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2021年6月13日 (日)

The Policeの消したい過去

かすてら音楽夜話Vol.118

Police

イギリスで結成されたThe Police(ポリス)というバンドがありました。

短期間の活動に終わりましたが、スリーピースバンドとしては最も成功したバンドかもしれません。

 

曲はデビューアルバムの『Outlandos d'Amour』から「Roxanne」でした。曲自体は英米ともに中ヒットに終わっております。

ポリスのメンバーですが、Sting(スティング、Vo & Bass)、Andy Summers(アンディ・サマーズ、Guitar)、Stewart Copeland(スチュワート・コープランド、Drums)で、スチュワート・コープランドだけはアメリカ人です。ただ、スチュワート・コープランドは父親の仕事の関係でアメリカに定住しておらずイギリスで教育を受けています。そして、その兄がレーベルを開設しそこからデビューしております。

「ロクサーヌ」を聴いておわかりかと思いますが、レゲエを取り入れた新しいタイプのロックバンドです。そして、セカンドアルバムもフランス語表記の『Regatta de Blanc』(邦題「白いレガッタ」)であり、直訳すると「白人のレゲエ」なんです。

こんな感じでなかなかにスノッブな人たちであり、どことなく近寄りがたいカリスマ性を持っているバンドだと思っていました。2度目の来日をするまでは。

3枚目のアルバムが『Zenyatta Mondatta』(ゼニヤッタ・モンダッタ)というタイトルで意味不明です。Wikiの英語版によれば禅とケニアの初代大統領ケニヤッタから名付けたようなことが書いてありますが。

ともかくその頃にはアメリカでも名が知られ始め、日本でもかなり知られるようになってきました。その、2度目の来日時に「夜のヒットスタジオ」に出演した映像が残っております。

 

これ、リアルタイムで見ていましたけど、自分が勝手に思い込んでいたポリスのイメージを見事にぶち壊してくれました。

なんでも武道館公演直後だったようで、よくぞポリスも出演をOKしたものです。

スティングはステージでは決して演奏しないサックスを持ち込むわ、MCの井上順はメンバーとコントのようなやり取りをするわ、挙句の果てにスティングは当時出始めたカシオのデジタルウォッチ(決してG Shockではありません)を見せびらかすわという有様です。

おまけに、ザ・ぼんちのおさむちゃんもちゃっかり世界的アーティストと絡んでますけど。

演奏曲は「De Do Do Do, De Da Da Da」というこれまた意味不明なもので、ビルボードで10位、UKチャートで5位のスマッシュヒットです。しかも、演奏自体が明らかな口パク。スティングはベースさえ持ってないし、スチュワート・コープランドはドラムセット自体をたたいてないです。アンディ・サマーズだけはギターを弾いてますが、これまた本体とアンプがつながれていないと。

ま、これはポリス自身も口パクなのがわかっていたからわざとこのようにふるまっていたと。でも、このように後世に証拠が残っちゃうんですよね。

ちなみに、流れていた音源はシングル・アルバムと同一です。

それにしても、当時のフジサンケイグループってすごかったんですね。

さて、ポリスの隠したい過去はこれだけではありません。

なんと、日本語版の「ドゥ・ドゥ・ドゥ・デ・ダ・ダ・ダ」でございます。この日本語訳詞はあの湯川れい子御大が手掛けているのです。

湯川さんというと同時期に稲垣潤一の作詞も担当し、シャネルズ~Rats & Star、果てはあの大ヒット曲の「恋に落ちて」も担当しているのですが、このやっつけ感はないでしょう。

スティングの日本語も誰か発音指導してよというレベルですけど、すべてを入れなおすわけですからそれなりの時間は必要だったと思われます。

まあ、世界的なプロモーションのため英語以外の言葉でリリースするという戦略は結構昔からありました。

あのビートルズでさえ、ドイツ語版の「Sie Liebt Dich」(「She Loves You」)とか「Komm, Gib Mir Deine Hand」(「I Want To Hold Your Hand」邦題「抱きしめたい」)もあるくらいですから。

でもねえ、日本語版のこれはなくてもそれなりに売れたんじゃないかな。でも、このシングルを持っている人はかなり貴重ですね。

その後のポリスは1983年のアルバム『Synchronicity』でビルボードのアルバムチャートも1位を獲得し、シングルカットされた「Every Breath You Take」(邦題「見つめていたい」)でもシングルチャート1位のダブル制覇となりました。でも、直後に解散しちゃいましたが。

スティングはその後ソロアーティストとして成功しています。

やあ、誰にでも黒歴史はあるもんだわ。

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コメント

ポリスはオンタイムではあまり聴かなかったです。確かにRoxanneとか独特の曲調で私はとっつきにくかったです。Every Breath You Takeは好きでしたけど。

ヒョウちゃんは「夜のヒットパレード」と書いていますが、「夜のヒットスタジオ」かなと。
そういえば洋楽のミュージシャンも結構出ていましたね。
噂になっていたキヨシロー率いるザ・タイマーズの出禁事件映像はyoutubeになって初めて実際に観ました。(便利な世の中です)

で、スティングで一番好きなのはFields Of Gold。実はスティングの歌う曲を聴いたのが最初ではなく、夭折の稀天才エヴァ・キャシディの同曲を聴いてとっても感銘。そこからスティング原曲へ遡りました。
ポール・マッカートニーもこの曲をポール自身の人生そのものとし「僕があれは作るべきだった」と絶賛してますね。スティングが盗作したとか冗談を言ってましたけど。

投稿: lastsmile | 2021年6月15日 (火) 13時28分

lastsmileさん。

ワタクシも2枚目のアルバムまではどこかとっつきにくくてポリスのアルバムは買ってないんです。
『Zenyatta Mondatta』あたりから一般人と波長が合ってきたのかな。(ポリスがポップになってきたともいえます)
そこからはアルバムも買うようになったと思います。

「夜ヒット」のご指摘ありがとうございます。
訂正しておきました。
RCの『Covers』もタイマーズもリリースされて即買いだったのですけど、やっぱりそのころテレビはあまり見てなくて、「ゼリー」のあの事件は見逃しております。
同じくYouTubeで見ましたが。
すでに司会は古舘伊知郎に代わってましたね。
でも、彼は(別の局ですが)アナウンサー出身で、その中では型破りではありましたが、予定調和できないことが起こって、憮然としてました。
それとも、すべてわかっていてあの表情だったのかな。

自分の場合、ポリス解散後はスティングを追うことはなく現在に至っております。

ところで、小林亜星氏がお亡くなりになって、もう1件挟んでいいすかね?
リクエストには必ずおこたえいたします。

投稿: ヒョウちゃん | 2021年6月15日 (火) 20時47分

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