとに生まれた人だなあと感じますね。

つうことで、ワタクシも偶然ながら沢木氏の足跡をハワイで見つけました。その後の沢木氏はハワイ、それもホノルルあたりが大好きになり、アパートなどを借りて普通の生活を楽しんでいた時もあったそうです。

世界で一番好きな場所ともいってますね。

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コメント

どうもです。
過去記事にコメントします。
沢木さん、4月月例(寄稿時には全くバイラス影響無)
ビザカードの月報でショートエッセイ書いてます。
まだ巣ごもりは全く関係ない時期ですが、
NHKのBS1で放送されている
「駅ピアノ」が好きだそうです。
これって、各国のデカい駅にグランドピアノを
置いて、素人(仕込み有りか?)に
演奏してもらうわけです。
そして、もうギリシャとかドミニカとか
際限なく色々な国が放映されています。
つまり、NHK/BSは再放送
でないと維持出来ないんですね。
肝心なところは、沢木氏がこの番組に
凄い旅情を感じていることなんですよ。

こういう情勢なんで、
第2 深夜特急も 企画は
提出されそうですよね。
何故なら、深夜食堂なんて
韓国版と香港版が公開されていますよ。

投稿: ペンタのP | 2020年5月 6日 (水) 22時57分

ペンタのPさん。
ワタクシVISAを使用してますが、月報というものがあったんですね。
あとでちょっとチェックしてみます。
駅ピアノですが、記事も書いてます。
過去ログ見てください。
でも、駅にあるのはグランドピアノではなく、アップライトピアノですね。
そこまで贅沢じゃないでしょう。
かつての「劇的紀行・深夜特急」はすでに録画しているし、DVDも持ってます。
再放送となると、かなり画質が悪いんじゃないすか。
でも、わたしゃVHSから起こしたやつなんで、デジタル録画はしますね。
DVDはちゃんと買ったやつですけどね。

投稿: ヒョウちゃん | 2020年5月 6日 (水) 23時32分

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