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2021年5月27日 (木)

レノンの凶弾に隠れた曲

かすてら音楽夜話Vol.116

 

冒頭の曲はJohn Lennon(ジョン・レノン)の1980年の曲で「Starting Over」です。

1980年12月8日(日本時間で翌日)、ニューヨークのダコタハウス(ジョンの自宅)前で狂信的なファンであるMC(イニシャル)により、ジョンは銃撃され、その後亡くなりました。

「Starting Over」はアルバム『Double Fantasy』からの先行シングルで、10月にリリースされました。

しばらくの間ジョンはハウスワイフ、つまり主夫生活(息子のショーンを養育するため)をしていて、ミュージックシーンに復帰するのはほぼ5年ぶりでした。「Starting Over」もどちらかというとジョンの復帰ということのほうが話題になっていた曲です。

もともとビッグアーティストですからビルボードのシングルチャートが上昇するのはわかっていたことと思います。現在と違いたとえジョンでも初登場1位という勢いがあったわけではありません。

とりわけ、この曲の前に1位だった曲は、Kenny Rogers(ケニー・ロジャース)というカントリー系シンガーの「Lady」が6週連続の1位を保っていたのです。

ですが、ジョンの悲劇を受け、「Starting Over」は12月27日についに1位を獲得し、5週連続1位となりました。ジョンの生涯売り上げ(ビートルズを除く)でも「Starting Over」が最大となりました。

さて、その陰で5週間ビルボード2位のままだった曲があります。

 

Leo Sayer(レオ・セイヤー)の「More Than I Can Say」(邦題「星影のバラード」)でした。

レオ・セイヤーはイギリス人のシンガーソングライターですが、この曲は自作ではなくクリケッツというバンドのカバー曲です。でも、レオ・セイヤーのヴァージョンが最大のヒットとなりました。

アメリカ進出に際しても「The Show Must Go On」(こちらはレオの自作)という曲がアメリカのバンドThree Dog Nightに取り上げられたのがきっかけです。

1980年当時、ワタクシは週末になると深夜ラジオを流し、ビルボードのチャートをチェックしておりました。で、ケニー・ロジャースの「Lady」の次は「More Than I Can Say」が絶対次の1位になるだろうと思っていたんです。

この曲、直接ビルボードのチャートには影響しないんですが、日本人の心をちょっと揺さぶるような感じがありませんか?。邦題は「バラード」となっており、バラードには違いはありませんが、節の回し方などが演歌チックだったりします。

でも、ジョン・レノンの悲劇を耳にし、「ああ、これでレオ・セイヤーは1位になれないな」とも思いました。

Leosayer

ところで、レオ・セイヤーはそれ以前に2曲のビルボードシングル1位を獲得しています。

ひとつは「You Make Me Feel Like Dancing」(邦題「恋の魔法使い」)で自作曲、もうひとつは「When I Need You」(邦題「はるかなる想い」)で、こちらは「カリフォルニアの青い空」のAlbert Hammond(アルバート・ハモンド、イギリス人)とCarol Bayer Sager(キャロル・べイヤー・セイガー)による曲です。しかも、この2曲は連続のものです。

余談ですが、キャロル・べイヤー・セイガーは竹内まりやの「Fly Away」という曲の作詞を担当しております。

ただのバラード歌手ではないレオ・セイヤーを堪能してください。

 

「You Make Me Feel Like Dancing」、1976年のビルボード1位でした。

1976年というとディスコブームの1年前。レオ・セイヤーはファルセットまで駆使し、ひとりビージーズ状態ですね。

と、いうことでレオ・セイヤーでした。現在オーストラリア在住でこのコロナ禍の世界についての曲を発表したとか。

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コメント

ジョン・レノンの話かと思えば、まさかのレオ・セイヤー。
レオ・セイヤーは自分にとって思い入れもあり、記事にしてくれてありがとうございます。

スリードッグ・ナイトの「ショー・マスト・ゴー・オン」が大好きで、特にラジオで歌詞の意味をDJが話して更にお気に入りの曲になりました。

で、この曲を作ったレオ・セイヤーがその後まもなくミュージック・ライフ誌のレビューと広告に載って、その姿がピエロの化粧をしていたのがとても印象的でした。
聴いてみたいと思っても中学生にはそうそうレコードを買う小遣いもなく・・・。
レオ・セイヤー=ピエロという画像がいつまでも頭に残っていました。

ホテルのポーター時代にホテル火災で燃え落ちるフロアから宿泊客を救出したあと、今度は彼自身が逃げそびれ何とか助け出されたエピソードも印象深かったです。一度命を落としかけたレオ。
名曲の多いレオも失読症であるため作品を作るのに苦労したようですね。


デビューきっかけとなったロジャー・ダルトリーとの話や、色々と語り合いたいこともありますが、また長くなってしまったので。すみません。


ちなみに「スターティング・オーバー」
「有吉・マツコの怒り新党」のBGMでいい感じに使われて、出だしのところは聴いたことのある30代前後は多いのでは?最近有吉・夏目結婚話題で、再度「スターティング・オーバー」の歌詞が二人の未来を暗示するような内容だったと話題になってますね。

投稿: lastsmile | 2021年6月 3日 (木) 13時58分

lastsmileさん。
コメントありがとうございます。
正直、これに反応してくれる人はいないのではないかと思っていましたが、流石です。

Three Dog Nightは小学生の時に「Black & White」が友だち内でブームになりました。
当然お金が足りませんので、誰かがスリードッグナイトを買って、自分はラズベリーズを買ったと。
今思えば、「Black & White」はポールとスティーヴィーの「Ebony & Ivory」よりも先を行ってましたね。

のちにお金が自由になるころ、スリードッグナイトもレオ・セイヤーもベストアルバムを買いまして、「Show Must Go On」って、レオ・セイヤーじゃんと気づいたんですね。

ホテルのポーターをやっていたとか、失語症であるということは今知りました。
ありがとうございます。
レオ・セイヤーはソングライターではあるけれども、いい曲であれば人の曲でも受け入れるという柔軟さがありますね。
「More Than I Can Say」はバディ・ホリーがなくなった後のバックバンドの曲なんですね。

有吉に関しては「有吉の壁」は見てるんですが。
有吉と坂上は露出を控えてほしいとは思ってるんですけどね。
「Starting Over」が使われてるんだ。

今日はいろいろと参考になりました。

投稿: ヒョウちゃん | 2021年6月 3日 (木) 21時34分

追加してすみません。
ヒョウちゃんが「失語症」と書いたのでその部分でちょっと補足させてください。
レオは失語症ではなく「失読症」のようです。失語症は読む・話す・書く・読むの4つの障害ですが、失読症は「読む」ことだけ障害ということのようです。
後天的なもの?頭部への衝撃からのものでしょうか、火災時の死にかけた時なのか、その後ステージから転落・大怪我した時の後遺症なのか、私もそこは知っていません。

ただ、読めないからこそ音楽感性は研ぎ澄まされたのかもしれませんね。

「ショー・マスト・ゴー・オン」を探してきたチャック・ネグロンがこの曲を歌っていました(スリードックナイトはそういうシステム?)が、たしか1年後にチャック逮捕されちゃいましたよね。・・逮捕されてもショーには行かなければならない・・皮肉な歌に。


有吉マツコの怒り新党は2011年の震災の後に放送開始。
当時有吉はAKBの番組のMCをしていたくらいで、またマツコも毒舌・巨体で出てきたころで好感度がない頃、そして夏目も日テレ退職後の初番組だったようで、こんな3人の番組だから、深夜1時過ぎの30分番組といえど「すぐ終わるんじゃない?」というのが大方の予想だったようです。

それが何年か後に正月ゴールデン特番になるくらいの人気番組になって、3人にとってステップアップの番組になったのは間違いないですね。私も好きで録画して観ていましたよ!
もう4年前に終わっちゃいましたが。


ここで使われたスターティング・オーバー。
まだ鮮度高く切れ味鋭い二人の毒舌、それを夏目が叱責し包み込むようなほんわかした雰囲気にかわり、そしてそこにこの曲。使い方のうまいBGMだと本当に感心しました。

有吉、マツコは今でこそ各局にたくさんの冠番組を持つようになったんだけど、この原点ともいえるこの「怒り新党」はいろんな意味でも超えられないんじゃないかなぁ。
私も最近二人の冠番組から遠ざかっています。

最後にジョン・レノンが凶弾に倒れた時。
私は江戸川の本屋で立ち読みをしていて、店内に流れていたラジオの放送で知り、ただ何も考えることなく時が止まったかのようなだったのを覚えています。
(ああ、メチャ長すぎ・・ごめんなさい)

投稿: lastsmile | 2021年6月 4日 (金) 12時27分

lastsmileさん。
コメントありがとうございます。

「失読症」でした。すいません。
学習障害のひとつですね。
トム・クルーズがそうだとかで。
新たに脳に手術であるとか、衝撃が加わるなどで起こりえることかもしれませんが、多くは先天的なものです。
ただ、レオ・セイヤーの頃はほぼ理解がなかったでしょうから相当苦労したと思います。
日本じゃ認知度ゼロに近いです。
そちらの分野の研究は欧米が先進的で、日本は全然後発グループです。

「怒り新党」って終わってるんですか。
知りませんでした。
勤め人時代はほとんどテレビは見ず、興味のあるものだけ録画する程度でした。
それが、昨年からは結構見てます。
テレビをつければ有吉だらけなんですが、坂上忍よりは全然好感度上ですね。
有吉も毒舌で売っていたころはかなり無理してるなという感じでしたけど、最近はお茶の間になじんできましたね。<かつての毒蝮三太夫みたいな

ジョンのニュースはラジオから知ったと思います。
ビートルズのひとりでカリスマ的な人だなという認識はしてましたね。
今「ボヘミアンラプソディ」テレビでやってますけど、フレディがエイズと発表しその翌日に亡くなったニュースのほうが衝撃は大きかったですね。
といって、ジョンの死をディスるものではありません。

ここのコメントは文字制限も禁止ワードもないですから、思いのまま存分に書いてください。
誰も迷惑感じてませんしね。

そろそろ、次のリクエストどうすか?

投稿: ヒョウちゃん | 2021年6月 4日 (金) 21時23分

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