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2026年1月21日 (水)

1位じゃなくちゃダメですか?

かすてら音楽夜話Vol.220

今回取り上げるのは、メジャーもメジャー、それどころかレジェンドともいえる人物ながら、シングルカットされた楽曲がチャート1位を獲得していないケースでございます。

ヒットチャート、それは選挙と同じく、民意が反映した結果だとは思いますが、勢いに乗って売れてしまったものの、それ以降鳴かず飛ばず、一発屋に終わるみたいな例も。また、日本に限っていえば楽曲の良しあしを問わず、「握手会」に乗せられて結果売れたみたいなものも。

1位獲得という偉業を成し遂げても、楽曲も人物も忘れ去られるよりは、今回取り上げる人たちは、末永く記憶に刻まれていますので、どちらが幸せなのかは明白です。

Bruce Springsteen

Brucespringsteen

アメリカという国を音楽で象徴したようなのが、Bruce Springsteen(ブルース・スプリングスティーン、愛称「Boss」)です。

 

なんといっても、Bossといえば、この曲、「Born In The U.S.A.」です。1984年10月のリリースで、ビルボードHot100で9位、キャッシュボックスでは8位でした。

同年リリースのアルバム『Born In The U.S.A.』からの3曲目のシングルカットになります。

アルバムもシングルも星条旗が描かれ、いかにも愛国歌かのように思えるのですが、曲の内容はベトナムからの帰還兵の疎外感を歌っています。

Bossは民主党支持者でありながら、1984年のアメリカ大統領選挙で「Born In The U.S.A.」を共和党陣営がキャンペーンソングとして採用しそうになったことがあります。やはり、星条旗のイメージなんでしょうか。でも、アメリカ人なんだから英語はわかるはずでしょう。ああいった政治家たち(ブレーンも含む)は、曲なんか聴いてないんでしょうね。確か、トランプも使おうとしたように思いますが。

ところで、Bossのシングル最高位は同アルバムの先行シングル、「Dancing In The Dark」で2位に終わりました。

もともと、スプリングスティーンという人は、ライヴ重視であり、クオリティの高いアルバムをリリースしていて、あまりシングル曲にはこだわりを持っていなかったようです。ですが、プロデューサーの一人でもある、John Landau(ジョン・ランドー)にシングルの重要性を説かれ、このアルバムからは7枚のシングルがリリースされています。

「Born In The U.S.A.」は9位に終わりましたが、アメリカだけの売り上げで300万枚、トリプルプラチナム認定というすごいことになりました。

また、アルバム『Bon In The U.S.A.』も当然ビルボードHot200で1位だし、1984年の年間チャートは28位に終わったものの、翌1985年の年間チャートでは見事に1位になり、また1986年の年間チャートでも16位となってます。売り上げは驚異の1700万枚。全世界で3000万枚というモンスターアルバムとなったのでした。

★★★

佐野元春

Motoharu

一方、オリコンシングルチャートでいうと、佐野元春も1位を獲得してないアーティストの一人です。

 

映像は1997年11月リリースのシングル、「Young Forever」でした。チャート上は39位に沈んでおります。

言い訳がましく補足をすれば、もっと前の映像を使いたかったんですよね。1980年代の曲とか。その点、映像管理に権利が絡むのか、佐野元春氏のオフィシャルYouTubeチャンネルでは取り上げてないんです。

ただ、この曲はアルバム『The Barn』(オリコン17位)収録で、アルバム全体をウッドストックのスタジオで収録しております。この時のバックバンドがまた豪華で、バンド名がThe Hobo King Band。

メンバーが、ギター(リード):佐橋佳幸。ギター(リズム):Dr. Kyon。ベース:井上富雄。キーボード:西本明。ドラムス:小田原豊。

佐野元春のシングルとしての最高位は「約束の橋」の4位になります。この曲は1989年にシングルとしてリリースされ、20位に終わったものの、ドラマの主題歌の採用されたため、1992年に再録されたものがリリースされ、4位になったものです。

シングルでは1位を取れなかったものの、一時は飛ぶ鳥を落とす勢いがあったことも。アルバムチャートではニューヨーク録音の『Visitors』(1984年)と渡米前のベストアルバム『No Damege』(1983年)が1位になってます。

ただでさえ、芸能界どっぷりのアイドル系に割って入り、ベストアルバムで1位になるということが当時としては偉業ともいえますね。

また、コラボ作品の「時代遅れのRock'n'Roll Band」(2022年)がオリコンデジタルチャートで1位となり、NHKの紅白出演も果たしました。

◆◆◆

シングルチャートといっても、ビルボードとキャッシュボックスでは集計方法も異なりますし、メディアでの放送回数なども加味されたりで、一概に売り上げだけではないのですが。

日本の場合だと、一過性の人気がすぐにチャートに反映されるのはいいのですが、Book Offなどを見て回ると、山のように積み上げられ、1枚330円で売られているかつての人気作品もありますからね。その点は「1位じゃなくちゃダメですか?」っちゅうことになります。

逆に、1位を取るということはすごいことでもあり、The Beatles(ビートルズ)のメンバーが解散後に全員がシングル1位を獲得していたり。また、グループの超絶なヴォーカリストでも、ソロで1位を取れないなんてことも。Mick Jagger(ミック・ジャガー)やFreddie Mercury(フレディ・マーキュリー)など。Eagles(イーグルス)のDon Henley(ドン・ヘンリー)とGlenn Frey(グレン・フライ)もそのケースです。

結局はチャートだけでなく、いかに人々の心に深く印象が刻まれるかということなんでしょうね。

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2026年1月 3日 (土)

カバーでナンバーワン

かすてら音楽夜話Vol.219

あけましておめでとうございます。

かすてら音楽夜話、本年も頑張っていきますので、よろしくお願いします。引き続き、ご愛顧のほどを。

さて、新年1発目は、カバー曲なのに1位を取っちゃったいくつかをご紹介します。

では、こちらをお聴きください。

I Love Rock'n Roll

 

おなじみ、「I Love Rock'n Roll」なんですが、なんか違和感が。男性ヴォーカルだし。

つうのも、これぞこの曲のオリジナルで、イギリスのバンド、The Arrows(アローズ)が1975年にリリースしたシングルなのであります。作者は、Alan Merril(アラン・メリル、ベース、ヴォーカル)とJake Hooker(ジェイク・フッカー、ギター)名義になってますが、実際にはメリルが書いたものです。

なんで共作名義にしたのかというと、メリルの借金返済のためだといわれています。

音源は同じものですが、演奏シーンが入った映像付きのものはこちら

いやあ、スリーピースバンドながら、十分イカしてますよね。

Joan Jett & The Blackhearts(ジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツ)がなんでこの曲をカバーしたかというと、The Runaways(ランナウェイズ)がイギリス公演中、テレビでアローズの演奏を見たのがきっかけだったようです。アローズはイギリスでテレビ番組を持っていたんですね。なお、ランナウェイズは本国アメリカよりも日本をはじめとする外国のほうが人気がありました。

それで、ランナウェイズでカバーするつもりが却下され、ジョーン・ジェットが新たに結成したバンドで演奏し、1981年にBillboard Hot 100(シングルチャート)で7週間1位という、偉業を成し遂げたのです。年間チャートでっも3位でした。

 

ジェット姐さんのヴァージョンはこちら。映像はTop Popという番組用のものみたいですが、音源はオリジナルを使用してます。また、アローズの原曲に忠実なアレンジをしてますね。なお、彼女たちの次のシングル、「Crimson And Clover」も実はカバー曲なのでした。

近年のジェット姐さんの映像もありましたが、タトゥは入ってるわ、声は力がないわで、やっぱ昔のほうがいいですよね。

なお、アローズはイギリスを拠点にしていたバンドながら、メリルとフッカーはアメリカ人です。

なお、メリルは音楽一家で、母親が著名なジャズシンガーのHelen Merril(ヘレン・メリル)です。この人の経歴も変わっていてアローズ結成以前は来日し、天下のナベプロに所属し活動をしていたようです。ウォッカ・コリンズというバンドも組んでいて、筆者は今はなき日清パワーステーションでのイベントでライヴを見たことがあります。残念なことですが、2020年にコロナでお亡くなりになってます。69歳でした。

ま、ジェット姐さんにはこの曲を紹介してもらったことに感謝ですかね。

Everytime You Go Away

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イギリスのブルーアイドソウルシンガー、Paul Young(ポール・ヤング)が1985年にリリースしたシングルで、ビルボード1位、ビルボードアダルトコンテンポラリー部門1位、キャッシュボックス1位、ビルボード年間チャート11位という、ヤングの最大のヒット曲です。

オリジナルはDaryl Hall & John Oates(ダリル・ホール&ジョン・オーツ、ホール&オーツ)が1980年にリリースしたアルバム『Voices』(邦題『モダン・ヴォイス』)に収録された曲で、シングルカットはされていません。

ヤングのヴァージョンもオリジナルに近いものがありますが、演奏にシンセサイザーや電子ピアノを使っていて、個人的には違和感を覚えます。

 

こちらが、ホール&オーツ版。彼らもヨーロッパ系のアメリカ人ながら、ブルーアイドソウルを得意としていました。まあ、その後、『Voices』以降、シングルカットされた曲が続けて1位になるなど、デュオとしてはSimon & Garfunkel(サイモン&ガーファンクル)に肩を並べるようなところまで行ってしまいましたが。

個人的には聴きなれたホール&オーツのほうが、好きですねえ。

ところで、ホール&オーツにもカバー曲があって、同じく『Voices』収録の「You've Lost That Lovin' Feelin'」(邦題「ふられた気持ち」)です。オリジナルはThe Righteous Brothers(ライチャスブラザース)の1964年のヒットで、ビルボード1位、年間チャート5位でした。ホール&オーツ版はシングルカットされ、12位まで上昇。これがきっかけでもないのでしょうが、次のシングル「Kiss On My List」が1位となり、快進撃につながるのでした。

Without You

 

こちら、Hurry Nilson(ハリー・二ルソン、日本では二ルソン)Mariah Carey(マライア・キャリー)のヒットで有名な「Without You」のオリジナルヴァージョンです。

特に、ニルソンのカバーは1971年にリリースされ、4週連続のビルボード1位、年間チャート4位となりました。ちなみに、マライア版は3位ですが、イギリスで1位となり、世界的ヒットとなったようです。知らんけど。

このオリジナルを作ったのが、イギリスはウェールズ出身のバンド、Badfinger(バッドフィンガー)でした。1970年、アルバム『No Dice』に収録された曲で、シングルカットはされていません。

作者はバンドメンバーのPete Ham(ピート・ハム)とTom Evans(トム・エヴァンズ)です。なんと彼らはビートルズが作ったApple Record所属でした。

バッドフィンガーは悲劇のバンドともいえ、詐欺師まがいのマネージャーと契約し、ワーナーと契約するものの、そのマネージャーが悪徳でワーナー側から支払われる巨額な金額をすべて自分の会社に入るようにし、バンドへはわずかな月給を支払うようなことを行っていました。そのため、金銭的に行き詰ったハムは自殺してしまいます。

その後、バンドは解散し、1978年に再結成します。しかし、「Without You」の利権をめぐり、エヴァンズがメンバーと対立し、法廷闘争になりますが、それに疲れたエヴァンズも1983年に自殺してしまいます。これで、完全にバッドフィンガーは終焉を迎えました。

考えようによっては「Without You」も罪作りな曲なんですねえ。

Got My Mind Set On You

 

なんと、George Harrison(ジョージ・ハリスン)の「Got My Mind Set On You」もカバー曲だったのです。

1987年にリリースされ、ビルボード1位、1988年の年間チャート3位でした。

オリジナルはJames Ray(ジェームス・レイ)というリズム&ブルースシンガーが1962年にリリースしたシングルのB面で、作者はRudy Clark(ルディ・クラーク)という人です。

この曲はジョージの最後のナンバーワンヒットであるばかりでなく、ビートルズのメンバーとしても現在のところ最後の1位獲得曲になります。つまり、これ以降、リンゴもポールも1位を取っていないということになります。

この曲が収録されたアルバム『Cloud 9』には、Jeff Lynne(ジェフ・リン、元ELO)が参加していて、これがきっかけとなって、覆面バンドのTraveling Wilburys(トラベリング・ウィルベリーズ)が結成されたのでした(メンバーはジョージ、リン、ロイ・オービソン、ボブ・ディラン、トム・ペティ)。

◇◇◇

その他にも、Shocking Blue(ショッキング・ブルー)「Venus」(ビルボード1位)をカバーしたBananarama(バナナラマ)も1位だったり。Little Eva(リトル・エヴァ)「Locomotion」(ビルボード1位)をGrand Funk(グランドファンク)がカバーし、これも1位。「Locomotion」に関しては世界中でカバーされ、フランスのシルヴィー・バルタンも本国で1位。日本では伊東ゆかり(当時はオリコンがなく、チャート不明)、ゴールデンハーフもカバーしてます。

胸糞が悪いのは大みそかの紅白にも出場した沖縄出身の某グループが当初は自身が作者であるとして、「ロコローション」というタイトルでオリコン1位を取ったものの、「Locomotion」の制作サイドからクレームが付き、作者がのちにGoffin-Kingに改められております。こいつら、CDシングルに収録していた「Orange Boat」という曲も自作だとしていましたが、ハリー・べラフォンテの側からもクレームがついて、彼の「Banana Boat」のカバーであると改められています。まったく、ふざけた野郎どもだよ。消えてほしい。

◇◇◇

また逢う日まで

日本の曲では尾崎紀世彦の「また逢う日まで」がズー・ニー・ヴーの「ひとりの悲しみ」という曲のカバーです。阿久悠&筒美京平コンビの名曲で、レコード大賞、歌謡大賞のダブル受賞で、もちろんオリコン1位。なのに、年間チャートで3位。1位は「わたしの城下町」2位が「知床慕情」でした。

「ひとりの悲しみ」はヒットせず、阿久悠氏が詞を書き直し、尾崎に提供したものです。

 

「ひとりの悲しみ」、実はカラオケにあったりしますけど。また、『筒美京平 Golden History』(コロムビア盤)に収録されてます。このYouTubeは違法アップロードです。

もうひとつありますが、共有できないんですよね。リンク貼っておきます。町田義人氏のダイナミックな歌唱、尾崎氏とまた違っていいですわ。

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