歌う女優その1
かすてら音楽夜話Vol.176
今回は映画の世界の話です。
現在のNHKの朝ドラ「ブギウギ」の主人公のモデルともいわれる笠置シヅ子あたりは歌い、踊り、演じるのマルチプレイヤーぶりなんですが、彼女は歌うことをやめてから映画に進出しました。ま、その出自は歌劇団でもあったわけですが。
その後、映画のヒロインがそのまま劇中歌を歌ってしまうということの始まりは吉永小百合あたりでしょうか。ほぼ同時期に男優では加山雄三という存在もいたわけですけど。
吉永さんのあと、しばらくはそういった人は現れなかったわけですが、四半世紀後に角川春樹が続々とそうした人を送り出しました。間もなく、紅白歌合戦が始まりますが、特別出演する薬師丸ひろ子が第一弾でしょうかね。
ま、今回はこの人、原田知世を取り上げたいと思います。アニタツさんからお題をいただいたも同然ですので。
デビューは1982年のテレビドラマ、「セーラー服と機関銃」で、この時すでに主題歌の「悲しいくらいほんとの話」(作詞:来生たか子 作曲:来生たかお 編曲:星勝)を歌い、これがデビューシングルとなっています。こちらは、薬師丸さんの映画のあとでもあり、しかもテレビドラマということもあってか、オリコン41位に沈んでおります。
それにしても、本家の主題歌の作者、来生姉弟を持ってきたというのもやや安直な気もしますが。ちなみに、このB面曲「恋のヒント教えて」だけは作曲が小林泉水という人になってます。小林泉水は若くして自作曲でデビューし、当時のニューミュージック系としては異例のフュージョンっぽい音作りをしていました。すでにバンドを持っていてデビュー時の名義はFlying Mimi Bandでした。その後、Parachuteというフュージョンバンドに参加したほどの人です。
こちら3rdシングル、「時をかける少女」(1983年)でした。作者はユーミンで、もちろん、アレンジは松任谷正隆です。オリコンでは2位、惜しいですね。
もちろん、映画「時をかける少女」のヒットもありその後の歌手人生に何らかの影響を与えたものと思われます。個人的な話ですが、1972年の少年ドラマシリーズ、「タイムトラベラー」のほうが印象が強いです。原作は筒井康隆なんですね。
YouTubeの映像は歌手デビュー35周年アルバム『音楽と私』(2017年)からのプロモーションビデオですね。『音楽と私』はセルフカバーのアルバムでした。
原田知世の公式YouTubeチャンネルでは昔のものはありません。すでに映画から手を引いてしまった角川との権利の関係もありそうです。
ちなみに、ユーミンものちにセルフカバーしています。
こちらは1984年の6枚目のシングル、「天国にいちばん近い島」です。「時をかける少女」同様、オリジナルではなく、セルフカバーですね。
作者は作詞が康珍化、作曲が我らが林哲司でございます。アレンジは萩田光雄で、ついにオリコン1位を獲得してます。もちろん、同名の原田知世主演映画の主題歌です。
ただですね、累計のセールスが27.6万枚とのことで、ミリオンヒットになっておりません。まずは最初にドカンと売れたんでしょうかね。良くも悪くも角川商法といいますかね。
その後、原田知世は角川から独立することになりますが、映画での出世作が「私をスキーに連れてって」ですかね。でも、これ以降映画とのタイアップで彼女が主題歌を歌うということはなくなっていったと思います。ちなみにこの映画では実の姉の原田貴和子も出演してますね。高橋ひとみとセリカGT4で志賀から草津まで雪原をぶっ飛ばすというありえへんシーンも忘れられません。田中邦衛も沖田浩之も出てましたね。
一方、歌手活動は非常に盛んで、これまでにシングル32枚、オリジナルアルバム21枚、カバーアルバム6枚、セルフカバーアルバム1枚をリリースしています。
個人的にはスウェーデンのトーレ・ヨハンソンと組んだ『Blue Orange』というアルバムが気に入っているんですが、これまたどの曲もYouTubeには上がってないんですよね。
また、最近では作詞と作曲も手掛けている模様です。
ビートルズのカバーとなりますが、こんなものが上がっていました。
「Here Comes The Sun」でした。ビートルズといってもジョージの曲です。ビートルズでもシングルカットはされてませんが、ジョージの残した名曲です。
つい最近、NHKの「Covers」でも披露されていたはず。
それにしても知世さん1967年生まれなんですよね。とてもそうは見えないです。
さて、これにて2023年中の記事は打ち止めとさせていただきます。ブログ開設以来元旦には記事を上げてきたので、年が明けてまたお会いしましょう。
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