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2021年10月 3日 (日)

昭和カルト歌謡

かすてら音楽夜話Vol.130

Tomorok

ワタクシの知り合いにミュージシャンをやっていた人がおります。ブログにも数回登場し、かつコメントも下さる「すずき銀座」さん、またの名を「トーマス」さんといい、かつてテレビ朝日で深夜に放送していた「えびす温泉」という勝ち抜きのオーディション番組に「知子のロック」として登場された方です。

初めて登場した時のインパクトはかなりのものでした。お揃いのパンタロンにフリルのついたシャツといういでたち。インタビューに対応するのはリーダーのトーマスさんでしたが、茨城訛りがロックというよりはのど自慢の出演者みたいでした。

また、ヴォーカルの知子はアニメ声ながら歌いだすとパワフルでど演歌調にもなるなど、未知の可能性を感じさせるグループでした。

そして、1年ほどが過ぎ知子のロックはついにCDデビューを果たします。当然ながらデビューアルバムの『ルートRockで待ってなよ』を購入し、渋谷の小さなライヴハウスに演奏を聴きに行ったものです。その時にメンバーと話すことができました。

また、新宿のライヴハウスの演奏では時間があったのでとある喫茶店に立ち寄ると、そこに知子のロックのメンバーが入ってきたのでした。不思議な縁でございます。

そんな彼らの演奏ですが、すでに解散してしまってますので公式なものはございません。削除覚悟でアップしてみましょう。

 

知子のロックで「サイケな街」(作詞:水木ひろし 作曲:桜井順)でした。

この曲は万里れい子という人の1968年のシングルのカバーです。昭和カルト物を集めた『昭和レジデンス・赤盤』というコンピレーションアルバムに収録されております。

さて、その万里れい子とは、のちに森田公一とトップギャランに加わった渡部玲子さんでした。

んでは、万里れい子オリジナルをどうぞ。

 

コーラス部分などが知子のロックに通じてますね。

もっとも、知子のロックは「平成のヤングに昭和のサウンドを聴かせるためにタイムスリップしてきたバンド」ですから、大いに昭和40~50年代の香りがプンプンなんですけど。

<2021/10/08追記>
作曲の桜井順さんですが、つい先日お亡くなりになりました。代表作として「黒の舟歌」「マリリン・モンロー・ノーリターン」などがあります。これまた、深堀したくなるお方ですね。合掌。

さて、『昭和レジデンス』(赤盤・青盤とあり)の収録曲をたどってみると、あの人がこんな曲をという例もあります。

 

西郷輝彦の1973年のシングル、「ローリングストーンズは来なかった」(作詞作曲:藤本卓也)でした。

1973年なんですがあのストーンズが初来日する予定で武道館のコンサートもありチケットも完売だったのですが、メンバーの麻薬不法所持などによる逮捕歴やビートルズ来日時の混乱が予想されるため、入国許可が出ませんでした。

それにしても「星のフラメンコ」で一世を風靡した大スターですから、ストーンズの話題にも敏感なんでしょうかね。それにしても、事務所はよくぞこの曲をリリースしたものです。しかもA面ですよ。

ちなみに作者の藤本さんは五木ひろしの「待っている女」などのヒット曲もある方です。

しかし、今でもそうですが日本の入管って非人道的ですよね。元ビートルズのPMさんや超大物俳優(パンツ事件)みたいに成田で不法所持が見つかったわけではないのに。

Snacky

さて、最後に紹介するのはこちら。

 

海道はじめの1968年のデビューシングル「スナッキーで踊ろう」(作詞:三浦康照 作曲:船村徹)でした。

いやあ、地獄の底で歌っているような独特のインパクトですね。

ちなみに、ジャケットに写るスナッキーガールズですが、小山ルミ(左)と吉沢京子(中)でございます。

この海道はじめという方、船村徹のお弟子さんなんですね。船村徹によるとこの曲は厄年を乗り切るために作ったともいってますね。

そして、この謎の「スナッキー」とは、プリマハムの新製品のソーセージの商品名で、このシングルを先行発売し、ジャケット裏のスナッキーダンスなどを流行らせてプロモーションをさせたかった狙いがありました。ジャケ写の海道さんの手つきもソーセージを思わせるようなものです。また、プリマの社員にはこの曲を密かにリクエストさせて、全国に「スナッキー」の名前を浸透させようという狙いもあったようです。

なお、リンクは張りませんがYouTubeには「スナッキーで踊ろう」の誕生秘話が3作上がっております。かつてNHKで放送された番組なので、きっちりしております。

なお、海道さんは民謡教室の師匠で中野で麦とろを出す店や喫茶店を経営しているそうです。

Sresidence

また、『昭和レジデンス・赤盤』には海道さんと知子のロックによる「新・スナッキーで踊ろう」ライヴ盤が収録されております。残念ながらYouTubeにはありませんが。

この手の話はものすごい好きで、話は尽きませんが今回はこのあたりで。

トーマスさん、なんとかネタを生かせました。

★ご意見・リクエストなどコメントでお待ちしております。

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コメント

ヒョウさん
リクエストにお答えくださりありがとうございました!

スナッキーで踊ろう!海道はじめさんとは
『昭和レジデンス・赤盤』に収録されている
川崎クラブチッタLiveと
新スナッキーレコーディングで
お会いしました。
明るくしっかりしたお父さんでステキな紳士。
とてもとてもあの地獄の咆哮ノドを持つ人には見えません!
奥さんと娘さんも綺麗で幸せなご家族の印象を思い出します。

そのクラブチッタ
名盤解放同盟Liveでは
「スナッきーで踊ろう!」
「涙のラーメン」
2曲ご一緒しました。

クラブチッタの楽屋には
特殊漫画家の根本敬さん
特殊音楽評論家の湯浅学さんもおり
みな海道さんからサインをもらい大喜び
ギターのビーバーに海道さんとのツーショット
撮ってもらったのですが写真が見当たりません。
海道さんのサイン入りシングルはお宝金庫に
バッチリ入っております。

投稿: トーマス | 2021年10月 4日 (月) 10時51分

トーマスさん。

海道さんのエコーがかった冒頭の「オー、オー…」ですが、あれ海道さんの工夫で口の中で舌を左右に高速反復運動させているんですよね。
新人でここまでやりきるというのはホントに努力のたまものですね。
クラブチッタの楽屋すごかったんですね。
見てみたかったです。

なんだか、中野のお店に麦とろ食べに行きたい気分ですわ。

今回の記事で、もうひとつヒントが出てきました。
もう少したったら、また記事を上げますので、よろしくお願いします。

投稿: ヒョウちゃん | 2021年10月 4日 (月) 20時24分

「スナッキーで踊ろう」、キョーレツですな(笑)。

呪いの歌に聞こえてしまいました(^^ゞ。

お好きな方すみません(;^_^A。

投稿: おりんぴあ | 2021年10月 4日 (月) 22時53分

おりんぴあさん。

そのようにきこえたならば、おりんぴあさんも「スナッキーの虜」ってことですよ。
高評価ありがとうございます。

投稿: ヒョウちゃん | 2021年10月 4日 (月) 22時59分

懐かしいですね、ご一緒した夜、トーマスさん皆さんとお会いした夜も想い出しました。勇気ふるってサインをもらったことも(笑)
こぶしのある迫力あるヴォーカル、独特のレトロ感が妙に新鮮立ったサウンドは素晴らしかったです!
お宝のサイン入りCD、久しぶりに聴いてみようかな。

「ローリングストーンズは来なかった」はタイトルと違っていきなりサンタナ風のイントロでちょっと意外、でも歌詞でサンタナがでてきたのでちょっと意識しているのかなって印象でした。
「来た」「来ない」だけで曲になっちゃうビートルズ、ストーンズの偉大さを感じます。

投稿: lastsmile | 2021年10月 8日 (金) 10時53分

lastsmileさん。

初めて知子のロックに出会ったあの日のことを今でもよく覚えております。
lastsmileさんも渋谷まで出ていらして大変だったと思いますが、自分一人ではあんな風に話しかけられなかったと思いますので、今でも感謝してます。
ちなみに、『ルートROCKで待ってなよ』はクルマでいつでも聴けるようになっております。

「ローリングストーンズは来なかった」ですが、『昭和レジデンス・赤盤』では町田謙介氏がカバーしてまして、初めて聴いたときショッキングブルーの「ビーナス」みたいだなと思いました。
それにしても、ご指摘のように来日するしないでも社会的影響がかなり大きかったですね。
あまり詳しくないんですが、PM氏の事件ではスネークマンショーでもやってましたね。

投稿: ヒョウちゃん | 2021年10月 8日 (金) 19時58分

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