控えめな「ファラン」
かすてら音楽夜話Vol.146
<パタヤのファラン>KP/DA50-200mm
音楽話でファランとは…。
タイでいう「ファラン」とはヨーロッパ系の欧米人を指す言葉ですね。アフリカ系の欧米人は「ファラン・ダム」と呼ばれるそうですが、あまりきいたことはないです。まあ、便利な言葉ですね。
画像のようにいわゆるファランはパタヤなんかで金にものをいわせてファランになびく女子をはべらせていたりします。あるいはカオサンなどで周囲への配慮もなく飲んで(あるいはラリって)騒ぐという、イメージ的にはよくないですね。
ある時、わたしゃBTSに乗っていたんですが、日本の満員電車には程遠い混み具合(それでもバンコクでは混んでると思われる)の車両で、ひとりのこわもて風ファラン男性(あまり女性はファランとはいわれないような気もします)が、タイ人を怒鳴りつけているシーンに遭遇したことがあります。
こういう態度を取るのは国力の差なのか経済力の差なのか。ま、高度成長期に日本人も金に任せてアジア諸国で狼藉三昧だった人もいるようですけどね。
さて、本題です。音楽界でもミュージシャンは尊大な態度を取る人は少なくないのですが、今回取り上げる二人はその真逆。
では、ひとり目。
Gilbert O'Sullivan(ギルバート・オサリバン)の「Alone Again(Naturally)」でした。
1946年にアイルランドで生まれ、育ちはイギリス。この曲は1972年にリリースされビルボードのシングルチャートで4週連続1位を獲得し、その後いったん陥落するものの、再び返り咲いて2週連続の1位となり、合計6週1位となり、1972年の年間チャートでも1位となった曲です。
ギルバート・オサリバンは本名ではなく、ヴィクトリア朝時代に劇作家と作曲家のコンビがギルバート&サリバンであることから付けたもので、本名はレイモンド・エドワード・オサリバンといいます。
「Alone Again(Naturally)」の内容は、自殺が出てきたり、両親の死別なども出てくる内省的なもので、およそポップスシーンにはありえないような内容なんですが、やはりメロディラインが秀逸だったので、メガヒットに結び付いたのでしょう。
映像はおそらくテレビ収録のライヴです。音源的にはかなりオリジナルに近いのですが、ギルバート・オサリバンは曲間にアドリブを入れていますし、原曲にかなり忠実な演奏なのであると致しましょうか。
続くシングルは「Clair」で、ややもするとロリコン趣味なところもあるのですが、こちらもビルボード2位を記録します。
個人的に気に入っているのはその次の1973年のシングル。
「Get Down」でした。こちらは、ビルボード7位を記録しています。
歌詞の「Get Down」は「おすわり」、「Dog」を彼女に例えています。でも、アメリカでは「Get Down」も「Dog」も性的あるいは侮蔑的なスラングとして用いられていることを、ギルバート・オサリバンは知らなかったとのことです。
でも、そんなことは関係なくまじめにピアノを弾き歌うギルバート・オサリバンの受けはよかったのではと思います。
ギルバート・オサリバンは日本受けするタイプで、来生たかおというフォロワーもいます。
また、「Alone Again(Naturally)」は、草刈正雄や九重佑三子(元祖コメットさん)のカバーも存在します。どういうわけか、九重さんのカバーは1971年リリースとギルバート・オサリバンよりも早いんですよね。
アメリカ代表、しかも女性はこちら、Karla Bonoff。
彼女のソロデビューは1977年のセルフタイトルアルバム、『Karla Bonoff』です。1951年生まれのため、デビューはかなり遅めといえますが、Bryndle(ブリンドル)というグループを組んでいました。そのメンバーは結構すごいメンツだったのでしたが、デビューシングルをリリース後、レコード会社とそりが合わず、解散してしまいます。
その後、ブリンドルのリーダーでもあったKenny Edwards(ケニー・エドワーズ)の仲介で、カーラ・ボノフらブリンドルのメンバーがLinda Ronstadt(リンダ・ロンシュタット)のバックのメンバーに起用され、カーラの曲もリンダのアルバムに採用されることになります。
ちなみに、ケニー・エドワーズはリンダがかつて組んでいたStone Poneysのリーダー的存在でした。
1979年のセカンドアルバム『Restless Night』(邦題「ささやく夜」)のオープニングナンバー「Trouble Again」(邦題「涙に染めて」)でした。
このアルバムからは「When You Walk In The Room」という曲が唯一シングルカットされているのですが、おそらく「Trouble Again」の方がよく知られていますね。アルバム自体はビルボードのアルバムチャートで31位と、それほど売れたわけではありません。
ですが、このアルバムはタイトルとは真逆の名曲ぞろいで、カーラのしっとりとした声が聴く人を優しく包み込む内容です。リンダ・ロンシュタットもそうなんですが、アルトの声はアルファ波を誘導するそうで、カーラ・ボノフはリンダよりもアルファ波を出すような気もしますね。
なお、同タイプの人にはカレン・カーペンターなどを上げたいですね。
まるで商売っ気のないカーラ・ボノフですが、1984年の映画「Footloose」のサウンドトラックに参加しています。こちらは「Somebody's Eyes」ですが、作者はカーラではありません。
その後のカーラはブリンドルを1990年に再結成し、スタジオアルバム2枚をリリースしました。しかし、エドワーズもアンドリュー・ゴールドも亡くなり、現在は活動停止状態です。
という出しゃばらないファランのお話でした。どう考えてもギルバート・オサリバンなどドラッグとは無縁ですよね。もちろん、カーラ・ボノフも。
ロシアのプーさん
しつこいですよね。中村逸郎氏が説明しているように、ロシア人の価値観とプーさんの価値観はやっぱり違うんだろうね。
佐野元春の「Shame-君を汚したのは誰」でした。
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