「せっちゃん」のおっさん力
かすてら音楽夜話Vol.138
2021年も押し詰まってきました。かすてら音楽夜話も年内ラストになるかあるいはラスイチかといったところです。
今回取り上げる「せっちゃん」とはこの人。
斉藤和義です。
彼がなぜ「せっちゃん」と呼ばれているのか。それは山梨学院大学(中退)時代にさかのぼり、ことあるごとに「あー、セ〇〇スやりてぇ」と呟いていたからだといわれております。
せっちゃんは1966年生まれで、今年55歳。節目(でもないけど)の35歳、45歳の時それぞれ『35 Stones』、『45 Stones』というアルバムをリリースしてます。当然今年も『55 Stones』をリリースしました。これがなかなか入手困難で地元のタワレコ(Tower Record)でも置いてなくて、結局通販を利用したと。
27歳の1993年のことで、シングル「僕の見たビートルズはTVの中」でデビューしました。かなりの遅咲きなんですが、デビュー前は東京に出てきて、アマチュアの身でライヴハウスに出演していたともいわれてます。デビューのきっかけとなったのは三宅裕司のやっていた「天下御免ね」という番組内のオーディションで5週勝ち抜いたためともいわれています。
そのあたりの活動ではWikiなどには載っていないのですが宮城伸一郎(チューリップ)のボーヤ(付き人あるいはローディ)をやっていたという話をニフティ時代のFBEATという音楽フォーラムつながりのオフ会などで伺ったことがあります。あるいは宮城ではなく初期のアルバムに相当関わっている松尾一彦だったか。
デビュー時、こんな長髪だったんですね。
そして、1994年に子供番組である「ポンキッキーズ」のオープニング曲に「歩いて帰ろう」が使用され徐々に名前が知られるようになってきました。
その頃の映像がこちら。
1994年の3枚目のシングル、「君の顔が好きだ」でした。「歩いて帰ろう」はこの次のシングルですね。今はなき、日清Power Stationのライヴ映像です。
後半、歌詞に「♪君の顔」以外、「尻」などが登場しますが、このあたりはアドリブで、せっちゃんのライヴのお約束みたいになっています。さらに過激な放送禁止用語を使うこともありました。さらに詳しく解説しますと、結婚後奥さんがいるにもかかわらず自宅で「XXXX」(自主規制)を行うことが趣味であると公言したり、ミュージックフェアでは「親父のエッチな本を隠す場所が自分と同じ」という発言もありまして、なかなかにエロな人間なんですね。
さて、ワタクシが斉藤和義を知るきっかけとなったのは1997年のことで、前述のFBEATの会議室で当時リリースされた『Because』というニューアルバムを紹介されたためです。すぐさま気に入りましたね。この時すでに31歳になっていたせっちゃんですが、いたく気に入りまして、すべてのアルバムを購入いたしました。
そればかりでなく、ライヴにも足を運び、これまた打ちのめされたわけです。
「君の顔が好きだ」の映像ではキーボードを演奏していますが、せっちゃんのメインとする演奏はギターです。そのギターも、アコースティックからエレキまで、ギターソロもできるし、もちろんリズムだけに徹することもでき、バックのメンバーをつけない弾き語りだけのライヴも行ったりしています。それだけ、ギターの演奏は上手です。
また、楽器演奏自体が好きということで、キーボードだけでなく、ドラムもベースも演奏でき、後にはせっちゃんひとりでほとんどのパートを収録するアルバムを作ることが当たり前になってきています。また、ユニット「カーリングシトーンズ」(奥田民生、浜崎貴司、トータス松本、Yo-King、寺岡呼人:年齢順)ではドラムスも担当しています。
さて、20代、30代の斉藤和義なんですが、アルバム、シングル収録曲やライヴパフォーマンスは抜群であったものの、それがなかなかセールスには結び付かず、特に30代後半あたりはファンであるワタクシから見ても、なんとなくマンネリ化してきたかなという感じがしてきました。
しかし、40代に入ってから、シングルもオリコン10位台をキープするようになり、アルバムはTop10入りが当たり前みたいになってきました。セールスが安定してきたんですね。きっかけはゼクシィで使われた「ウェディング・ソング」からタイアップが急増したこともあったでしょう。
しかし、NHK「Songs」での本人の語りから、「40歳になって世の中から中年ってことの太鼓判押されて、そうか’おっさん’だなと思ったとき、変に格好つけてもしょうがないし、自由になれたなという感じですよね」という発言がありました。
2010年の38枚目のシングル、「ずっと好きだった」でした。この曲でオリコン8位を獲得してます。こちら資生堂とのタイアップが付いていますが、めちゃくちゃ大掛かりなものではなく、曲自体が持つ力が大きいと思います。
映像はわかる人にはわかると思いますが、The Beatlesの「Get Back」のルーフトップコンサートをモチーフにしたものです。せっちゃんはポール役で、リリー・フランキーがジョン、濱田岳がリンゴを演じてます。
そして、50代。
2020年配信のデジタルシングル、「純風」です。テレビ朝日系列で放送されている「じゅん散歩」オープニング曲ですね。
映像からして「せっちゃん」らしさが溢れ出てます。
この力の抜けた感じで次の60代でも何かやってくれそうな期待を持たせてくれますね。
世の中、若い奴が年配者を見てオワコンだなんだといってますけど、それは次にアンタに返ってくるんだぜ。こんな感じでワタクシも力を抜いて世の中漂って行きたいものです。
ちなみに、1966年生まれ、丙午(ひのえうま)ということで、出生率が著しく低いんですよね。そんな中でも音楽業界では、宮本浩次とトータス松本など頑張っている人も多数おります。
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