どてらい男
かすてら音楽夜話Vol.143
本日は歌謡界の御三家のおひとり、西郷輝彦氏を悼みまして急遽記事にいたします。
西郷さんというとどうしても取り上げられるのが「星のフラメンコ」(作詞作曲:浜口庫之助)ですよね。
この曲は西郷さんがスペインで鑑賞したフラメンコに感銘を受けて、浜口氏の自宅でその経験を話したところ、西郷氏の新曲としてフラメンコのリズムを取り入れることになったそうです。
ま、正式のフラメンコはカンテ(歌)が中心だそうですが、西郷氏の見たフラメンコはいわゆる観光用でギター演奏もダンサーもいるものだったでしょうが。
とはいえ、1960年代以降の日本人が感じるフラメンコ像はこの曲に集約されているのかもしれないです。もっとも、フラメンコの興行は夜もかなり遅い時間に始まり、シエスタも取らずに観光するような人(特に日本人)ばかりでしたので、最も盛り上がる時間帯に日本人のツアー客は集団で舟を漕いでいるという事態に陥っていることが多かったですね。いちお、ワタクシもグラナダで見に行きました。
さて、西郷氏ですがデビュー当時はクラウンレコードの期待の大型新人であるわけで、2か月に1枚というシングルのリリースでした。デビュー曲の「君だけを」、4枚目のシングル「十七才のこの胸に」で第6回日本レコード大賞新人賞を都はるみとともに受賞しております。ですが、「御三家」の橋幸夫が2度のレコード大賞を受賞しているのと比べるとメガヒットにやや弱さがあるかもしれませんね。ま、橋さんの場合は西郷さんがデビューするまでにすでにシングルを46枚もリリースしているんですけどね。ちなみに1年早いデビューのもうひとりの御三家、舟木一夫は7枚のリリースでした。
その後、西郷さんの代名詞ともいえる「星のフラメンコ」はなんと26枚目のシングルなのでした。ま、その前に「星娘」というスマッシュヒットもありましたが。
さて、いつもならばYouTubeで「星のフラメンコ」…となるわけですが、それじゃ面白くないわけで、ややひねったものを見つけてきました。以前紹介した「ローリングストーンズは来なかった」も秀逸なんですけどね。
西郷輝彦で「メキシコ娘」(作詞作曲:浜口庫之助 編曲:小杉仁三)でした。1967年5月1日リリースの35枚目のシングル「願い星叶い星」のB面曲となります。
なんで、メキシコなの?となりますよね。実は同日発売の橋幸夫「恋のメキシカンロック」という曲がありまして、なんと橋さん、これを主題歌にして映画出演までするという人気ぶりでした。
翌1968年はメキシコオリンピックが開かれるということで、日本でもにわかにメキシコブームが起こったようです。オリンピック前の1968年4月にはハナ肇とクレージーキャッツ主演の映画「クレージーメキシコ大作戦」が封切りになってますし。ま、西郷さんのメキシコはB面ということで控えめだったのですけどね。
<メキシコ>*イメージです
ですが、この次のシングルでもメキシコを持ってくるんですね。
1967年7月1日リリースの36枚目のシングル「この雨の中を」のB面、「悲しいソンブレロ」(作詞作曲:米山正夫 編曲:小杉仁三)でした。
作者が異なるんで、リズムはともかく言葉などがラテンとはかけ離れている感じはしますね。
ええ、もちろん、このあたりは西郷さんの格別なファンでもなければ知りえないことですけど、今は便利な時代で有名人ほど調べられるという。
さて、順調にシングルをリリースしていた西郷さんですが1973年にドラマ主演(「どてらい男」)を果たします。そのちょっと前からシングルのリリース間隔も年間4枚くらいに減ってきてはいたのですがね。
この年偶然かどうか、例の「ローリングストーンズは来なかった」を66枚目のシングルとして発売していますが、その直前のシングルが「俺たちの明日」というどこかできいたことのあるタイトルです。そして、この曲のアレンジャーがボブ佐久間という人で、大沢たかお主演の「劇的紀行・深夜特急」の音楽を担当した人なんですね。まあ、大いなる偶然なんすけどね。
追悼ついでに。
松鶴家千とせさんもお亡くなりになりました。この曲、左とん平「ヘイユウブルース」よりも売れているんですよね。ジャジーでブルースしてますよね。ジャズシンガー志望だったそうで。言葉は若干東北訛りが入るんですけどね。それがまたいい。一時代を築いた人でした。わっかるかな、わかんねぇだろうな。イェー!昔、中古で探して買いましたよ。
ともかく、お二人に合掌。
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コメント
どてらい男(やつ)見てましたねえ(^^ゞ
去年かな、たまたまyoutubeで見返したけど、西郷輝彦は俳優の才能もありますね
浪速の商売物という特異なジャンルだったけど、あの頃は藤山寛美の喜劇もテレビでやってたし、細腕繁盛記なんてのもあった、大阪の影響力が強かったのかな
投稿: kimcafe | 2022年2月24日 (木) 14時35分
kimcafeさん。
「どてらい男」はゴールデンタイムではなかったと思います。
その時間帯はテレビ見てないんですよね。
「時間ですよ」さえ見てないです。
時代はさらにさかのぼりますが、ワタクシにとっての関西モノは「がっちり買いまショー」とか「てなもんや三度笠」ですね。
今TVKで吉本新喜劇を放送してます。
投稿: ヒョウちゃん | 2022年2月24日 (木) 20時48分