30数年ぶりのアンサーソング
かすてら音楽夜話Vol.78
皆さん、Juicy Fruits(ジューシィ・フルーツ)というバンドをご存じでしょうか。デビューは40年前の1980年、シングル「ジェニーはご機嫌ななめ」(作詞・沖山優司 作曲・近田春夫)でデビューしました。
当時はやっていたテクノ歌謡といった感じで、ヴォーカルのイリア(奥野敦子)が裏声で歌う色物っぽいバンドとみられていました。
ワタクシ個人の好みは、「ジェニーはご機嫌ななめ」ではなく、セカンドシングルの「なみだ涙のカフェテラス」(作詞・近田春夫 作曲・柴矢俊彦)なんです(リンク)。この映像は再結成後のもので、イリアとドラムのトシ(高木利夫)だけがオリジナルメンバーです。
他のメンバーはギターの柴矢俊彦とベースの沖山優司です。もともとは近田春夫のバックバンドBEEFが母体となったバンドで、ほとんどの曲を柴矢氏と沖山氏が作曲しています。ちなみに作詞はほとんど近田春夫です。まあ、ほとんどが企画ものっぽいノリで作られていますが、演奏力は高いですね。それに、柴矢氏と沖山氏のコーラスワークもばっちりです。ちなみに柴矢氏はその後「おさかな天国」の作曲を担当しました。沖山氏はスタジオミュージシャンやライヴのサポートメンバーとして現在も活躍中です。
で、こうしたバンドのヴォーカルにありがちなのが、「まずまず歌がうたえりゃいいや」みたいなノリだと思います。でも、イリアはなんと中間部でしっかりとギターソロを聴かせてくれるんですね。
しかも、持っているギターがギブソンのレスポールですよ。これ、ものすごく重いんだそうですが、イリアは淡々と弾きこなしてしまうって、何気にすごくないですか?
その、「なみだ涙のカフェテラス」のカップリングで両A面としてリリースされたのがこちらです。
「恋はベンチシート」(作詞・近田春夫 作曲・沖山優司)でした。
わかりますかね。ベンチシート。当時もほぼタクシーやトラックくらいしか採用されてなかったと思いますが。シフトレバーが足元になく、ステアリングコラムに付いていて、シートが左右で分割されてないタイプですね。つまりはドライバーと助手席の人の距離を近くできるってやつです。それ以降何が起こるかは野暮なことは申しますまい。
これ、TVK(テレビ神奈川)のファイティング80の映像で蒲田にある日本電子工学院のホールで収録されたものです。このホール、今でもあるんですかね、トーマスさん?
<グランタクシー>MZ-3/FA28-105mm
余談になりますが、モロッコではグランタクシーという乗り物があり、大型のメルセデスなどを使っていたものの、前席はベンチシートではございません。でも、その助手席側に大人2名を乗せるんですね。これはキツイです。ちなみに後席には大人4名です。これ、ベンチシートだったらなと思いますね。
その後のジューシィ・フルーツは近田春夫のサポートを離れ、迷走時代に突入します。コンセプトがずれてきたんですね。サザンの桑田佳祐のサポートを受けた時期もありましたが、1984年に解散します。
時は流れ、2009年にオリジナルメンバーの半分でJuicy Halfとして始動し、2013年にJuicy Fruitsに戻ります。ギターとベースは新メンバーですが、まったくの素人ではなく、キャリアを積み上げてきた人たちですね。そして、2018年には34年ぶりのオリジナルアルバムを発売しますが、その中の1曲が「恋はベンチシート」への自らのアンサーソングになっていますので、お聴きください。
「ハイブリッドその後」でした。作詞はイリアですが、作曲はオリジナルメンバー、柴矢俊彦です。
こういう遊び心のあるバンドは好きですね。コミックバンド(例えばビジーフォー)なんかもそうなんですが、こうしたバンドはしっかりした演奏力があってのものです。ただふざけているだけじゃ、ダメなんです。「知子のロック」もそうした一面のあるしっかりしたバンドでしたねぇ(遠い目)。
★引き続きリクエスト、お待ちしています。
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コメント
ジューシー・フルーツ、懐かしい!!
当時は中学生でしたが、シーナ&ザ・ロケッツの方が
聴く回数は多かった気がします。
サディスティック・ミカ・バンドのネタなんかも記事に
してくれると嬉しいです♪
投稿: Naozo | 2020年6月10日 (水) 22時09分
ジューシィフルーツ❣️
以前お話ししたかもですが
マンガアシスタントの先輩が
イリヤさん宅に間借りしてまして
引越し手伝いで訪問したこと
あります。
先輩はイリヤさんの中学生姿を
覚えていると言っておりました。
あの収録ホールはもう
ありません^_^です。
投稿: トーマス | 2020年6月11日 (木) 09時17分
Naozoさん。
なんと、今でも現役です。
ホール公演があったはずですが、コロナで延期ですよ。
シーナさんも鬼籍に入って久しいです。
サディスティックミカバンド、了解です。
Naozoさんあたりからすると、桐島かれんがヴォーカルだった頃かな。
投稿: ヒョウちゃん | 2020年6月11日 (木) 10時00分
トーマスさん。
初耳です。
イリアの中学生ですか。
剛力彩芽似ですよね。
あのホールなくなりましたか。
もったいないな。
YouTubeにあのホールからの映像がかなりあるんですよね。
浜田省吾も佐野元春もあそこでやってました。
投稿: ヒョウちゃん | 2020年6月11日 (木) 10時07分
>桐島かれんがヴォーカルだった頃かな
桐島かれんは論外です。(笑)
11歳年上の叔父の影響で小学生の頃に聴かされて
いましたので、ヴォーカルはミカさんでしょう。
シーナさんの歌声は好きだったので、もっと聴きたかったな。
ご冥福を祈ります。
投稿: Naozo | 2020年6月11日 (木) 21時36分
Naozoさん。
小学生でミカバンド、それも初期のってすごくないですか。
この頃の映像、なかなかないっすね。
でも、がんばっちゃいます。
ありがとうございます。
投稿: ヒョウちゃん | 2020年6月12日 (金) 10時21分
懐かしどころで攻めてきますね、ジューシィ・フルーツ。
当時はウマヘタなバンドという印象でした。
ただ近田さんのBEEFから発展してできたバンドだと覚えていました。
とくにBEEFは私のお気に入りの「四人囃子」の2代目キーボード茂木さんがいたバンドですから。
「恋はベンチシート」をモジって、当時お笑いで大人気だったザ・ぼんちが「恋のぼんちシート」を出して、メチャ売れたのも思い出しました。ウィッキってみたら同じ近田さんの作詞・曲は当然だけど、編曲が鈴木慶一とは!ムーンライダース!(話がそれちゃいました・・)
たしか中坊の時に近田ハルヲっていう変わったおじさんが、やたら郷ひろみの「花とミツバチ」をラジオで歌謡曲No.1と絶賛していたのを「なんで?」という奇妙な記憶で覚えてます。
投稿: lastsmile | 2020年7月 3日 (金) 16時35分
lastsmileさん。
わたしゃ、結構こういうチープな感じだけど、個性的なバンドは好きなんですよね。
BEEFのメンバーに四人囃子の人がいたんですね。
情報ありがとうございます。
「恋のぼんちシート」は別物ですよね。
「♪そうなんですよ、川崎さん。A地点から B地点まで」ですよね。
楽曲的には「ベンチシート」のほうが優れてますが、セールスはザ・ぼんちに負けましたね。
でも、漫才師としては…。
近田春夫って深夜放送もやってたような。
ワタクシもそこで彼の名前を知りました。
近田春夫はワタクシ的には音楽評論でいいところを突いてくる人だなと思います。
当時ホットドッグプレスかポパイで連載持ってたんじゃないかな。今は、文春ですけど。
いやいや、今日は本当に濃い話ができました。
でも、lastsmileさんとのやりとり、わかってくれるのはごく一部の人だけのような気もしますが。
これからもよろしくお願いします
投稿: ヒョウちゃん | 2020年7月 3日 (金) 22時46分