英語のお勉強
かすてら音楽夜話Vol.180
このたび、グラミー賞(Grammy Awards)が発表になりました。2023年度(1月ー12月)の最優秀アルバムにTaylor Swift(テイラー・スウィフト)の『Midnights』が選ばれ、史上最多の4回目の受賞となりました。彼女の場合、今年のアメリカ大統領選挙に絡むことで「旬」な話題をさらっている人でもあるのですが。
さて、そのグラミー賞、1979年度の第22回で、ひっそりと最優秀リズム&ブルースヴォーカルのデュオ、グループ部門(Best R&B Vocal Performance by Duo,Groupe or Choras)を受賞したのがEarth,Wind & Fire(アース・ウィンド&ファイアー、以下EWF)の「After The Love Has Gone」でした。
この曲はビルボードHot100(週刊シングルチャート)で2位止まりでした。この年、Doobie Brothers(ドゥービー・ブラザーズ)の「What A Fool Believes」が最優秀レコード賞(Record of The Year)と最優秀楽曲賞(Song of The Year)のダブル受賞でした。その陰に隠れ、「After The Love Has Gone」はどちらもノミネートまでは行ったんですがねえ。惜しい。
ちなみに、グラミー賞はチャートや売り上げだけじゃないんですよ。過去にはBilly Joel(ビリー・ジョエル)が1位になってなくても「Just The Way You Are」(邦題「素顔のままで」)が最優秀レコード賞と最優秀楽曲賞のダブル受賞という例もあります。
さて、この「After The Love Has Gone」の作者は、David Foster(デビッド・フォスター)、Jay Graydon(ジェイ・グレイドン)、Bill Champlin(ビル・チャンプリン)の三人です。
もともと、「After The Love Has Gone」はビル・チャンプリンのソロアルバム用に用意された曲だったようですが、結局アルバムには収録されず、お蔵入りした曲です。
<右:David Foster 左:Jay Graydon>
元々、セッション活動をしていた、フォスターとグレイドンがスタジオで一緒になったときにデモテープでも作ろうというきっかけで始まったのが、Airplay(エアプレイ)というバンドです。
そして、1980年に『Airplay』(邦題が『ロマンティック』という情けないタイトル)というアルバムをリリースします。
グレイドンがギターとヴォーカル、フォスターがキーボードとバックコーラス。ただし、グレイドンがあまり高音を得意としてなかったためか、Tommy Funderburk(トミー・ファンダーバーク)という人をさらにヴォーカルで起用してました。
トミーさん、wikiの英語版でも情報が出てこないんですよね。アルバムジャケットにも登場しないという謎の人物です。
結局活動はこのアルバム1枚で終わりました。元々フォスターは超売れっ子のプロデューサーでしたし、人前で演奏してツアーに出るみたいなことは考えてなかったようです。
ですが、TOTOをさらに上質にしたようなAOR(Adult Oriented Rock、今や死語で日本のニューミュージックみたいなものでしょうかね)が展開されるこのアルバムは必聴ものですね。
それで、彼らも自分たちの楽曲「After The Love Has Gone」をアルバムのラストでセルフカバーしているんです。
でも、なぜかタイトルは「After The Love Is Gone」。若干の歌詞の変更もあるようですが、わたしゃEWFの『I Am』(邦題『黙示録』)というアルバムを所有してませんので、詳細はわかりません。ま、調べればわかるんでしょうが、雰囲気的にはどうでもいいくらいの出来ですよね。
この、『Airplay』のバックミュージシャンはクレジットはあるものの、1曲ごとのクレジットが明記されてなくて、よくわからない部分があります。ともあれ、エアプレイ版の「After The Love Is Gone」には、もうひとりの作者、ビル・チャンプリンが参加していてサビの大半を歌っているようです。
ちなみに、チャンプリンは作詞をし、曲はフォスターとグレイドンが作ったようです。あちらの曲のクレジットってあいまいなんですよね。これは英語版のwiki、EWFのページから調べました。
次の映像はいずれ消される運命にあると思われますが、トミーさんを加えたエアプレイにビルが参加する「After The Love Is Gone」です。どうぞ。
まあ、ビル・チャンプリン、自信満々てな感じです。
ビルは1981年にChicago(シカゴ)に参加します。エアプレイのメンバーよりも年長なんですが、デビッド・フォスターによって見出されたのですね。1983年にGeorge Benson(ジョージ・ベンソン)に提供した「Turn Your Love Around」でもグラミーの最優秀R&B楽曲賞を受賞したので、自信満々なのもわかります。
ともあれ、エアプレイのレコーディングもこんな感じで行われたのかと。また、当時のTOTOのほとんどのメンバーもバックで演奏しているようです。
ところで、「After The Love Has Gone」と「After The Love Is Gone」、動詞の部分が異なりますが、過去完了形、過去完了進行形?あー、わからなくなってきた。ま、どうでもいいことですわ。
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