贅沢なバックコーラス
かすてら音楽夜話Vol.144
いきなりの「All You Need Is Love」(邦題「愛こそはすべて」)でございます。
The Beatles(ビートルズ)の1967年のシングルで英米両国で1位に輝いております。この曲は「Our World」という全世界に衛星中継された番組で放送された楽曲です。番組は日本でも放送されたそうで、司会は宮田輝だったとのことです。当然、見ておりません。(YouTubeの映像も当時のものがアップされていましたが、どうやらバグがあるようで、自分のPC環境では再生できませんでした。)
曲のおおもとは、その時のAbby Road Studioでライヴ収録されたものですが(一部のバックトラックは事前録音し収録時にそれを流していた)、のちにリードヴォーカルのJohn Lennon(ジョン・レノン)のパートを録り直したものと差し替えられてリリースされました。
そのライヴ中継ですが、バッキングヴォーカルのメンバーが豪華なんですね。
<Mick Jagger>
Mick Jagger(ミック・ジャガー、The Rolling Stones)、Keith Richard(キース・リチャード、The Rolling Stones、当時の表記)、Eric Clapton(エリック・クラプトン、Cream)、Marianne Faithfull(マリアンヌ・フェイスフル、シンガー、女優、ミックの当時の交際相手)、Patty Boid(パティ・ボイド、当時のGeorge Harrison夫人)、Keith Moon(キース・ムーン、The Whoのドラマー)、Graham Nash(グラハム・ナッシュ、The Hollies)などが参加してました(所属はいずれも当時)。
今回のタイトル、「贅沢なバックコーラス」なんですが、確かに豪華なメンバーを揃えたものといえます。しかし、なんとも緩い60年代ともいえます。そのためのギャラが発生したかどうか、いずれも友情出演だったような気もしますが。
さて、ここまでは前振りです。
<Carly Simon>
Carly Simon(カーリー・サイモン)というアメリカのシンガーがおります。1945年生まれで、ニューヨーク出身。1964年に姉とSimon Sistersを結成し、1971年にソロデビューしました。翌年のグラミー賞で最優秀新人賞を獲得しています。
彼女、サイモン&シュスターという大手出版社の創業者の家庭に生まれたバリバリのお嬢さんなんです。テイストは違いますが、アメリカ版ユーミンとでもいいましょうか。
翌年の1972年にリリースした3枚目のアルバム『No Secrets』(ビルボード1位)から、本題に入ります。画像はそのアルバムジャケットをデジカメで撮ったものなんですが、胸のあたりに注目していただきたい。当時のワタクシの周辺では、小学生ながらに洋楽を好むガキどもがおりまして、普段はT.RexにイカれていたNというやつがこのジャケットを話題にしたのですね。「あれ、見た?」なんてね。
つまりはノーブラやないかい。つうことなんですが、後年、あちらのブラには突起のついたものもあるということを知った次第でございます。さて、真相はいかに?
アルバム『No Secrets』からの最初のシングル、「You're So Vain」(邦題「うつろな愛」、作詞作曲:カーリー・サイモン)でした。アルバムでは3曲目に収録され、1973年1月に3週連続のビルボード1位を獲得した曲です。
YouTubeの映像は動かない音声のみ(オリジナル)のものでしたが、こちらのバックコーラスがミック・ジャガーなんです。ミックの登場は2コーラス目からで、聴けばすぐにわかりますね。「All You Need Is Love」は豪華メンバーでしたが、コーラス部分にまるで癖がなく、だったらあのメンバーは単にビジュアルのために集められたのかとも思ってしまいます。
実はミックに関してのクレジットはどこにも見当たりません。それもなぜかはわからないんですが。アルバム自体はクレジット関係はきちんとしています。
この曲の男性のコーラスは当初はHarry Nilson(ニルソン)だったといいます。曲の収録中にたまたまミックからプロデューサーに電話がかかってきたそうで、その時に依頼したともいわれています。そして、ミックのコーラスが収録されたのですが、当初のニルソンは自ら降りたとのことですね。
ま、これだけ存在感のある声を聴かされれば誰もが納得ですわな。日本で例えれば、佐野元春の「The Vanity Factory」におけるジュリーのコーラスみたいなものですかね。
さらにもうひとつ。
アルバム『No Secrets』の9曲目、「Night Owl」でした。こちら、のちに夫となるJames Taylor(ジェームス・テイラー)の作品です。
こちらにはコーラスでPaul McCartney(ポール・マッカートニー)と妻のLindaが参加しています。でも、ミックほどの存在感はありませんね。ちなみに、ポールとリンダはWingsで活動中でしたね。
ちなみに、ジェームス・テイラーとはのちに離婚。インタビューでは初めて出会った時のことをかなり大胆な際どい発言をしております。内容は『No Secrets』の日本盤の解説に書かれております。
Linda Ronstadt(リンダ・ロンシュタット)にも、「Tumbling Dice」(1978年)というストーンズのカバーがあるんですが、こちらはミックはまったく関わってませんでした。だがしかし、リンダとミックは当時関係が噂されてましたが。
<おまけ>
ウクライナ侵攻に反対ということで、しばらくかすてら音楽夜話で、「反戦メッセージ」性のある曲を取り上げていこうと思います。
Joan Jett(ジョーン・ジェット)姐さんの、「Have You Ever Seen The Rain」。1990年のシングルで、バックバンドのThe Blackhearts(全員男性)を従えてのパフォーマンスです。
元歌はCreedence Clearwater Revival(CCR)ですので、カバーですね。雨を当時のベトナム戦争での米軍の空爆(ナパーム弾)に例えたものといわれていましたが、作者のCCRのJohn Fogerty(ジョン・フォガティ)は否定してます。
とはいえ、世の中では反戦歌として認識されてますね。CCRヴァージョンは取り上げてますので、こちらで。Rod Stewart(ロッド・スチュワート)やBonnie Tyler(ボニー・タイラー)もカバーしている名曲。
★ご意見やリクエスト募集中です。是非ともコメントくださいませ。
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コメント
実験的番組「アワー・ワールド」はNスぺ「新映像の世紀05」(若者の反乱が世界に連鎖した)で紹介されていました。
私はビートルズの「愛こそすべて」の映像しか知りませんでしたが、Nスぺで初めての世界同時生中継という金字塔的な番組だと知りました。
日本から中継された映像は札幌の新生児誕生と車エビ養殖場の映像と紹介されていました。番組のテーマがこれからの世界の未来、争いと過密社会、食糧危機についてだったそう、それぞれの国が生の映像を流したと紹介されていました。
馴染みやすい音楽、映画の中継も多かったみたいですが、今この瞬間の映像を世界が同時に連鎖した貴重な瞬間だったんですね。
最初は東側諸国も企画参加していたみたいですが、中東戦争と重なりソ連はじめ参加が中止になったみたいです。今の世界状況と似ているなぁ。
音楽記事と関係ないコメントですみません。
あ、カーリーサイモンすきです、うつろな愛はたしか中二の時にラジオで聴いて。
投稿: lastsmile | 2022年3月11日 (金) 14時50分
lastsmileさん。
「Our World」もNスぺも見てはおりませんが、「All You Need Is Love」の映像はビートルズ関連の番組で見たことがあります。
かなり前の話ですが、ビートルズが解散後でも当時はテレビもラジオでもビートルズ関連の番組はかなり多かったと思います。
冷戦後、平和とみられていた時代は10年程度でしたかね。
9.11以降、イラクやアフガンであんなことがあって…。
とはいえ、ロシアはその間にもチェチェンや南オセチアで今のようなことをやっていたんですよね。
カーリー・サイモンのWebサイトに行くと、2017年くらいの映像や画像があるんですけど、雰囲気とか変わらないんですよね。
日本で例えれば、ユーミンや竹内まりや以上にイメージを保ってます。これはすごいっす。
投稿: ヒョウちゃん | 2022年3月11日 (金) 22時36分