カテゴリー「04d Portugal」の8件の記事

2020年9月 5日 (土)

やっとありついたスナック

本日の話題は2007年です。

この時はエールフランス利用で、成田ーシャルルドゴールーリスボンとカサブランカーシャルルドゴールー成田というオープンジョーチケットを購入し、リスボンからスペインを経由し、ジブラルタル海峡をフェリーで渡り、モロッコに行くという旅をしました。

その日滞在していたのはポルトガル南部のファーロという小都市です。この日の予定はスペインのジブラルタル海峡に面したアルヘシラスまで行くことです。

それでは、2007年8月に「時を戻そう」。ぺこぱ風でもありますが、水曜どうでしょう風でもありますね。

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<ファーロの宿の朝食>GR DIGITAL

ヨーロッパのホテルによくある、コンチネンタル式の朝食です。とはいえ、セルフ式でパンも飲み物も自分で取ってきます。でも、ここの宿はハムとチーズがありました。真ん中に置いてあるのはヨーグルトではなく、バターとジャムです。

腹ごしらえもしたので、出発しましょう。チェックアウトをし、料金を支払います。決済はカードを使ったのかはたまた現金だったのか、覚えていません。

当時の宿の取り方ですが、到着した都市と出発する都市だけは予約サイトで押さえました。AgodaとかBooking.comなどは存在していたのかもしれませんが、日本では一般的ではなかったですね。日本で知られていたのはApple Worldとかトラベル子ちゃんとかです。ここでは、有名都市くらいしかヒットせず、しかもそこそこの値段のホテルだけを扱っていました。

とうじはまだまだ、情報が少なく、せいぜいネットでの口コミ・書き込みに頼る程度なのです。移動手段などもあいまいもいいところで、途中に立ち寄る都市では宿は飛び込みにならざるを得ません。このスタイルを転換するのは2013年頃でしょうか。

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<ポルトガル国鉄>MZ-3/FA35mm

これからポルトガル・スペイン国境のヴィラ・レアル・デ・サントアントニオまで行きます。列車の上には架線が見えますが、スペイン国境方面は電化されておらず、ディーゼルカーになります。

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<グアディアナ川>MZ-3/FA35mm

国境は川です。すでにEUに組み込まれていた両国なので、出入国審査はありません。でも、途中に川があり鉄道はつながってません。バスもあるらしいのですが、バスを見つけるよりも先にフェリー乗り場に着いていました。

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<ダマス社のバス>MZ-3/FA50mm

フェリーを降りたところは、アヤモンテという都市です。ここからアルヘシラス行きのバスがあればよかったのですが。なんとか観光案内所を見つけ、トイレを借り、アルヘシラス情報をきくと、「今日中にアルヘシラスに行くのは難しいかもしれません」という返事です。

幸い、バス乗り場は案内所のすぐそばで、待っているとウエルバ行きのバスが来ました。ウエルバ乗り換え。急いでチケットを購入し、アルヘシラス行きのバスに乗り込むと自分が最後の客でした。

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<アルヘシラス行バス>MZ-3/FA35mm

ウエルバの次はセビーリャに到着します。さすがに大都市でバスターミナル2つを回り、ようやく出発です。バスの中で歩き方の地図を見ていました。それは、スペインのものだったかモロッコのものだったか。見終わり、バッグにしまおうとすると、後部座席にいた女性が見せてほしいといいます。

日本語の地図だけどといいますが、それでも見たいそうです。

バスは途中でドライブインのようなところに止まりました。トイレ休憩です。スペイン人は短時間でもここで腹を満たしますが、事情のよくわからないハポネスはそそくさと座席に戻ります。ここのバル、なんか見たようなところだなと思っていたら、大沢たかおの出演した「劇的紀行・深夜特急」で撮影された場所でした。画像に残していなかったのがものすごく残念です。

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<風力発電機>MZ-3/FA35mm

途中カディスなどのアンダルシア地方の沿岸部の都市名がちらちら出てくるのですが、ここからが長かったです。

アルヘシラスに到着したのは20:00を回っていました。スペインは西ヨーロッパ標準時、フランスやドイツと同じ時間帯ですが、ポルトガルはグリニッジ標準時を採用していて、1時間の時差があります。しかも、東に行くことになるので、それだけ1日が短くなります。

何とか宿を確保し、夕食に向かいます。昼食は抜きです。腹が減った。

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<この日の夕食>GR DIGITAL

探せばまともなレストランはあったでしょうが、宿周辺では見つからず、あまりにも賑わってないバルで済ませました。食事っぽいものは鶏肉のバーガーくらいでした。タパスとかも置いてなかったと思います。

飲み物は赤ワインを炭酸水で割った「Tinto de Verano」というものです。あとでわかったのですが、アンダルシアのような暑いところでは、このようなものを夏に味わうんだそうで。ちなみに、バーガー、3.8ユーロ。飲み物、1.2ユーロでした。

ふと、顔を上げると、バスで地図を見せてくれといっていた女性がいました。翌日モロッコに向かうそうです。同じだね。また会えるといいかも、アディオス。

でも、翌日の船内はおろか、モロッコでも出くわしませんでした。

★「時を戻そう」シリーズ、ボチボチやってますけど、当分続くと思いますよ。

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2018年6月 1日 (金)

ポサーダで食事

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<ポスト兼切手自販機>K-7/DA21mm

画像はマカオではありますが、ポルトガルにも全く同じデザインのポストがあります。というか、ポルトガルがオリジナルでそれが植民地時代のマカオにも導入されたものですね。

今やとどまることを知らない中国の一路一帯ですが、このマカオのポストも風前の灯だったりして。

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<ポサーダの前菜>Coolpix880

ポルト滞在中、ギマランイスという中世の雰囲気が残る年に足を延ばしました。街中を歩いていると、西洋風時代劇のロケをやっていました。西洋風のチャンバラであります。

ギマランイスにはポサーダという国営の宿泊施設が2か所あります。国営といっても日本の国民宿舎あたりには相当しません。貴族の館であったり、僧院であったり、城だったりします。予約はとても取りずらいそうです。スペインでは同様のものをパラドールと呼んでいます。

ま、高級のうちに入るでしょう。宿泊は飛び込みじゃとても無理です。イベリア半島の宿は結構人の風体を見て、部屋があっても「ない」といわれることがあるんです。予約もしていない東洋人のわけわからん奴に部屋を貸せるかというわけです。このとき、身だしなみに気を付けながらも、数か所断られた経験がございます。イタリアなどはほぼ大丈夫なんですけど。

こういう国々はともかく予約サイトで埋めていくことをお勧めいたします。でも、髭伸ばし放題とか、あまりにもソーシャルなスタイルからかけ離れていたりすると、ひどい部屋をあてがわれる可能性はあるでしょうね。

ともかく、宿泊は無理でもポサーダのレストランで食事をすることは可能なので出向いてみました。最初に並べられるのは基本セットのようなものです。ワインは頼みました。ヴィーニョ・ヴェルデの赤ですね。発泡性のワインです。「緑のワイン」という直訳になりますので、普通は白の発泡性ワインなんですが、ポルトのあたりにはこれの赤もあるんです。この辺りでしか飲めません。

そしてパンは有料なんです。パン籠の横にあるのは海産物のペーストみたいなものです。これらを「食べていない」と事後申告すればお代はかかりません。

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<ミネラルウォーター>Coolpix880

これも頼みました。夏のポルトガルは乾燥しているのでどうしても頼みます。思えば、この頃は旅で大枚はたくのが普通だと思っていたので、節約するという意識に欠けていました。頼めるものはだいたい頼むと。

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<前菜>Coolpix880

勝手に出てきたやつですが、平らげました。ムール貝のスープのようなものです。美味かったですね。その他、オリーブの実なんかも来て、拒まなかったんですね。この頃から食い意地が張っていて、なんでも口に入れてみたかったようです。

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<海産物スープ>Coolpix880

Sopa de Marisco。海産物をすべてミキサーですりつぶしたものです。具らしきものはないんです。すべてがミックスされてますから。これは熱々で美味いとメモにはありました。

ここから自分で頼んだものとなります。それが運ばれるまで、有料の前菜攻撃にさらされるわけです。おなかが空いていればなかなか断れないと思います。

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<豚ステーキ>Coolpix880

かなりの厚切りです。ちなみに、ポルトガルでは豚肉が一般的です。ビーフもあるにはありますが、ポークステーキもかなり美味いです。

まあ、こんなに頼んじゃいましたが、ポルトガル人はかなりの大食漢です。1皿がかなり多いです。しかも、付け合わせのジャガイモが山ほど付きます。

ま、ここはポサーダなので、そのようなはしたない盛り方はしませんが。でも、リクエストすればポテトの追加くらいは無料だと思います。

つーことで、ポルトガルでは何かメインをひとつ頼み、有料のパンとオリーブの実くらいあれば、満足できるのではないでしょうか。

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<エスプレッソ>Coolpix880

食後のコーヒーです。この国もエスプレッソマシンでコーヒーを入れます。ただし呼び名は、北部でシンバリーノ、南部でビッカです。スペインだとカフェ・ソロになります。

ポルトガルのコーヒーはマシンで入れますが結構バリエーションがあります。なんたってブラジルという植民地があった国ですから、コーヒーのことに関してはイタリアやフランスよりもうるさいのかも。

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2018年5月26日 (土)

ポルトの年代物ホテル

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<サンベント駅>MZ-3/FA28-105mm

ポルトガルのヴィアナ・ド・カステロからポルトまで列車でやってきました。時は2003年。ユーロ導入後初のポルトガルです。この時はマドリッド往復チケットだけ購入し、スペインとポルトガルを回ったのです。

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<1910年開通>MZ-3/FA28-105mm

サンベント駅はポルトの中心にありますが、長距離列車の止まる駅は郊外にあるカンパニャンという駅です。ですが、乗り換えなしで到着しました。

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<アズレージョ>MZ-3/FA28-105mm

サンベント駅は古いだけあって駅の壁面に見事なアズレージョがあります。アズレージョとは陶板で作った壁画のようなもので、ラテン語系の「青」という言葉通り、青のモノトーンで描かれます。香港にはありませんがマカオには結構あります。

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<年代物エレベーター>MZ-3/FA28-105mm

駅について宿を探します。当時、宿のネット予約はありましたが、途中の行程などがあいまいだったので、旅の最初と最後くらいに限られていました。もちろん、パソコンを持ち歩くこともなく、WiFiなんてものはありません。当然、スマホもなく、ガイドブックなどの情報をもとに探し歩くことになります。

ですが、駅前のリベルターデ広場を取り囲むようにホテルが結構あります。そのどれかということで、駅から徒歩数分のHotel Peninsularにチェックインします。名前は大仰ですが、値段も安く古いホテルです。自分で扉を開けて乗り込む年代物のエレベーターで上階に向かいます。

このエレベーター、どれくらい使っているものか不明ですが泊まっている間に使用禁止になりました。メンテナンス中だったのか、単に壊れたのか。

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<客室>Coolpix880

ツインですがシングル料金で利用できました。間違いなく空いています。ヨーロッパですから、水は置いてありません。エアコンもありません。イベリア半島では当時エアコンはあっても旧型だったり、送風機だけだったりという具合。

そんなに暑くならないはずなんですが、8月は結構暑くなります。窓を開けて外の空気を取り入れればそんなにしんどくないです。

このあたりでは建物全体が石造りで外の熱気を取り入れなければ、ひんやりした空気を夜まで保ってくれるという理屈ですが限界を超えるともうダメです。ここ4泊しましたが、暑くて仕方ないということはありませんでした。ただ、窓を開けておくと、窓の外に鳩の巣があるのか、やたらと鳩が集まって来るんです。窓開放は最低限にとどめます。

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<トイレとビデ>Coolpix880

ラテン系の国ですからビデがあります。当時はタイ式を取り入れていなかったので、使用することはありませんでした。

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<バスタブ付き>Coolpix880

さすがはクラシックホテルです。バスタブがあります。お湯の出もさすが。でも、ほぼシャワーでしたが。結構バスタブのあるホテルは少ないです。

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<朝食付き>Coolpix880

簡素な朝食ですが付いていました。同じくリベルターデ通りのペンサオンに泊まったことがありますが、コンチネンタルスタイルの朝食付きでした。ユーロ導入直後ではありましたが、ポルトガルで朝食を外で食べると結構するでしょう。物価的にはエスプレッソの値段が隣国スペインの半額でしたが、今ではそんなこともないでしょうね。

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<リベルターデ広場>MZ-3/FA28-105mm

ポルトからはスペインに戻る計画でした。バスがあるはずでしたが、チケット探しに奔走しました。結局Eurolinesのバスチケットを代理店で購入できましたが、ホテルのフロント女性が結構心配してくれましたね。

見た目、想像ですが自分と同じくらいの年代だと思いましたが、あっちは学生あたりと勘違いしていたような気もします。

んー、金があったらまたポルトガルには行ってみたい。まあ、当分先かな。

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2014年6月21日 (土)

ワールドカップの想い出

世の中ワールドカップ一色ですね。もちろんサッカーのFIFAワールドカップですが。ワールドカップ期間は6月あたりと決められているため、旅先での本戦の想い出ではありません。

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<発見のモニュメント>MZ-3/FA35mm

2001年の春、ポルトガルはエヴォラという地方都市におりました。エヴォラ大学という中世から続いている大学都市です。ここでアンコウを使った料理を堪能し、宿に戻りました。

ふと、テレビをつけると、サッカーの試合をやってました。あまり興味がなかったので、流す程度にしていました。試合が終わったようです。その瞬間、近くの部屋から大歓声が。なんだと、テレビをよく見ると、ポルトガルとオランダの試合だったようで、スコアまでは覚えていませんでしたが、ドロー、引き分けに終わったようです。

それでも、歓声が上がったということは、ポルトガルが有利に展開したということでしょう。どうやら、2002年のFIFAワールドカップ、日韓大会のヨーロッパ予選だったようです。本大会には、ポルトガルは出場し、オランダは予選敗退だったようです。

イギリスでも、ビッグ・ベンの対岸でシャッター押しを頼んだ男性がこちらの出身をきいてきて、「今度のワールドカップは日本でやるね」などといわれました。そのときは、「フットボール」という言葉が出たので、一瞬なんのことかわからなかったのですが。

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<草サッカー>K7/DA21mm

アジアのサッカー後進国、日本。コートジボワールに逆転負け。次のギリシア戦はスコアレスドローと、瀬戸際まで追い込まれました。予選最終戦はコロンビアが相手。

なんか、決勝トーナメントに進めないと、暴動でも起きそうな感じですが、ワタクシ的には次で日本代表が自分たちのやりたいサッカーを見せてくれればよいと思っています。ジーコジャパンのドイツ大会の時には、がっかりでしたけど。

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2014年4月29日 (火)

果ての岬

深夜特急の足跡を追うVol.12

ゴールデンウィークに突入しました。激しく旅に出たいものの、相変わらずカレンダー通りの勤務なので、この時期旅に出ているひとのレポートを羨望のまなざしで眺めていたりします。

ならば、机上で旅行に出てしまえばいいのではないか。そう考えて昔の画像を引っ張り出し、思いつきで記事を作成しました。

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<サグレスというビール>GR DIGITAL

「ビールを呑まないか」
 袖を下ろしながら男が言った。そういえば、料理を食べるのに一生懸命で酒のことを考えるのを忘れていた。イカのリング揚げにはビールこそがふさわしかった。男は、私が、ええ、と返事をする前に少年に注文していた。
「セルベージャ」
 ビールは、スペインならセルベッサだが、ポルトガルではセルベージャとなるらしい。少年はすぐにそのセルベージャの小瓶を持ってきてくれた。ラベルに「SAGRES」とある。
「サ、グ、レ、ス」
 私がそれを読みながら口に出して発音すると、男は頷いて言った。
「そう、サグレス」
 サグレスとはどんな意味なのか。私は単に話の継ぎ穂にというくらいの気持で訊ねた。
「土地の名さ」
「サグレスという土地?」
「岬がある」
「それはどこですか」
 私は興味を覚えて訊ねた。男はテーブルの周囲を見廻した。書くものを探しているらしい。少年に言いつけ、注文取りに使うザラ紙とボールペンを持ってこさせた。そこにイベリア半島の概略図を描くと、ボールペンの先で突いた。
「ここさ」
 印がついたのは、ポルトガルの、というより、イベリア半島の西南の端の地点だった。
「ここがサグレスだ」
(沢木耕太郎「深夜特急」より引用)

このようにして、沢木耕太郎はサグレスという岬の名前が刷り込まれ、リスボンが「最期の地」となることに納得せず、サグレスを目指すことになるのです。経路はリスボンからラーゴス乗り継ぎのバスでした(というか、デリーを出発以来フェリーを除いてすべて移動はバスなのです)。

自分の場合はリスボンからアルヘシラスを経由しモロッコを目指す旅の途上で、ラーゴスに行ってみることにしました。ですが、ホテルは断られ、駅で声をかけてきた男の家に泊まることになりました。サグレスは日帰りです。

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<サグレス行きのバス>GR DIGITAL

 私の持っているイベリア半島全体がでているような地図だと、ラゴスからサグレスまではバスでさえ一駅くらいの距離に見える。しかし、実際はバスに乗って二十分たっても三十分たってもサグレスに着かなかった。
 外はすでに真っ暗だが、人家の灯りは遠くにポツポツと見えるだけだ。ラゴスから乗った学校帰りの少年少女たちも次々と降りていき、最後には乗客は私を含めて三人しかいなくなっていた。
 バスは一時間半後にようやくサグレスに到着した。
(沢木耕太郎「深夜特急」より引用)

リスボンからのバスは各駅停車ともいうべきもので、ラーゴスにさえなかなか着かなかったようです。自分が訪れたのは夏でしたが、沢木さんは冬で、ダイレクト便はなかったようです。

自分の場合は小1時間で到着しました。沢木さんは要塞まで行こうとしましたが、野犬がいて、引き返します。すでに最終便だったため、戻りのバスはなく、どうしようかというところでしたが、シーズンオフで休業中のペンサオンに宿泊することができサグレスに3泊することになったのです。

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<サグレス要塞への道>MZ-3/SIGMA20mm

 朝食後、私は昨夜とうとう辿り着けなかった要塞に向かった。
 殺伐とした野原に要塞に続く一本道がある。そこを歩いていくと、今日は犬ではなく、驢馬を引いた老人に出会った。
「ボン・ディーア!」
 こんにちは、とポルトガル語で挨拶してみる。さっき鬚の息子から教えてもらっておいたのだ。
(沢木耕太郎「深夜特急」より引用)

サグレスには宿がたくさんありました。夏であるということもあったのかもしれないです。これだったら、ラーゴスで民泊するより、こっちの方がよかったかもと思いました。

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<大西洋>MZ-3/FA35mm

 ふと、私はここに来るために長い旅を続けてきたのではないだろうか、と思った。いくつもの偶然が私をここに連れてきてくれた。その偶然を神などという言葉で置き換える必要はない。それは、風であり、水であり、光であり、そう、バスなのだ。私は乗合いバスに揺られてここまで来た。乗合いバスがここまで連れてきてくれたのだ……。
 私はそのゴツゴツした岩の上に寝そべり、いつまでも崖に打ち寄せる大西洋の波の音を聞いていた。
(沢木耕太郎「深夜特急」より引用)

引用の前半、このフレーズは「劇的紀行・深夜特急」でも取り上げられていて、大沢たかおがつぶやいています。その後、画面はいきなりロンドンの中央郵便局に飛んでしまうのですが。

このあと、宿に戻った沢木さんは夕食も宿で食べることにします。食後紅茶を頼むと、ポルトガル語で紅茶はチャイ、アジア圏の茶など、Cで始まる言葉であることがわかり、これで終わりにしようと決心します。

本当はリアルタイムでこうした場所を訪れることができたらいいのですが。まだこうした場所は数ヶ所あって、とにかくネタがありませんから、たまに取り上げると思います。オリジナルのブログ記事はサグレスという名のビールと岬ユーラシア大陸最南西端-サン・ビセンテ岬です。

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2008年5月 6日 (火)

エコロジーな風景

今日からは旅レポとはあまり関係のないエントリーがしばらく続きます。とはいえ、ネタ元はかつての旅にさかのぼるのだけれど。

パスの車窓を眺めていると見慣れない風景にぶち当たった。なだらかに続く丘陵地帯に立ち並ぶ風車の群れ。だが、ここはスペインのラ・マンチャ地方でもなく、ましてやオランダでもない。また、立ち並ぶ風車もそのような旅情を感じさせる、クラシックな代物でもない。

それは、風力発電用の近代的な風車群であった。

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<丘の風車>MZ-3/50mm/RVP F

このときはリスボンからオビドスというチャーミングな小都市に向かうところであった。高速道路脇にある丘陵地帯に無数の風車が忽然と出現する。調べてみたら、ポルトガルは原子力発電所をいっさい持たない国なのであった。

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2007年7月 7日 (土)

民泊体験

テレビ番組「田舎に泊まろう」ではないが、海外で一般の民家に泊まらせてもらったことが一度だけある。もっとも、こちらから頼んで、その見返りに家事を手伝うというわけではなくて、宿替わりなのである。もちろん料金も支払った。

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<ポルト行き国際列車>MZ3/28-105mm/Fujicolor Super400

その日、スペインのビーゴから1日2本だけある国際列車に乗ってポルトガルのヴィアナ・ド・カステロにたどり着く。国際列車といっても、ビーゴではたったの3両しか車両が連結されていない。乗客もまばらであった。

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<ヴィアナ・ド・カステロ駅>MZ3/28-105mm/Fujicolor Super400

スペインの8月はかなり暑かった。こちらも、イベリア半島の夏を意識して暑さ対策はしていたものの、その反対の用意は一切してこなかった。しかし、列車がスペイン・ポルトガル間の国境ミーニョ川を越えたあたりから気温がぐんぐんと下がりはじめる。正直言って寒いくらいである。

列車は目的地のヴィアナ・ド・カステロへ到着。これから宿探しという時に、ちょっとくたびれた感じのおばさんが紙を手にして近寄ってきた。それによると、部屋を1泊25ユーロで提供するというのである。これは振り切り、宿をいくつか当たる。しかし、ことごとく部屋はないとのこと。メインストリートに戻ると、例のおばさんがあとをつけてきたかのようににんまりと微笑む。「しょうがないな。おばさんのところに世話になるよ」と日本語で呟いた。

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2007年6月 4日 (月)

夏の旅が決定

お知らせです。夏の旅行が決まりました。まあ、某所ではすでに明かしていましたが、リスボンin、カサブランカoutの航空券をすでに発券済みです。

そう、今回はポルトガル~スペイン~モロッコというすべて陸路(一部海路)による移動旅です。一昨年ローマからパリまでの移動旅を行ったことで、「陸路での移動」「国境越え」というテーマを追求したくなっていました。

イベリア半島に関しては何度か訪れていて、バルセロナを除きすべて陸路移動で道はすでに繋がっているのですが、モロッコに関してはフェズやメクネスなど行ったことはあっても記憶が薄れている箇所や未踏の地もあり、この際全部繋げてしまったらどうかなと思いました。

で、日程調整をして仮想ルートを考えたら、なんとか手持ちの期間で回れることが判明したので、旅行会社に行ったら、簡単にチケットが取れたことで、決定です。すでに入金済み。もう引き返せません。

いずれもなじみの地域ですが、楽しみはたくさんありそうです。

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<ヴィーニョ・ヴェルデ>Coolpix880

ポルトガルでの楽しみのひとつ、発泡性のワインVinho Verde。これは輸送に弱くまず現地でしかお目にかかれません。ポルトガル語では「緑のワイン」ということになりますが、白がメジャーかな。原産地に近いポルトまで行くとヴィーニョ・ヴェルデの赤もあります。

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<シーフード・リゾット>Coolpix880

Arroz de Marisco。ポルトガル料理は量が多いです。これが一人前。この鍋から皿に移して何杯も食べられますね。マカオでポルトガル料理に触発されてしまい、行きたくなったのも事実です。

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<ガスパッチョ>Coolpix880

正式にはGazpacho Andaluz。暑い真夏でもさらっと行ける冷製スープ。角切り野菜とパンを好みで入れます。アンダルシア料理。

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<ナバーラ風マス料理>Coolpix880

生ハムが乗っているのがナバーラ風。スペインの生ハム、ハモン・イベリコやハモン・セラーノは世界一の美味さです。

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<チキン・タジン>Ixy digital500

モロッコといえば、やはりタジンでしょう。味付けは店や家庭によって異なり、どこで食べてもまずはずれがない味。

…ということで、やっぱり料理から紹介してしまいました。今のところ、だいたいのルートは決定していますが、ここではまだあかしません。行くのは8月と先になります。旅レポはおおそらく9月になってからですね。

とりあえずご報告まで。

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