ライヴ音源のヒットシングル
かすてら音楽夜話Vol.223
ライヴレコーディングというもの、通常はアルバムなどで売れるものがたまにあります。
Cheap Trick(チープトリック)『Cheap Trick At Budokan』とか、The Band『The Last Waltz』、伝説の『Woodstock』オリジナルサウンドトラックなどなど。
ですが、これらも稀有な例です。ましてや、その中の音源をシングルカットしちゃって、しかもそこそこヒットするというのは、さらに希少価値があると思います。
そこで、今回はそんな曲を3つほど取り上げました。
Billy Joel「Say Goodbye To Hollywood」
1981年リリースのBilly Joel(ビリー・ジョエル)のシングル、「Say Goodbye To Hollywood」(邦題「さよならハリウッド」)でした。
もともとのヴァージョンは1976年リリースの『Turnstiles』(邦題『ニューヨーク物語』Billboard Hot 200、122位)収録で、同アルバム収録の「I've Loved These Days」のB面としてリリースされた曲です。その後、イギリスなどで、改めてシングルカットされていますが、チャート圏外に終わりました。
その後の1981年にライヴアルバム『Songs In The Attick』がリリースされます。アルバムはビルボードアルバムチャートで8位。そして、「Say Goodbye To Hollywood」はファーストシングルとしてリリースされ、ビルボードシングルチャートで17位というスマッシュヒットを記録しました。続く「She's Got A Way」も23位を記録しました。
こちらのライヴヴァージョンは前年1980年にミルウォーキーアリーナでの公演を収録したものです。
さて、ビリー・ジョエルというと、典型的なニューヨーカーというイメージですが、レコード会社とのトラブルによって、ニューヨークを離れ、1972年にロサンゼルスに移住していました。ビリーの初期のヒット曲「Piano Man」も西海岸での収録だったのですね。
しかし、ロスでの日々は失望を抱えたものだったようで、1975年にニューヨークに戻っています。そのような思いが、この曲や「New York State Of Mind」(邦題「ニューヨークの想い」)などにも表れています。
ビリー・ジョエルの『Songs In The Attick』の収録曲はほとんどが西海岸時代の不遇だったころの作品です。そして、かつてはシングルとしてリリースしたものの、まるでチャートに入らず、それらをライヴレコーディングするとともに、シングルカットする。ビリー・ジョエルの執念のようなものがついに実を結んだということでしょうか。
The Rolling Stones「Going To A Go Go」
The Rolling Stones(ローリングストーンズ)がアルバム『Tatto You』(邦題『刺青の男』、ビルボード1位)を引っ提げての、USツアーでのライヴレコーディングが、1982年リリースの『Still Life』でした。
この時のセットリストでは、オープニングが「Take The A Train」(「A列車で行こう」デューク・エリントン楽団)のイントロから「Under My Thumb」で始まり、「The Star-Spangled Banner」(アメリカ国歌、ジミ・ヘンドリックスのウッドストックで披露したヴァージョン)で終わるという流れになっていますが、アルバムの最初と最後は同じ構成になっています。
その『Still Life』からのファーストシングルが、「Going To A Go Go」だったわけですが、作者はSmokey Robinson(スモーキー・ロビンソン)とThe Miracles(ミラクルズ)のメンバーで、彼らが1965年にリリースした曲のカバーになります。
ストーンズは意外にもカバー曲をよく収録するバンドで、デビュー直後のシングルはほとんどがカバー曲でしたし、アルバム『It's Only Rock'n Roll』では「Ain't Too Proud To Beg」(17位)、アルバム『Dirty Work』では「Harlem Shuffle」(5位)というカバー曲のシングルもリリースしています。また、アルバムに往年のブルースやソウルのヒット曲のカバーを入れていたりもするほど。
ストーンズの始まりはアフリカ系アメリカ人のカバーから入っていて、彼らに対するリスペクトもあったと思います。のちの『Dirty Work』の頃はMick Jagger(ミック・ジャガー)とKeith Richards(キース・リチャーズ)の関係が良くなかったので、カバー曲を持ってきたという事情もあったと思いますが。
でなところでの、ミラクルズのナンバー、「Going To A Go Go」ですが、チャートでは25位に沈んでおります。ですが、臨場感がすごいです。収録はメリーランド州ラーゴでの公演のものです。
なお、ストーンズは各年代でライヴアルバムをリリースしています。70年代に『Get Yer Ya-Ya's Out』、『Love You Live』、90年代に『Flashpoint』、『Stripped』、『No Security』、2000年代に『Live Licks』、『Shine A Light』という具合で、ブートも含めれば誰よりも多くのライヴ盤をリリースしていますね。さすがは史上最高のライヴバンドです。
Peter Frampton「Show Me The Way」
最後に紹介するのは、Peter Frampton(ピーター・フランプトン)の「Show Me The Way」です。
1976年リリースのシングルで、6位となるヒットになりました。続く「Baby, I Love Your Way」も同じくライヴ盤で12位。その次のシングルもライヴ盤の「Do You Feel Like We Do」も10位という、フランプトン大ブレイクの年となりましたが、この3曲が収録された『Frampton Comes Alive!』というライヴアルバムはなんと、10週連続の1位です。ライヴアルバムとしてはほぼありえない大成功を収めたのですね。
ちなみに、映像はアメリカのテレビ番組らしいのですが、フランプトンの公式チャンネルのオリジナルヴァージョンでは音声だけなので、こちらを持ってきました。演奏時間などもほぼ同じですし、もしかしたらテレビでは音声のみ元の音源を使っているのかも。
ともあれ、フランプトンがトーキングモジュレーター(トークボックス)を使い、ホースをくわえて演奏しているところを見ていただきたいです。
ピーター・フランプトン(イギリス出身)という人、わずか16歳でデビューし、Small Faces(スモールフェイセズ)を脱退したSteve Marriotto(スティーブ・マリオット)とHumble Pie(ハンブルパイ)を結成したものの、1972年に音楽性の違いからソロになります。
そこから地道にほかのバンドのサポートなどもやりながらライヴで実力を積み上げてきた人で、ついに『Farampton Comes Alive!』で花開いたといっていいでしょう。
ちなみに、『Frampton Comes Alive!』からリリースされた3曲のうち、「Show Me The Way」と「Baby, I Love Your Way」は前年のスタジオアルバム『Frampton』にも収録され、シングルカットもされていますが、チャート圏外でした。ただし、アルバムは32位というアメリカで初のヒットを記録したところから、じわじわとフランプトン旋風が起きていたのかもしれません。
その次のアルバム『I'm In You』も2位に入り、同名のシングルも自己最高の2位を記録します。
その後、Bee Gees(ビージーズ)らが企画した映画「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』にも出演したものの、映画は失敗。サウンドトラックは5位になったものの、フランプトンが関係する楽曲はチャート圏外に終わりました。ただし、Earth, Wind & Fire(アースウィンドアンドファイア)がリリースした「Got To Get You Into My Life」は9位を記録してます。
それ以降は目立った活躍もなく、あれだけ豊富な頭髪も残り少なくなって一気に枯れた印象があります。しかし、2006年のインストアルバム『Fingerprints』(129位、ただし、トーキングモジュレーターは使用している)が第49回グラミー賞で、最優秀ポップ・インストゥルメントアルバムに選ばれました。
近年は病気のため活動が減っています。
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一方日本国内ではライヴ盤ってシングルがほぼありませんね。
相当昔のエレックレコード、泉谷しげる「春夏秋冬」なんてところくらいじゃないすかね。RCサクセションの「雨上がりの夜空に」は久保講堂ライヴのアルバム『Rhapsody』で知られるようになりましたが、シングルヴァージョンはスタジオ録音でした。
他にはあるかな?
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