う~ん、マンダム
かすてら音楽夜話Vol.89
ほぼ、現在の若い人にはわからないと思いますが、このブログの読者には当たり前のように理解できる話です。
A「お前、顎に何かついてるよ」
B(手のひらで顎を撫でる)
A「う~ん、マンダム」
それほど影響力の強いCMでございました。
現在の株式会社マンダムですが、もともとは「丹頂チック」という頭髪をスティック状のもので固めて整髪する男性化粧品会社で、社名も丹頂でした。ところが、資生堂がMG5という男性化粧品シリーズを発売すると、会社はジリ貧状態となり、倒産の危機を迎えます。
そこで、1970年にチャールズ・ブロンソンをCMに起用したマンダムシリーズを発売すると、これが大ヒットし、社名もマンダムに変更し現在のマンダムがあるわけで、チャールズ・ブロンソンは社の救世主だったわけです。ちなみに、CMの監督はあの大林宣彦氏でした。
そのCMをバックに流れるのが次の曲です。お聴きください。
この曲はアメリカのカントリーシンガー、Jerry Wallace(ジェリー・ウォレス)の「Lovers Of The World」(邦題:男の世界、再リリース時は、マンダム~男の世界)です。原題と邦題がややニュアンスが違いますが、曲中では確かに「♪Mandom」と歌う個所はあります。
CMではブロンソンは演技をするだけで、吹替の大塚周夫さんが「う~ん、マンダム」といっていたのではないかと思います。
でも、これは曲も大いに当たりましたね。当然アメリカではシングルカットもされてないCM用の曲ですが。でも、これは歌詞も曲もジェリー・ウォレス自身が作りました(別の作者がいるという説もあります)。
日本限定の曲でしたが、その後、日本人歌手によってカバーされます。
まずは、尾崎紀世彦ヴァージョン。
それにしても、ここで尾崎紀世彦を2回も取り上げるとは思いませんでしたよ。演奏のアレンジはややオリジナルと異なりますが、歌は原曲に忠実ですね。英語も上手いです。
ブロンソンと比較すると迫力はやや弱いですが、キャラ的にはだいぶ濃いですよね。もしかして、マンダムの二代目キャラクターを狙っていたとかじゃないだろうな。
お次は斎藤任弘ヴァージョン。
この方、ネット検索してもほぼ情報がないのですが、カントリー&ウエスタンのシンガーのようです。
この曲の情報もないのですが、ジェリー・ウォレスのリリースと同じ年に日本語詞をつけて発売されています。シングルだったんですね。日本語詞の作者もわかりません。もしかして、本人か。
歌は日本語なんですが、途中の西部劇風の効果音と被った形の台詞は英語ですね。尾崎紀世彦がジェリー・ウォレスを踏襲しているとしたら、この方は少しでもオリジナリティを出したかったのでしょうか。
なお、1972年に細野晴臣のプロジェクトに参加し、カントリーのコンピレーションアルバムに参加してます。ちょうど「はっぴいえんど」の末期で松本隆もドラムスで参加してますね。
最後にブロンソンズをどうぞ。
ブロンソンズとは、みうらじゅんと田口トモロヲによるユニットです。台詞はあの大塚周夫さんが担当しています。とんでもない台詞ですが。
二人ともチャールズ・ブロンソンの「男気」に意気投合し雑誌連載から発展してCDデビューまでしてしまったものですね。仕掛け人はもちろん、みうらじゅんでしょう。
みうらじゅんは平成初期のバンドブーム時に業界人と「大島渚」というバンド名で「イカ天」に出演し、「カリフォルニアの青いバカ」をいう曲を演奏しアルバムもリリースするほどでした。1995年リリースのシングルがこの曲ですが、当時みうらじゅんにはチャールズ・ブロンソンが降りてきたに違いありません。
田口トモロヲは現在落ち着いた仕事が多いですが、伝説のパンクバンド、「ばちかぶり」のヴォーカルでしたから、同学年のみうらと共感することも多かったのではと思います。
現在の田口トモロヲのような立ち位置の人で、うじきつよし、陣内孝則、赤坂泰彦などが降りますが、いずれもミュージシャンでした。
25年前のブロンソンズですが、テンガロンハットにジーンズ、ウエスタンシャツ、付け髭というファッションでした。とても、チャールズ・ブロンソンほどの迫力はありませんでしたが、現在のみうらじゅんは髭も自前でいい味出してます。
わたしゃ、一部マンダム製品を使ってますが、特にチャールズ・ブロンソンに感化されたことはありません。現在の男性化粧品業界ではあのような男くさいキャラクターはNGなんだろうな。今なら、加齢臭対策のボディソープとか、汗をかいたときにふき取るボディシートとかあるんですが、そういうCMはなんかあざといかも。
ブロンソンならこう言うね。「う~ん、マンダム」。
1曲目ジェリー・ウォレスの「Lovers Of The World」と4曲目ブロンソンズの「マンダム~男の世界」はそのままだと再生できませんので、再生ボタンをクリック後、YouTubeに飛んでください。お手数かけます。
☆一部訂正・加筆しました。
★引き続きリクエスト、ご希望受け付けてます。
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コメント
冒頭の顎を触るギャグ、あまりに懐かしすぎて不思議な気分になりました(笑)。
投稿: おりんぴあ | 2020年8月13日 (木) 23時55分
このブログの読者層ってそんなに高年齢なんですか(笑)。
と言いつつ、先日自分のブログにいただいたコメントからちょっと検索してみたら、丹頂チックが現在も昔のままの姿で製造・販売されていることを発見して仰天しました。
投稿: Lunta | 2020年8月14日 (金) 10時49分
おりんぴあさん。
おりんぴあさんも当然やりましたよね。
50年たってもジェリー・ウォレスの歌はかっこいいし、チャールズ・ブロンソンは渋いですね。
二人ともすでにお亡くなりになってますが。
投稿: ヒョウちゃん | 2020年8月14日 (金) 21時40分
Luntaさん。
ワタクシの音楽話は70~80年代(特に洋楽)に的を絞ってます。
テイラー・スイフトとか無理でございます。
ま、自分がよく聴いていたあたりをターゲットにしてます。
すなわち、ヤムの会世代に重なります。
丹頂チックはほぼ需要はなくなったと思いますが、あれじゃなくてはだめという人たちがいる限り製造するんじゃないすかね。
亡き父が愛用してましたです。
投稿: ヒョウちゃん | 2020年8月14日 (金) 21時46分
あのCMはまさにお手本のようなCMですね。商品ターゲット、キャラクター、音楽、演出が相乗効果で作り上げたCMでした。
あの曲も日本人好みですね。
私のチャールズブロンソンのイメージって、「大脱走」の穴掘り名人というイメージが強すぎて。。
あと覚えている人はいないと思うけど。
昔「男一匹ガキ大将」って漫画で、株の世界で光五郎のライバル「金原力蔵(台風の力蔵)」っていうのが、チャールズブロンソン激似でした。誰も知らないだろうなぁ。
投稿: lastsmile | 2020年8月17日 (月) 13時11分
lastsmileさん。
あの大林宣彦監督作品はその後の角川映画よりもインパクトあるんじゃないすか。
原田知世より、チャールズ・ブロンソンですよ。
ブロンソンズには「大脱走のテーマ」もありますね。
たぶん、YouTubeにも上がっていると思います。
わたしゃ、ジャンプはあまり読んでませんでした。
本宮ひろ志もほぼわかりません。
でもなんとなく、実際の矢沢永吉みたいなストーリーでもあるんすかね。(間違っていたらすいません)
投稿: ヒョウちゃん | 2020年8月17日 (月) 21時10分