ふたりのオタクが作った「H」から始まる人名の入る曲
かすてら音楽夜話Vol.221
久々、この企画やります。アルファベット順だと今回は"H"になります。
◆◆◆
The Diary Of Horace Wimp/Electric Light Orchestra
この曲は知っておりました。1979年リリースのElectric Light Orchestra(エレクトリック・ライト・オーケストラ、のちにELOと名乗る)8枚目のアルバム『Discovery』に収録された、「Diary Of Horace Wimp」(邦題「ホレスの日記」)という曲で、同アルバムからの2曲目のシングルです。
チャート成績は、全英8位。アメリカではシングル未発売あるいはチャートインせず。
ここに登場する「Horace」さんですが、弱虫(「Wimp」)な男性ですね。そのホレスさんの1週間を日記形式で語られていくという内容ですが、一応はラブソングに入るんでしょうねえ。
ELOは1972年から1986年までの間に最もビルボードTop40内にヒット曲を送り込んだことで、ギネス認定されているそうです。アルバム『Discovery』からも「Shine A Little Love」(英6位、米8位)、「Don't Bring Me Down」(英3位、米4位)、「Confusion」(英8位、米37位)、「Last Train To London」(イギリスでは「Confusion」との両A面、米39位)とシングルヒットを送り込みました。とはいえ、英米ともシングルでは1位を獲得しておりません。
ただ、「Diary Of Horace Wimp」以外の曲は、ディスコサウンドの影響を受けているともいわれています。アルバムタイトル『Discovery』も冗談でしょうが、メンバーが"Very disco."とコメントしたとかしないとか。
ELOはロックにクラシックの要素を取り込み、そのためにかつてはストリングスのメンバーも在籍していたほどのバンドです。つまりはメインストリームのロックバンドというより、ちょっと変わった、癖のある、従来のロックに飽き足りたファン向けのようなバンドでした。それも、ELOのリーダーでヴォーカリストのJeff Lynn(ジェフ・リン)のオタク傾向が徐々に花開いたものともいえましょう。
アルバム『Discovery』の前作あたりから、徐々にヒットが生まれ始め、いよいよ、商業路線に乗っかるかというような時期だったんでしょうねえ。この後、ELOはOlivia Newton-John(オリビア・ニュートン-ジョン)が主演するミュージカル映画「Xanadu」(ザナドゥ)のサウンドトラックに参加し、ポップの王道を歩んでいくことになりますが、あまりにもジェフ・リンひとりの動向に偏りがちで、バンドは解散してしまいます。
なんたって、曲作りからリードヴォーカル、ライヴでの前面に出るギターを担当していましたから。リンさん、解散後はソロを経て、覆面バンドTraveling Wilburys(トラベリング ウィルベリーズ)に参加し、2014年からはJeff Lynn's ELOを立ち上げております。
◆◆◆
Hollyann/Boston
さて、こちらはBoston(ボストン)の3作目のアルバム、『Third Stage』収録の「Hollyann」(ホリーアン)という曲です。
メロディアスなアコースティックギターが印象的な曲ですが、ボストンはテクニカルなプログレ系ロックバンドともいえ、重厚なギターサウンドのほうが有名です。
ですが、このバンドはリーダーでもあるTom Scholz(トム・ショルツ)がひとりで作り上げてきたプロジェクトともいえます。ショルツはマサチューセッツ工科大学出身のエンジニアで、ポラロイド社に努める傍ら、宅録で曲を作り始め、各社にデモテープを送り続けていたオタクでもありました。
ヴォーカリストBrad Delp(ブラッド・デルプ)だけはショルツが目をつけてスカウトしてきたようですが、ほかのメンバーはデビューに当たってライヴ活動をする必要があって、急遽集められたともいわれています。宅録のクオリティがすごすぎて、契約したレコード会社(Epic)も騙されるほどの出来でした。
デビューアルバム『Boston』がビルボード3位、2作目『Don't Look Back』が1位。ただし、この後レコード会社とのトラブルで8年もの間沈黙を貫くこととなります。アルバム『Third Stage』も1位となり、シングルカットされた「Amanda」(これも女性の名前が付いた曲です)が唯一の1位になりますが。
どうやら、「Amanda」と「Hollyann」は対になった曲ともいわれています。あまり深い意味はないと思いますが。
オタクでありながら、ボストンというバンドの形態になるとオタクの兆候を一切見せないショルツという人もある意味プロですねえ。
ま、日本で当てはめてみれば、大瀧詠一も山下達郎も立派なオタクですよね。夏のビーチのことをテーマにしていても、本人はそういうところに一切興味がなさそうだし。ちなみに、ユーミンはそういったシーズンスポーツやリゾートにも実体験があるので、オタクではないですね。
★★★
つうことで、"H"はたったの2曲です。また、予告しておきますと、"I"から始まる人名で曲になったものはどうやら、なさそうですので、欠番とさせていただきます。その分、"J"はめっちゃ多いです。日本の曲でもありそうです。
てなことで、お詫びではありませんが、レア曲を見つけましたので、お聴きください。
あの「サンデーモーニング」のスポーツ担当、唐橋ユミさんの「失くさないで、忘れないで」でした。こちら、「喝」なのか「あっぱれ」なのか。
唐橋さんというのもレア。ちなみに、この方、会津ほまれブランドの「ほまれ酒造」がご実家です。
そして、作者は作詞:売野雅勇/作曲:林哲司/編曲:船山基紀というラインナップでした。ちなみに、林哲司大先生、現在も菊池桃子などに曲提供してますね。
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