時代遅れって素晴らしい
かすてら音楽夜話Vol.157
もはや旬の話題ではないんですが、皆さん大晦日の「紅白歌合戦」ご覧になりましたでしょうか。
わたしゃ、コロナ禍以前は毎年海外に行ってましたので、ほぼ見ておりませんでした。唯一、2007年の第58回は、マラッカに滞在しておりまして、そのホテルでは衛星放送でNHKが映るということがわかり、「推し」である馬場俊英というシンガーソングライターが出るので、時間を見計らって拝見いたしました。ちょっと感動しました。記事
その他、エレファントカシマシや宮本浩次が出るときは予約録画をしました。機種の問題で番組ごとの録画となるので5時間分ありますから、削りに削って3分にする作業もやや面倒なんすけどね。
さて、2022年の第73回紅白歌合戦ですが、出場歌手が発表された時点ではどうでもよかったんです。しかし、当日になってこの人が企画した5人の同級生たちによる楽曲も特別企画として出るということがわかりました。事前にタイムテーブルも判明したので、23:00頃、録画を始め、生でも見ましたよ。
そう、「時代遅れのRock'n'Roll Band」ですね。メンバーは桑田佳祐、佐野元春、世良公則、Char、野口五郎。五十音順なんすね。
とりわけ、わたしゃ佐野元春のデビュー以来のディープなファンですから、見逃すわけにはまいりません。いずれも業界歴の長い人たちではありますが、元春とCharは紅白初出場です。
以前、ちょっとだけ取り上げたものは、音声のみでしたが、今回はきちんと映像付き。バッキングの大友康平、ハマオカモト、原由子も入ってますし、小学生時代のエピソード(もちろんフィクション)がラストにあります。
「♪燃えろ、いいバンド」という楽屋落ちも。わかりますよね。
さて、NHKの放送では、通常の出場者は楽曲が3分を切るというタイトなスケジュールであるため、イントロからアウトロまでのフルヴァージョンはまず無理で、途中を省略するのが慣例です。まあ、これは他の放送局でも同じで、ミュージックフェアであっても、カウントダウンTVであっても、ミュージックステーションであっても同様。
しかし、今回NHKはいい意味でやってくれました。楽曲がフルヴァージョンであるばかりでなく、登場シーンから教室で昔の同級生(元春を除く)とブルース調の「朝起きたら」とアコースティックヴァージョンの「夜空の星」のセッションもありまして、かなり長いものでした。スタジオ中継だったので、大泉洋と長友の「ブラボー!」が被らなくてよかったです。
「いつも素敵なトラックに乗っている、大友君のカウントで…」という桑田のMCもツボでした。
さて、この曲はさりげなくではあるのですが、「No More No War」という歌詞以外にも争いごとや平和について歌われています。間違いなく、ロシアのウクライナ侵攻がきっかけとなって、この曲は誕生したのだと思いますね。そして、チャリティシングルでもあります。
2020年代、成人年齢が18歳からとなっても、若年層の投票率が上がらず、政権与党が妙な動きをしても、時の政府に異を唱えるのはあたかも悪いことといい切るような若年層が多くなりました。
ですが、今回のロシアの動きはどう考えてもロシアに非があるでしょ。クリミアやウクライナ東部が限りなくロシア色が強いといっても、首都のキーウにミサイル撃ち込まないでしょ。
当たり前のことを楽曲ではありますが、形にした桑田佳祐、あんたは偉い。清志郎が生きていたら、さらに強く行動に出たと思いますがねえ。
はっきりいうと、「時代遅れのRock'n'Roll Band」という曲は、英語ヴァージョンがあるわけでもなく、世界に配信されているわけでもありません。でも、ミュージシャンとしてはっきりと抗議という形を表したということに意義がありますね。
なんか、最後は堅くなってしまいましたが、2022年の締めくくりに、いいものを見せてもらったことに感謝です。元春の紅白初出場がこういう形で実現するというのもよかったです。最近追悼記事ばっかりだったし。
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