天才少年歌手が満を持してのソロデビュー
かすてら音楽夜話Vol.77
皆さん、少年や少女のシンガーというとどのような人を思い浮かべるでしょうか。最近でしたら「崖の上のポニョ」の大橋のぞみ。古くは「黒ネコのタンゴ」の皆川おさむとかですかね。芦田愛菜もそうかな。海外でいうと、Stevie Wonder(スティーヴィー・ワンダー)がいまだに現役です。
ま、スティーヴィーは別格として、たいていは児童合唱団の出身だったりします。彼らに立ちふさがるのは「声変わり」という壁でして、シンガーとしてはたいていは青年期になる前に消え去ることになりますね。芦田愛菜は生き残ってますが、もはや歌手とはいえないでしょう。
本日取り上げるのはエレファントカシマシのヴォーカル、宮本浩次(みやもと・ひろじ、通称ミヤジ)です。画像はNHKのポップジャム出演時のもので、20年くらい前のものです。1966年生まれですから、誕生日が来れば54歳。
なんと、ミヤジは小学生当時にNHK児童合唱団に所属していて、10歳の時にレコードデビューを果たしているんです。しかもそれが、10万枚のヒットを記録したんです。
その曲は「はじめての僕デス」。「みんなのうた」で放送され、その後は競作され、あの加藤茶のヴァージョンもあります。リンクをつけておきましたので、聴いてみてください。皆川おさむとか問題になりませんから。
余談ですが、皆川おさむはひばり児童合唱団に所属していて、叔母がひばり児童合唱団の代表でした。そのデビューはある程度コネみたいなものもあったんじゃないでしょうか。ミヤジの場合、まったくコネはなく、歌唱センスなどからの大抜擢だったんじゃないでしょうか。
時は流れ、1988年、大学生のままエレファントカシマシでデビューします。紆余曲折はありましたが、現在まで活躍中です。
2018年、椎名林檎とのデュエット「獣ゆく細道」でソロデビューします。その後、東京スカパラダイスオーケストラの「明日以外すべて燃やせ」のヴォーカルに起用されます。そして、2019年、53歳にしてソロシングルを発売します。2020年、アルバム『宮本、独歩』をリリース。これまでも、プロモーションを行ってきましたが、コロナ騒ぎでソロツアーが延期ということになってしまいました。それだけは残念ですが。ワタクシもアルバムを手に入れたいんですが、タワレコなどが閉まってしまい、手に入れておりません。Amazonで入手可能ですが、やっぱり直接手に取りたいです。
こちら、デビュー曲ではありませんが、月桂冠のCMでも流れているので、聴いた方も多いのではないでしょうか。
ミヤジはエレファントカシマシの活動に100%全力を尽くしてきましたが、ソロ活動を決意するのは2012年に感音性難聴を患ってからといいます。左耳がきこえなくなり(その後手術で回復)、湘南の海で左耳を海風に当てているのが癒しになったと語っています(「NHK SONGS」)。そうしているうちに、「もうそろそろいいんじゃないか」という思いが沸き起こってきたといいます。
それからだいぶ時間は立ってしまいましたが、エレファントカシマシデビュー30周年などのイベントもありましたからね。
エレファントカシマシでのヴォーカルでは、だいぶ喉に負担のかかるような歌い方をしていました。楽曲(ほとんどを自身で作詞・作曲)が歌うとなるとかなり難しいというものもあります。これはバンドということを考え、あえて、そうしているのだと思います。作詞ということを考えますと、意外にもエレファントカシマシのミヤジの言葉はごく普通の日本語です。英語のフレーズなど皆無に等しいです。ま、ライヴなどでは「楽しんでくれ、エビバデ!」とか叫んでますけどね。
でも、ソロ作品の言葉では英語のフレーズも結構多用されてます。聴くとかなりわかりやすく、ストレートにミヤジの思いが伝わってくるような気になりますね。
これだけのキャリアがある人がソロになると、ターゲットを大衆寄りにべったりということがあります。そのいい例が谷村新司や堀内孝雄ですかね。でも、そこまで迎合せず、自分の立ち位置を維持したまま、わかりやすいソロ曲を作っていくというのは、桑田佳祐、奥田民生あたりに通じるものがあるのではと思います。
個人的にはソロ活動は今年いっぱいで、来年からはエレファントカシマシに戻ってきてほしいのですが、ソロとしての大きな可能性を見せてくれました。
今後も末永くロック歌手として頑張っていただきたいです。
最後におまけです。NHKの「うたコン」での「雨上がりの夜空に」(RCサクセション)のカバーです。これは天国の忌野清志郎も喜んでいると思いますよ。奥田民生、トータス松本、斉藤和義などのカーリングシトーンズのメンバーも大喜びでした。
宮本浩次、その未来にハレルヤ!
★引き続きリクエスト受け付けてます。洋楽もアリですよ。
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コメント
この方の白シャツと黒の上下という
スタイルが何時からなのか知りません。
ポニーCと東芝EMI時代はパンク?ぽいですね。
でもメンバー全員が、あの細いボトムを
履けるのは凄いです。
私見ですが、還暦を過ぎて外面を
維持するのは芸能人でも難しいですね。
さだや谷村氏等は別人化しています。
さて、今年の日比谷野音は無いでしょうから
雄姿を見られるのはいつのことでしょうか。
それからE‐YAZAWAは20歳台の自分について
「下手くそ」過ぎると嘲笑していました。
投稿: ペンタのP | 2020年6月 6日 (土) 11時30分
ペンタのPさん。
白シャツと黒ジャケ、細身の黒ジーンズは2000年代あたりには定番化していたようでもあります。
あれ、いずれもブランド品らしいです。
1988年のデビュー後はバブル期でダブダブの衣装が多かったような。
いやいや還暦過ぎても竹内まりやとユーミンはほぼ変わらないですよ。
坂崎幸之助なんかもそうでしょ。
探せば結構います。
永ちゃんの20代ってキャロルの頃かな。
彼も歌うベーシストですね。
もはや、ベースは弾かないでしょうが。
投稿: ヒョウちゃん | 2020年6月 6日 (土) 22時32分
わたくし、全然無名の頃の
アルフィーを見たことがあります。1981年です。
確かに坂崎幸之助は歳をとっていませんね。
でも、自分は高見沢 俊彦のようで
ありたいです。もちろん、ミヤジも目標
ですよ。また唄いたいですねぇ。
投稿: ペンタのP | 2020年6月 7日 (日) 12時49分
ペンタのPさん。
坂崎氏はギター芸人風でもありますが、交友関係が深く、大瀧詠一から吉田拓郎あたりもラジオでゲストに呼ばれたり、呼んだりしてますね。
これら、YouTubeで音声だけですが上がってますので、ワタクシ的には参考になります。
タカミーはワタクシ的には別世界の人ですね。
堂本光一がもうちょっと歳を取るとあんな感じになりますかね。風貌だけですが。
投稿: ヒョウちゃん | 2020年6月 7日 (日) 13時35分