« 天才・難波弘之のSense Of Wonder | トップページ | エレキ歌謡でゴーゥ! »

2024年3月14日 (木)

追悼、Eric Carmen~「さよならはいわないで」

かすてら音楽夜話Vol.184

Ms0028

月曜日、facebookのRaspberris(ラズベリーズ)のページに奥さんの名義で発表になったEric Carmen(エリック・カルメン)の訃報には、少なからずショックを受けました。

もう半世紀以上前のことですが、「TBS今週のベストテン」(TBSラジオ)から「I Wanna Be With You」(邦題「明日を生きよう」1972年、サードシングル)のイントロが流れた瞬間から、ラズベリーズのファンになっていました。

初めて購入したシングル盤(もちろんレコードです。EPの45回転)は当然「I Wanna Be With You」でした。A面はもちろん、B面の「Goin’ Nowhere Tonight」(こちらはベースのDavid Smallyの曲)も繰り返し聴いたものです。

その後、「Let's Pretend」(1973年、5枚目のシングル)は友人が購入し、続く6枚目のシングル「Tonight」(1973年)はワタクシが購入しました。

 

映像は再結成時のもの。2004年か2005年のものだと思います。風貌は30年以上経ってますが、歌と演奏はいうことなしです。

何しろ、メディアへの登場はラジオに限られ、それもレコード媒体だけという時代。演奏の映像などもなく、レコードを買ってジャケット写真にまたシビレるという時代です。

もちろん、テレビに海外のミュージシャンの映像が流れるなんてことは、すでに解散していたビートルズやエルビス、そしてなぜかトム・ジョーンズくらいだった時代。写真を見かけるのも「明星」や「平凡」、あるいは学習雑誌にちらっとあるかどうかでしたね。「明星」や「平凡」は今になってみればなんてことないんですが、対象となる読者は高校生以上みたいなところもあり、たまに外国映画の女優の「パイオツカイデー」な写真も載っていたりで、買うのも結構勇気がいりました。もちろん、立ち読みなんて無理です。

さて、そんなラズベリーズも「Tonight」のあとは不発が続き、そんなワタクシも受験勉強に突入していくわけです。その間に、ラズベリーズはメンバーチェンジをしたものの、ついに解散の憂き目にあいます。

さて、受験も終わり、無事に高校に入学した直後にリリースされたのが、エリックのソロデビューシングル「All By Myself」(1975年)でした。ラズベリーズのころのパワーポップ(ちなみにそのころこの言葉はありませんでした)は影を潜め、若き頃より教育を受けたピアノにラフマニノフのメロディをオマージュして作り上げた曲です。ラズベリーズを含め自身最高位となるビルボード2位、キャッシュボックス1位を獲得した7分にもわたる大作です。

<2024/03/22追記>
何を勘違いしていたのか1年ずれていました。1975年は長嶋ジャイアンツの1年目で、もうひとりのアイドルである長嶋茂雄の動向が気になっていたのです。負け続けるジャイアンツ。それでも、机に向かうふりをしてラジオのナイター中継を聴いてましたね。結果はセリーグ6位。かつ、まさかの赤ヘル旋風に気が気でなく、洋楽ははるか彼方へ。
それでも、エリック・カルメンがソロになってヒット曲を出したということは頭に入っていたと思います。

 

これはなかなかのレア映像。「All By Myself」はオリジナルが7分ですので、短いシングルversionとラジオで流すRadio Edit版も制作されました。

ですが、ラフマニノフの著作権がアメリカでは切れていたものの、アメリカ以外ではまだ生きていたことが判明しため、ラフマニノフ財団に印税の12%を支払ったとのことです。

さて、そのころ、まだワタクシは邦楽・洋楽を問わず音源の情報は相変わらずラジオでした。小学生の時に購入した簡易型のレコードプレイヤー(外部出力端子なし)はすでに壊れ、カセットテープのモノラル録音ができるラジカセを持っているだけ(これまた外部入力端子なし)でした。

そして、エリック・カルメンは徐々に売れなくなっていくのですが、チェックだけはしていました。

アルバイトしてようやく購入した一番安い一体型のステレオをようやく手にし、エリック・カルメンの3枚目のアルバム『Change Of Heart』(1978年)を1年以上遅れて購入。やがて就職し、時代はCDの時代に突入すると、お金が比較的自由に使えるにもかかわらず、旧作の再発はCDではなかなかしてくれません。

しかし、何とか紙ジャケット仕様のCDが再発され、まだ手に入れていないものもあります。が、ラズベリーズはなんとかすべて手に入れ、あとはエリック・カルメンのソロ作を徐々に集めていこうかというところの訃報でありました。

さて、エリックを見送るのにふさわしい曲はこれでしょう。

 

ラズベリーズのデビューシングル(おそらく日本未発売)「Don't Want To Say Goodbye」(ビルボード86位)でした。作者はエリックとリードギターのWally Bryson(ウォリー・ブライソン)で、ふたりのツインヴォーカルです。

ソロとなってからはこんな曲も。

アルバム『Change Of Heart』の収録曲、「Heaven Can Wait」(1978年)でした。

<2024/03/22追記>
音楽評論家であり、いか天審査委員長でもあった萩原健太氏は、「なんか、こう、自称“硬派な”ロック・ファンとか、エリック・カルメンみたいな音楽をクサすよねー。先日も、とあるSNSでそういう書き込み見てものすごいムカつきました(笑)。まあ、その辺はもう個人的な考え方というか素養の問題なので、特にリアクションはしませんでしたが。ぼくの視点からすると、むしろエリック・カルメンが体現しているような音楽性をきちんと評価できなければ、特に英米の音楽地図を受け止められないと思います。」と書いております。(「」内は萩原氏の「Kenta's Nothing But Pop」より引用しました )

健太さんの個人的セレクト
(Raspberries編)

  1. Go All the Way / The Raspberries (1972 US #5)
  2. Waiting / The Raspberries (1972, from album “Raspberries”)
  3. Don't Want to Say Goodbye / The Raspberries (1972 US #86)
  4. I Wanna Be With You / The Raspberries (1972 US #16)
  5. Nobody Knows / The Raspberries (1972, from album “Fresh”)
  6. If You Change Your Mind / The Raspberries (1972, from album “Fresh”)
  7. Tonight / The Raspberries (1973 US #69)
  8. On the Beach / The Raspberries (1973, from album “Side 3”)
  9. Ecstasy / The Raspberries (1973, from album “Side 3”)
  10. Overnight Sensation / The Raspberries (1974 US #18)
  11. Cruisin Music / The Raspberries (1974, from album “Starting Over”)
  12. Starting Over / The Raspberries (1974, from album “Starting Over”)

(Eric Carmenソロ編)

  1. Haven't We Come a Long Way / Eric Carmen (1978)
  2. She Did It / Eric Carmen (1977)
  3. Last Night / Eric Carmen (1975)
  4. End of the World / Eric Carmen (1978)
  5. My Girl / Eric Carmen (1975)
  6. I Wanna Hear It from Your Lips / Eric Carmen (1985)
  7. Never Gonna Fall in Love Again / Eric Carmen (1975)
  8. Sleep with Me / Eric Carmen (1980)
  9. Hey Deanie / Eric Carmen (1978)
  10. Great Expectations / Eric Carmen (1975)
  11. Change of Heart / Eric Carmen (1978)
  12. All By Myself (Single Edit) / Eric Carmen (1975)

これまで、たくさんの曲を届けてくれてありがとう、エリック。安らかに。

また、過去にこんな記事も書いております。

「パワー・ポップの時代」
「ラフマニノフに魅せられた男」

併せて読んでいただけると幸いです。

バナークリック、お願いしますね。

人気ブログランキング
人気ブログランキング 

音楽評論ランキング
音楽評論ランキング 

「#洋楽」人気ブログランキング 

| |

« 天才・難波弘之のSense Of Wonder | トップページ | エレキ歌謡でゴーゥ! »

Music Talk」カテゴリの記事

コメント

「All By My Self」名曲ですね。1975年だったのですね。もう少し前の曲だと思っていました。この頃は、初めてステレオを買ってもらい、夢中で洋楽を聴いていた時期です。FM雑誌を買い、エアチェックに励んでいました。懐かしいです。ラズベリーズは今までノーチェックでしたね。エリック・カルメンのオールタイムベストには、この辺りの曲も多少入っているようなので、チェックしてみたいと思います。

投稿: アニタツ | 2024年3月22日 (金) 11時58分

アニタツさん

いやあ、この記事にコメントがついて非常に嬉しいでございます。
微力ですが、これでエリックさんも浮かばれるかと。

ちょっと本文に追記をしましたが、この頃になると受験と長嶋ジャイアンツで洋楽どころじゃなかったんです。
でも、翌年の1976年から復活いたしました。相変わらず音源はラジオだけでしたが。
リクエストにお応えして健太さんの選曲も付け加えております。
エリック・カルメンとラズベリーズってタワレコあたりでも全然入荷してないし、BOOK OFFでも困難なんです。
訃報を受けて再発してくれるといいんですけど。
結構おもろい曲もありますよ。

投稿: ヒョウちゃん | 2024年3月22日 (金) 19時48分

 またまたお邪魔します。ラズベリーズとエリック・カルメンまとめて聴かせていただきました。ラズベリーズは、曲がポップでギターもかっこいいですね。ビートルズの影響も感じます。やはりバンドとしては継続は難しかったのでしょうか。エリック・カルメンではNever Gonna Fall in Loveもリアルタイムで聴いています。今でも好きな曲ですね。

投稿: アニタツ | 2024年4月15日 (月) 17時41分

アニタツさん

感想ありがとうございました。
この時代、どのバンドも全盛期で厳しいものがありますよね。
ちなみに『Fresh』のラスト、ビーチボーイズ入ってます。
エリックのソロでは2枚目を持ってないんです。
エドワード・ヴァンヘイレンが亡くなった時、タワレコでもアルバムが出てなくて、少しあとで、流通するようになりました。
エリックのレーベル、ゲフィンかライノだと思いましたが、頑張って出して欲しいものです。

投稿: ヒョウちゃん | 2024年4月15日 (月) 21時08分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 天才・難波弘之のSense Of Wonder | トップページ | エレキ歌謡でゴーゥ! »