青田買いにあっても
かすてら音楽夜話Vol.123
ジャニーズ事務所に所属のタレント、従来であれば安定の職業作曲家に依頼した曲をシングルに持ってくるのが普通でした。
事実SMAPの初期は馬飼野康二や筒美京平に依頼しています。ですが、思ったほどの成果が上がらず、専属作家ともいえる若手にシフトしていくことになります。ま、これは現在でもこのやり方で行うことが当たり前になっています。
このあたり、印税は作家に支払われず1曲いくらで契約しているものと思われます。
<山崎まさよし>
しかし、SMAPは順調に売れてきたというのに、どういうわけかジャニーズ事務所は売り出し中の若手、山崎まさよしの「セロリ」をカバーすることになります。
山崎まさよしの「セロリ」(作詞作曲:山崎将義 編曲:山崎将義・中村キタロー)でした。
山崎まさよしと水着の女性軍という今となっては貴重な映像です。こちらは山崎まさよしの3枚目のシングルで、1996年にリリースされ、オリコン68位と沈んでいます。
SMAP版はYouTubeに上がっても即座に削除されるものですから、ここでは映像はありません。SMAPは翌年の1997年に「セロリ」のカバーをリリースし、オリコン2位を記録しています。こちら、ドラマとのタイアップだったようです。
しかし、これにより山崎まさよしの知名度はアップし、映画とドラマに主演するということにもつながっていきます。その後も着実にアルバムをリリースし、中堅のアルバムアーティストとして活動しています。
ジャニーズに才能を青田買いされたわけですが、それを確実にその後のアーティスト人生に生かした例ですね。
さて、SMAPは「セロリ」の次「Peace!」を挟んで「夜空ノムコウ」を1998年にリリースし、初登場1位を記録します。
スガシカオの「夜空ノムコウ」(作詞:スガシカオ 作曲:川村結花 編曲:スガシカオ・森俊之)でした。
上記の通り、スガシカオと川村結花の共作になりますが、本来は川村結花による別の歌詞があり、それを男性の視点によるものに変えるためにスガシカオが起用されたそうです。
すなわち「夜空ノムコウ」は提供曲であり、SMAPのオリジナルということになります。
のちにスガシカオはベストアルバム『Sugerless』でカバーし、川村結花もシングルとしてカバーしています。川村は自身の歌詞を封印しスガシカオの歌詞で歌っています。
当時のスガシカオはメジャーデビュー2年目です。一度はサラリーマンを経験した苦労人なので、「夜空ノムコウ」を自分が歌ってもいいのかと悩むことになります。歌詞の依頼にしても真剣に悩みかなりの時間をかけたようです。
でも、スガシカオは「夜空ノムコウ」をしばらく封印することで、自身のファンクをルーツとする活動に没頭できたといえます。
ところで、山崎まさよしとスガシカオは当時同じ事務所(オフィスオーガスタ)に所属していて、よく共演していました。
福耳で「星のかけらを探しに行こう Again」でした。リードヴォーカルは元バービーボーイズの杏子ですね。
現在、スガシカオは独立し、インディーズ活動を経てメジャーと再契約し現在に至っています。
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