カテゴリー「Music Talk」の166件の記事

2023年5月22日 (月)

Queenのターニングポイント

かすてら音楽夜話Vol.166

今回、何度目かのQueenを取り上げます。

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見慣れた1980年頃のQueenです。

左から、Roger Taylor(ロジャー・テイラー:Drums)、John Deacon(ジョン・ディーコン:Bass)、Freddie Mercury(フレディ・マーキュリー:Vocal Keyboard)、Brian May(ブライアン・メイ:Guitar)という不動のラインナップです。フレディが唯一無二のヴォーカリストですが、ロジャー・テイラーが歌う曲もアルバム中にはあります。そして、全員が曲作りをします。

さて、クイーンというと誰もが認めるビッグな存在なんですが、デビュー時にはまったくメディアからは認められないバンドでした。

デビューは1973年のアルバム『Queen』(邦題「戦慄の王女」)でしたが、当初から多重録音による重厚なコーラスとたった4人による演奏とは思えない複雑な曲の展開などに、イギリスの評論家たちはそれまでのロックの概念から外れていたため、酷評されることが多かったです。しかし、翌年のセカンドアルバム『Queen II』の全英5位という結果に引っ張られるように、デビューアルバムのチャートインし、1976年に24位まで上昇するというロングヒットとなったのです。

クイーンもアメリカ進出を果たしたのですが、まだまだトップバンドとは認められず、人気に火が付いたのは日本だったのでした。

これは日本だけの話かもしれませんが、The Beatles(ビートルズ)の解散以来、第二のビートルズ、ネクスト・ビートルズを探し当てて、またひと山当ててやろうという風潮がレコード会社や興行会社…いわゆるギョーカイにはあったように思えます。

すなわち、イギリスから発掘してきたバンドをその座に据えようというような。

それが、Bay City Rollers(ベイシティローラーズ)などであり、売り込む対象はティーンエイジャーの女子です。レコードを売り出すだけじゃなくて、今でいう「ヘビーローテーション」(音楽番組などで集中的にその曲を流すこと)を行い、「明星」「平凡」にとどまらず、学習雑誌(「中〇時代」「中〇コース」などなど)にも、カラーページを掲載、果てはバンドを招聘し、本国でも演奏したことのない、武道館などのデカい箱でライヴを行わせたりしました。

なんと、その中にですね、クイーンも入っていたのです。クイーンファンもフレディがインド人でゾロアスター教徒であること、今でいうLGBTQであること(もしかしたら、当時はLGBTQではなかったかもしれませんが)も誰もが知る由もなく、長髪で髭もありませんでしたので、ドラムのロジャーとともに女子にキャーキャーいわれていたものです。

 

映像は1977年発売のアルバム『News Of The World』収録の「We Are The Champions」(邦題「伝説のチャンピオン」)でした。

こんな感じのライブ(映像自体はオフィシャルビデオで、オリジナルのシングル音源に映像を重ねたものです)をやっていたわけです。でも、フレディの衣装が身体にぴったりと張り付くタイツで、胸元が大きくあき胸毛が強調されております。フレディが過激になっていく前段階ともいえますね。

1970年代中期から始まったイギリスのバンドの日本における一大プロモーションはベイシティローラーズの人気の陰りもあって、すでに下火になっていました。クイーンもすでに「Bohemian Rhapsody」をリリースしていて、アメリカでも知名度は高まっていた頃ですが、まだ「絶対」という存在ではありませんでした。

ベイシティローラーズが「Saturday Night」でビルボード1位を獲得しているというのに、この曲でも4位止まり。その後も、ヌード女性が自転車レースをするというジャケットの話題作「Bicycle Race」等をリリースしていましたが、どうもぱっとしませんでした。

そこで、ある種の方向転換を図ります。

 

1979年リリースのシングル、「Crazy Little Thing Called Love」(邦題「愛という名の欲望」)です。

フレディをはじめ、全員がライダーズスーツに身を固め、50年代のエルビスを彷彿とさせるような曲調なんですが、これでついにビルボード1位を獲得しました(1位の時点では1980年)。

それにしてもすでにLGBTQになっていたと思われるフレディが女性に囲まれる映像というのもすごい。割り切り方といい、その点はプロです。

さて、この曲は1980年のアルバム『The Game』にも収録された、いわば先行シングルなんです。

トップの画像は、『The Game』からいただいたものです。撮影時点はこのシングルのころと思われます。このアルバム、クイーンがついにシンセサイザーを導入したことが話題になりました。先行シングルでアメリカに浸透したクイーンですので、次に紹介する曲もビルボード1位を獲得します。

 

「Another One Bites The Dust」(邦題「地獄へ道連れ)でした。

先行シングルの時点ではまだフレディに髭はなく、この曲(アルバムからのシングルカットは4枚目)ではもう立派な髭を蓄えております。曲を作ったのはベースのジョン・ディーコンで、これまでほとんどのシングルはフレディかブライアンだったのですが、彼もついに才能を発揮しました。

おまけ

さて、5曲のシングルが収録され、うち2曲がビルボード1位というお買い得のアルバム、『The Game』なんですが、こんな曲もあります。

 

「Don't Try Suicide」(邦題「自殺願望」)。…邦題、意味が逆ですわ。

これ、某氏に聴かせたいですわ。…おあとがよろしいようで。

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2023年5月 5日 (金)

ユーミンの「弟子」

かすてら音楽夜話Vol.165

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閑話休題、1か月ほど音楽話から遠ざかっておりました。

他意はないのですが、旅レポがたまっていたからです。でも、そろそろ次の旅も迫っているということで、旅レポが終わりそうもなく、それをだらだら書いていても、書き手としても新鮮味がありませんので、当ブログのもひとつの柱、こちらも入れていこうと。

さて、画像のイラストはユーミンこと、松任谷由実なんですが、雰囲気出ていますよね。こちら、安西水丸画伯によるアルバム『Pearl Pierce』の中ジャケにあるものです。ど素人の絵じゃありません。

さて、タイトル「弟子」としましたが、職業作曲家や作詞家には弟子が存在します。元祖ニューミュージックともいえる、ユーミンが徒弟制度のようなことをしているはずもないのですが、それでも弟子といえそうな存在の方が数名おります。

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<須藤薫>

最も有名な例としては、沖縄出身の麗美というシンガーを全面サポートしてデビューさせたことが知られています。ですが、彼女の活動は1995年を最後に途絶えております。

ま、わたしゃ彼女についてはほぼ知りませんので、この程度にとどめます。でも、旦那もサポートメンバーに加わり、ここまで厚遇した例は珍しいと思いますね。

 

ワタクシが押したいのは須藤薫なんです。音声のみですが、1980年リリースのアルバム『Surf & Snow』のバックコーラスに全面的に起用された人です。曲は「サーフ天国、スキー天国」です。

昨年リリースされた『ユーミン万歳』に収録されたもので、リミックスされているのでややオリジナルとは音圧などが異なりますが、須藤薫さんのユーミンを追うようなコーラスが印象的です。

残念ながら2013年にお亡くなりになってしまったのですが、ご健在ならば現在69歳。1954年1月生まれのユーミンより1学年下ということになります。

デビューは1979年の12月ということなので、遅咲きながらその実力を買われての起用ですね。その後もコンスタントにアルバムをリリースされていたのですが、ややブランクがあり、1999年に杉真理とのユニット須藤薫&杉真理を結成し、しばらく活動ののち活動が途絶えました。この時すでに病魔が忍び寄っていたものと思われます。

シンガーとしては大成功とまではいきませんでしたが、『Surf & Snow』で一躍注目を集め、その後の活動の糧になったことでしょう。

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<JUJU>

もうひとりは、JUJUです。

この方、wikiでも長らく年齢不詳だったのですが、1976年生まれということがわかりました。

ワタクシが注目するようになったのはNHKで放送されていた旅番組、「世界はほしいモノにあふれてる」からです。三浦春馬と司会を担当(三浦が死去後からは鈴木亮平)していたのですが、番組でのボケ・突っ込み具合が絶妙で、なかなかいいキャラクターだなと思った次第です。

外見とは裏腹ですわ。

そんな彼女が昨年リリースしたのが、『ユーミンをめぐる物語』というカバーアルバムで、もちろん、全曲松任谷由実の曲が並びます。それにしても、ユーミン自身もデビュー50周年ベストアルバムが『ユーミン万歳』ですし、JUJUも「ユーミン」をタイトルに持ってくるというのはなかなかの力業ですわ。

 

つうことで、JUJUヴァージョンの「守ってあげたい」でした。

彼女、NHKの「SONGS」でもユーミンへの思いを深く語っていたんですよね。にしても、「錦鯉」が出てくるとはね。

そして最後は。

 

一十三十一(ヒトミトイ)の「Flash of Light」でした。

この人、ユーミンとのかかわりはほぼないと思われます。

音のつくりもユーミンとは全く異なりますが、この声ですよ。もう間違いなくユーミンを意識してるでしょ。こりゃ、ユーミンの弟子認定ですわ。

曲もミュージックビデオもシャレオツそのもの。途中水着着用の一十三十一も出てくるんですが、このあたりも元祖であるユーミンを意識しているかな。

なんとですね、40年近く前になりますけど、ユーミンもプロモビデオの中で、レオタード着用で歌うシーンだってあるんですぜ。曲は「Destiny」だったかな。それに、葉山マリーナだったかのライヴでは水着でずぶぬれになって歌ってるんですぜ。今じゃ考えられないですけどね。

こんな3曲いかがだったでしょうか。当ブログではアーティストや曲のリクエストも募集しております。コメント欄でその旨、お伝えください。バナークリックで応援もよろしくお願いします。


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2023年4月 3日 (月)

星になった「教授」

かすてら音楽夜話Vol.164

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まさかのニュースが流れてきました。通常更新を変更して急遽書きました。

詳しくはメディア等の報道がありますので、省略したいと思いますが、Yellow Magic Orchestra(YMO)の3人のうち二人が相次いで亡くなるなんて。

残された細野晴臣さんにしてみれば、自分より年下の二人がこんなことになるなんてと思っているでしょう。

教授の功績としては、YMOをはじめとし、ミュージシャンのみならず、俳優としても活躍されました。

今回は2曲ほどを紹介しつつ、哀悼の意を表したいと思います。

 

1982年の忌野清志郎とのコラボ曲、「い・け・な・い・ルージュマジック」(作詞作曲:忌野清志郎、坂本龍一 編曲:忌野清志郎、坂本龍一)でした。

やや軽めですけど、当時の資生堂春のキャンペーンソングでオリコン1位を獲得しています。ちなみに、前年の資生堂のキャンペーンソングは、松原みきの「ニートな午後3時」でして、ライバル会社カネボウのキャンペーンソングは当時の奥さんであった矢野顕子の「春咲小紅」でした。

また、YMOとして、翌1983年に「君に、胸キュン」をリリースしており、こちらがカネボウの春のキャンペーンソングとなっています。

 

もう1曲は、YMOのアルバム『Solid State Survivor』収録の「Behind The Musk」(作詞:クリス・モズデル 作曲:坂本龍一 編曲:Yellow Magic Orchestra)でした。

この曲は、マイケル・ジャクソンやエリック・クラプトンなどの大物もカバーしています。

とりわけ原曲に忠実なのがこちら。

 

斉藤和義のアルバム『55 Stones』のオープニング曲です。これをほぼひとりでの多重録音で演奏してます。テクノというよりはギター中心で再現してみましたというものですが。

斉藤和義はコロナ禍になってからリリースしたアルバム『202020』のオープニングでもギターインストゥルメントの「傷だらけの天使」をカバーしてますね。

天に召されてしまった教授ですが、幸宏さんや清志郎とコラボしてるんだろうなあ…。合掌。

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2023年3月30日 (木)

真心ブラザーズ+PUFFY

かすてら音楽夜話Vol.163

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今回の話は真心ブラザーズです。

さて、真心ブラザーズですが、1988年に早稲田の音楽サークルに所属していた1967年生まれの倉持陽一(のちにYO-KINGをアーティスト名に改名)と1968年生まれの桜井秀俊の先輩・後輩二人組が「パラダイスGoGo!!」という番組内の「勝ち抜きフォーク合戦」に出場するために結成したギターデュオです。

ふたりともギターとヴォーカルです。それぞれと共作で曲作りもしていますが、どちらかというと、YO-KINGがメインのヴォーカルで、桜井がコーラスとリードギター。YO-KINGはギターを持たずに歌に専念することもあります。

このコーナーで圧倒的な実力で勝ち抜き、翌1989年にレコードデビューしました。在学中ということになります。なにしろ、司会のなぎら健壱と審査員のかまやつひろし、山田パンダが絶賛でしたから。

番組コンセプトとしてはその少し後に始まる「イカ天」と同様ですが、イカ天当時のバンドブームに飲み込まれていたら、現在の真心ブラザーズは存在しなかったかもしれません。

彼らのシングルはいずれもチャートインはするものの、Top10に入った曲はひとつもありません。ですが、今回紹介する曲、2つはみなさんご存じかと。超絶有名だと思います。

 

真心ブラザーズの「どか~ん」(作詞作曲:The 真心ブラザーズ)でした。1990年リリースの4枚目のシングルです。こちら、日産自動車ADバンのタイアップが付き、オリコンチャートは57位。

ADバンといいますと、4ナンバーの商用車ですので、非常に地味です。需要は間違いなく企業で、個人使用はよほどマニアックな人に限られると思われます。ならば、無理やりCMを作らなくともと思いますが、当時バブルが崩壊していたといっても、日本の企業だけでなく日本全体に何か余力のようなものがあったといえますね。現在なら絶対に無理です。

この曲はタイアップよりも、テレビ朝日の「ニュースステーション」のプロ野球のコーナーで流れていたので、ずいぶんと知られているはずですね。

一応、二人の作とクレジットされていますが、YO-KINGが作った曲のようです。

 

さらに有名なのがこちら、「モルツのテーマ」(作詞作曲:桜井秀俊)ですね。1992年のシングル、「真夏といえども」のカップリング曲です。

オリコンチャートでは73位ですので、ほぼタイトル曲は知られていないはず。ですが、このB面曲がまたしても大企業、サントリーのタイアップが付き、ほぼ毎日、萩原健一の「美味いんだな、これが…」というセリフとともにお茶の間に流れたのですね。

非常に荒い映像かつフラッシュバックのような連続で見づらいものですが、真心ブラザーズの12枚目のシングル、「Summer Nude」(作詞:桜井秀俊・倉持陽一 作曲:桜井秀俊、オリコンシングルチャート85位、1995年)でした。

この曲、それでも日清食品のタイアップが付き、当時それなりに流れていたと思います。

この映像の浜辺のシーンで登場するふたりの女性がデビュー前のPUFFYというか、大貫亜美(スカート姿で背の低い方)と吉村由美(ジーンズ姿で背の高い方)なんですね。

この当時PUFFYは結成されておらず、亜美と由美はそれぞれソロデビューを目指していたといいます。そして、二人ともソニーミュージック所属のタレントでもありました。真心ブラザーズもソニーミュージックのアーティストで、ここで4人が出演するミュージックビデオが制作されたというわけです。ちなみに、PUFFYがデビューするのは1996年です。

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ところで、この「Summer NUde」はカップヌードルのCMが前提で作られた曲のため、1997年に自らリメイクし、「Endless Summer Nude」として再びシングルになりました。その甲斐あってか、オリコンチャートはオリジナルよりも上位の41位を記録しました。

さあ、そんな真心ブラザーズ、地味ですが佳曲もありますので、また紹介したいと思います。YO-KINGの味わい深いヴォーカル、いいですよ。

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2023年3月17日 (金)

フットボール応援歌

かすてら音楽夜話Vol.162

WBC、盛り上がっているようです。もしかしたら、TBSとテレビ朝日だけなのかもしれませんが。

さて、昨年のFIFAワールドカップ、あの熱狂はどこへ行ったのか。もっとも、現在、次回のワールドカップ予選も行われていませんので、これは仕方ないのかも。

つうことで、こちらも忘れていませんかと、フットボール関連の曲を。…と、申しましてもこれは野球ではおよびつかないほど無数の曲がありますので、ひとつのチャント(応援歌)について取り上げます。

 

わかりますかね。元歌は「Go West」というものです。

調べていくと、1995年に日本代表のチャントとしてカバーされたものが使用されたようです。そして、FIFAワールドカップ2006でも、試合後に流されたとあります。

 

それは、イギリスのデュオ、Pet Shop Boysによるもので、映像は彼らの公式YouTubeチャンネルのオフィシャルビデオですね。

どこか旧社会主義国(東側、ワルシャワ条約機構構成国)を皮肉って西側(NATO)に「行け!」と歌っているような映像です。もちろん、ドイツ大会の映像ではこちらは使われていないと思うんですが、ジーコジャパンの当時ですから、もう記憶の彼方ですわ。でも、音楽はこちらですね。

いやー、これ、今ロシアのプーさんが見たら、絶対激怒するでしょう。でも、この曲がリリースされたのは1993年で、1991年にはソ連が崩壊。こういう内容のミュージックビデオでも全く問題ないとみなされているはずで。

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さて、ペットショップボーイズによる「Go West」はカバーなんです。原曲を歌っていたのは、こちら、Village Peopleなんですね。そう、アメリカのゲイカルチャーを代表したような人たち。

「ギャランドゥ」のヒデキ氏も若き頃カバーした「Y.M.C.A.」(西城秀樹盤は「Young Man(Y.M.C.A.)」のビルボード2位のメガヒットを持つ人たちですね。なんと、年間チャートでもシングル1位を取っていないというのに、2位ですよ。

 

こちらが、オリジナルの「Go West」。1979年リリースで、ビルボード45位に沈んでおります。

映像はおそらくテレビ出演時のものみたいですが、演奏から歌いまわし方までシングルの音源そのままで、口パクであると思われます。ヴィレッジピープルはゲイをコンセプトとしたディスコサウンド調のグループなんですが、実はレコーディングのヴォーカルとコーラスは別人が担当しているという話もあります。

よくよく考えてみれば、ヴォーカルだけはきちんと歌える人物を立ててきたようなんですが、あとのメンバーはいかにもそれ風(ゲイ風、あるいはコスプレにふさわしい)の人物をスカウトしてきたり、メンバー募集で集めたようなので、あて振りも仕方ないことなのかも。

そして、デビュー直後の「Y.M.C.A.」や「In The Navy」などをよりどころにして数多くのヴァージョン違いも作っています。これは、ディスコでかける曲としては3分くらいでは短いということでの需要があったようです。そのため、「Go West」にもいくつかのヴァージョンが存在するようです。

さて、ヴィレッジピープル、数少ないヒット曲ではありますが、世界的にはやりましたので、相当な収益があったと思われます。「Go West」は45位に沈んだといいましても、その後のペットショップボーイズのカバー及び、ワールドカップでの曲の使用と合わせますと、ヴィレッジピープルの仕掛人で作曲者のJacques Morali(ジャック・モラリ、フランス人)には相当金が動いたのではないでしょうか。もっとも、彼は1991年にエイズにより亡くなってますけど。

余談ですが、ヴィレッジピープルの結成からデビューまでを描いた伝記的映画「Can't Stop Music」(1980年)も作られていて、記念すべき第1回ゴールデンラズベリー賞の最低作品賞と最低脚本賞の2部門で大賞を受賞しております。ちなみに、アル・パチーノ主演の「Cruising」というゲイをモチーフにしたサスペンス映画も最低作品賞にノミネートされていたのでした。

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2023年3月 8日 (水)

野球にまつわる曲、ジャーニーは聴き飽きた

かすてら音楽夜話Vol.161

 

いきなりのJourney、「Separate Ways」(1983年)でした。

この曲、連日流れているんですが、WBC(World Baseball Classic)や侍Japanのテーマソングというわけではないんですね。

TBSがこの大会のキー局のひとつなんですが、この第3回大会(2013年)からこの曲をテーマソングにしているみたいです。

この曲は1983年のビルボードのシングルチャートで8位にランクインしています。この曲が収録されたアルバム『Frontiers』は惜しくもアルバムチャートで2位にとどまりましたが、その時1位にいたのはMichael Jacksonの『Thriller』というモンスターアルバムなのでした。

ところで、この曲自体は男女の別れをテーマにしたもので、まるで野球とは関係ないんですよね。当時の番組関係者がよほどジャーニー好きだったのか、曲調が野球にふさわしいと思ったのかどうか。

だとしても、ジャーニーを長らく使うということはどういうことなんでしょうか。FIFAワールドカップとかオリンピックならば予算もかなりつくので、日本人のミュージシャンに曲を発注することは、放送局ごとに行われているようなので、よほど予算がないと思われます。ちなみに、同じくWBCを放送するテレビ朝日には特定のテーマソングはないようです。これまた、予算がないんでしょうね。

よって、放送による印税はジャーニー並びに、曲を作ったJonathan CainとSteve Perryに流れるのみか。

発注は無理でも、かつてこの日本でも野球のことを曲にした「大御所」がいたんですけどね。

 

松任谷由実の「まぶしい草野球」でした。

こちら、ユーミンの公式YouTubeチャンネルでもアップされていないので、やむを得ず、「不二家ソフトエクレア」のCMを持ってきました(削除の可能性大です)。

「まぶしい草野球」は1980年リリースのアルバム『Surf & Snow』に収録された曲ですので、ソフトエクレアとのタイアップは1980年以降になりますか。アルバム『Surf & Snow』自体が当時のユーミンのお約束みたいなもので、年末のリリースですので1981年以降のタイアップであるともいえましょう。

この映像ではわからないのですが、ソフトエクレアのCM集という映像もあって、他に「やさしさにつつまれたなら」も使われているし、CM用にユーミンが「♪ソフトエクレア~」というフレーズを挿入しているヴァージョンもありますね。

今や大御所となったユーミンではありますが、40年以上前は結構地味な仕事もしていたと。

「まぶしい草野球」ですが、オリジナルの曲間にはスタジアムの歓声とか売り子なのか野次なのか、アメリカ人と思われる男性の声も挿入されます。これが現地の球場(Ball Park)の音を拾ってきたものなのか、あるいはエンジニアのSEによる合成なのかは不明ですが、草野球というよりはプロのゲームの雰囲気が伝わってきます。

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そして、もうひとりの大御所、それは浜田省吾です。

 

こちら、「Baseball Kid's Rock」は1990年リリースのアルバム、『誰がために鐘は鳴る』収録の2曲目ですね。

ピークを過ぎたプロ野球選手をモチーフにした曲です。モデルは高橋慶彦であるとのことですが、この1990年に高橋は広島からロッテにトレードされていますね。浜田が広島出身ということもあるのでしょうが、高橋とは親交があったとのことです。もっとも、高橋は東京出身なんですが。

脱線しますが、村上龍の小説に「走れ!タカハシ」という作品もあります。愛された選手だったんですね。

さて、浜田自身も広島の呉三津田高校時代、野球部に所属していたそうで、映像にもあるようにライヴでの野球のシーンも挿入されています。これは間違いなくユーミンよりも野球に対する思い入れは深いでしょう。

YouTubeの映像はDVD作品、『Road Out "Movie"」(1996年)収録のものですが、ライヴシーンは1991年のツアーのものです。また、挿入された冒頭と最後の野球シーン、浜田が投げて浜田が打ち、浜田がボールをキャッチ…って、そのまんま「浜省だらけの野球対決」そのものですやん。

と、日本人による野球がテーマの曲を紹介しました。

WBC自体はFIFAワールドカップに比べてどうということないよなと思っていたんです。でも、大谷翔平が初めて出場した阪神戦(壮行試合)をつい見ちゃいました。いやあ、これ、オータニさーん、とんでもない進化を遂げていますね。侍Japan(この呼び名も好きじゃない)の勝敗はどうでもいいんですが、大谷だけは注目したいです。あと、ヌートバーも東南アジアにいるファランと真逆にいい奴みたいですよね。ま、ともかく頑張ってください。

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2023年2月25日 (土)

あれからもう1年

かすてら音楽夜話Vol.160

24日でロシアによるウクライナ侵攻から1年が経ちました。戦闘はいまだに継続しています。

これまでさんざんロシアの力による現状変更については、あちこちで連日批判されてますので、ここではこれ以上申し上げることはありませんが、個人的な考えとしては、「反ロシア」であることに変わりありません。

さて、世の中に戦争や紛争というものは規模はともかく、毎年どこかで起こっているともいわれています。今回は堅い話になりますが、こんなことを…。

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<PENTAX K-7/FA35mm>

ウクライナに隠れて、忘れちゃいけないのがミャンマーです。2021年2月に軍事クーデターが起こり、その後は内戦状態。軍事政権は国の発展よりも自らの利権を第一と思っているらしい。

そして、シリアにアフガニスタン。強権国家に民族紛争、大国の利権等が絡むと事情がどんどん複雑になってきますね。沢木耕太郎氏の時代はアフガニスタンを自由に旅できたし、ワタクシの勤務先ではかつてアフガニスタンを旅行したことのあるという人もいたくらいです。沢木氏が最も印象に残る風景はアフガニスタンなのだそうです。とても綺麗だったと。

ワタクシもツアーでしたが、シリアに行ったことがあるんです。その時はダマスカスとクラックドシュバリエ、パルミラまででしたが。アレッポなども見てみたかったです。

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<K-7/DA50-200mm>

さて、話を東南アジアに移します。現在は安定した状態にあると思える、ミャンマーを除く大陸部の東南アジア諸国ですが、我々の考える民主主義とは呼べない国家群なんですね。

ベトナムとラオスは社会主義国家であり、一党独裁です。民意で選ばれた議員や指導者がいません。

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<K-7/DA50-200mm>

カンボジアはフンセンが38年間も首相の座にあり、野党党首を逮捕、野党は解散。後継者は自身の長男とするなど、政権をほぼ私物化するような状態です。

タイは軍事クーデター後にようやく総選挙を行いましたが、一定数の軍人が選挙と関係なく議員とされているため、クーデターを起こしたプラユットの首相職は当面続きそうです。

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<PENTAX MZ-3/Sigma20mm>

アジアの優等生ともいえるシンガポールですが、実質は与党人民行動党の一党独裁に近いものがあります。

マレーシアは比較的民主的に見えますが、首相候補をでっちあげに近い罪状で逮捕し、政治生命を葬りかけたことのあるような政争のあったことで知られます。

まあ、この中でもシンガポールとマレーシアは安全な方で、旅行者がいわれもなく拘束されるようなことはないと思いますが。ちょっと前のタイのトラブルはチケットを持っていても出国できないようなひどいことになっていたことも、忘れてはならないですね。

やっぱりというか、強権国家って嫌ですねえ。

実はヤムの会などでもお会いし、その後も交流のある某氏がウクライナに行っているみたいです。

先日バイデンがキーウを訪問しゼレンスキーと会っていた報道があり、その時にも空襲警報のサイレンが鳴り響いていたというものでした。あれはサイレン自体が「やらせ」であるとの話もあり、キーウをはじめとするウクライナ中部から西部にかけては比較的安全ではないかとは思うんですけどね。

ご本人の消息がたまにInstagramであるだけで詳しいことはわかっておりません。多分、ウクライナ南東部へは本人が行きたいといっても、一介の旅行者なんで止められると思いますけどね。

つうことで、これ以上御託は並べず、この曲をお聴きください。

 

NENAの「99 Luftballons」(邦題「ロックバルーンは99」1983年)でした。

NENAは西ドイツ(当時)のバンドというかヴォーカルのネーナのプロジェクトみたいなグループです。今回はドイツ語版ですが、西ドイツのチャートで1位を取り、その後、ビルボードのシングルチャートでも2位を記録するという曲です。その後、英語ヴァージョンもリリースされました。

当時の状況ですので、米ソの対立があり、西ドイツにNATOのミサイルが配備され…風船が地平線のかなたに飛んで行ったら、あの国では未確認飛行物体としてスクランブル状態になるかも…みたいな内容のようです。

ま、この1年後にウクライナの状況がいい方に向かっていることを期待しましょう。そして、評論家の石平氏が無能と評価するどこかの国の指導者が、南シナ海付近で無謀なことを行わないようにもね。あと、北の王朝のボンも、ええ加減にしときや~。

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2023年2月11日 (土)

ミケポスカフェで音楽談義

かすてら音楽夜話Vol.159

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1月の寒い日、ミケポスカフェに再びお邪魔いたしました。

この日はワタクシひとりではなく、トーマスさんをお誘いいたしました。

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というのも、オーナーさんにお借りしたイカ天ビデオを返却することと、自宅編集したDVDをお渡しするためでもあります。その自宅編集のDVDには偶然再発見した知子のロックの出演シーンを付け加えたんですね。これは、何が何でもトーマスさんにお渡ししなくては。

オーナーさんにオーダーしておいた豆腐グラタンで身体が温まります。これ、ヘルシーですし、自分好みのベーコンも入っていて大変美味しゅうございました。

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このカリカリのバゲットにつけて味わって、さらに美味しくなります。

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付け合わせのピクルスとも相性がいいです。

さて、音楽好きな3人が集うということで、トーマスさんから「シティポップスを語りつくしましょう」という命題が出ておりましたので、3枚ほどCDを持参しました。

1枚目『Back To The Street』。佐野元春のデビューアルバムです。
2枚目『Pocket Park』。松原みきの同じくデビューアルバムです。
3枚目『Asami Kado Twin Very Best Collection』。門あさ美のテイチク時代のシングルAB面曲とアルバム中の佳曲をセレクトしたものです。

この演奏はスカスカだけど、わざと狙っているとか。唯一の男性とのデュエット曲で、その相手の出自がかなりレアなグループのヴォーカルであるとか。デビューアルバムにしては超一流のスタジオミュージシャンを起用していて贅沢であるとか。キャリアを重ねてファンの琴線をつかむような声の仕上がりになってきただの。

オーナーさんとトーマスさんからも結構貴重な情報が語られたり。

ま、詳しいことは後日、別件で記事にいたします。

逆にですね、トーマスさんからワタクシの知らなかった人たちの情報ももたらされましたので、まあ、お聴きください。

 

阿佐ヶ谷ロマンティクスで「独り言」でした。

トーマスさん曰く、「はっぴいえんどが中央線沿線で素敵な女性ヴォーカルを発見し結成したようなバンド」。

このアルバムは2022年1月のリリース。シングル「独り言」は2019年12月のリリースとあります。とりわけ、「独り言」はストリーミングで50万回以上再生され、海外での評価も高いです。それを反映するようにアルバムラストは「Hitorigoto」という、「独り言」の英語によるセルフカバーですね。

今や数少なくなった地上波での音楽番組ですが、そこに頻繁に出演する現在のトレンドの人たちとは一線を画していて、時代とか最先端とはまるで関係なく肩の力を抜いている感じですね。

そして。

 

滝沢洋一、「シティバード」でした。ビートたけしに提供した曲のセルフカバーみたいです。

この方も初耳。なんでも、「ニューミュージック」という言葉を初めて電波で使った方だとか。

わたしゃ、数々の曲を聞かせてもらい、大瀧詠一が「Niagara Triangle Vol.2」でこの方を起用していたら、今の音楽シーンはかなり変わっていただろうと感じました。

滝沢氏は不遇の人で、残したアルバムはこの曲を含んだ『レオニズの彼方に』の1枚だけ。セカンドアルバムは収録が済んでいたものの、発売延期となりいまだに音源化されていません。

その間、あまたのシンガーやグループに曲提供をしていましたが、2006年にお亡くなりになっています。是非ともどこかで発売してほしいものです。とはいえ、Apple Musicなどでストリーミング化されているみたいです。

最後は。

 

一十三十一(ヒトミトイ)で「悲しいくらいダイヤモンド」でした。

声とかテイストが若き日のニューミュージック界の大御所に似てません?しかも、曲のタイトルもどことなく大御所を彷彿とさせるんですよね。

でも、オリジナリティがあるし、曲それぞれが心地いい。これ、十分に「聴き流せる」音楽として、ドライブのお供になりますよね。

いやー、トーマスさん、GSや昭和歌謡だけじゃないんですね。あらためて、トーマスさんの懐の広さを知りましたです。

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こちら、町田からお持ちいたしました、「学園ぽてと」でございます。直近数か月で3人ともひとつ歳を重ねたということで。

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そして、トーマスさんに頂きました。本当にありがとうございます。こちらももちろん、USBに入れまして、ドライブのお供となっております。

この日は平日にもかかわらず、ミケポスカフェではギャラリーを見にやってくる方がひっきりなしでして、オーナーさん忙しそうで、あまり深く音楽談義はできなかったんですよね。

さて、次はこの続編とかあるいは洋楽編。GSでもいいですよ。それまで、ネタを仕込んでおきます。次回は4名でできるといいですね。

ミケポスカフェ

<今回の画像データはすべてCANON PowerShot SX730HSでした>

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2023年2月 2日 (木)

逝く人、復活の人

かすてら音楽夜話Vol.158

悲報

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*イメージです

先月末、シーナ&ザ・ロケッツのギタリスト、鮎川誠さんがすい臓がんのためお亡くなりになりました。

伝説のサンハウス時代から九州は博多から日本のロックをけん引してきた人です。シーナ&ザ・ロケッツとしては東京に進出し、博多のロック、「めんたいロック」の代表格として48年間頑張ってきました。

奥さんのシーナが2015年に亡くなってからも、その悲しみをこらえてバンドを続けてきました。

 

このところ、ミュージシャンの相次ぐ悲報になんともやりきれない気持ちです。

ですが、鮎川さん、シーナさんの元に戻って、大好きなギターを弾きまくっているんじゃないでしょうかね。シーナさんはもちろん歌でね。という風に考えないと参っちゃいますよ。

<2023/02/06追記>
深夜番組のドキュメントで、鮎川誠さんを追ったものが放送されました。シーナ&ザ・ロケッツのアルファベット表記ですが、「Sheena & The Rokkets」です。これはシーナさんの本名、悦子とロックを掛け合わせたものだったとか。

そして、がん進行中と思われる映像の中でもたばこ片手にインタビューに答える。そして、全然弱みを見せずに最後までかっこいいロッカーでしたね。先日のロック葬もものすごい弔問客だったそうです。ご冥福をお祈りいたします。

朗報

その一方、明るいニュースが。

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2000年に解散していた、The Street Sliders(ストリートスライダーズ)が、活動再開します。それも、いきなり武道館公演です(5月3日)。

ヴォーカル&ギターのハリー(村越弘明)は2021年に肺がんの治療中であることを公式に発表していました。手術で除去するのが難しい場所で、化学療法を行っているようです。発表時には既に退院し、治療を続けているということですが。

 

ハリーはちょっと心配なんですが、状態がいいのならば、年数回でいいので、ライヴをやってほしいですね。そして、復活のアルバムも期待しちゃいます。

それでも、ハリーの2022年はライヴを数回行うなど、予想外の元気さを見せてくれていました。わたしゃ、はっきりいって「もう終わった」と思っていたんですよ。

なんと、スライダーズの公式YouTubeチャンネルも開設されました。まだできたばかりで、映像は少ないですがね。これからに期待しましょう。

そして、スライダーズのこれまでのアルバムですが所属のEpicから正式なアナウンスはないものの、ほぼ廃盤状態のような感じで、非常に流通量が少ないんです。これを何とかしてもらいたいですね。

今回、予定していた記事を飛ばして、緊急にアップいたしました。

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2023年1月22日 (日)

時代遅れって素晴らしい

かすてら音楽夜話Vol.157

もはや旬の話題ではないんですが、皆さん大晦日の「紅白歌合戦」ご覧になりましたでしょうか。

わたしゃ、コロナ禍以前は毎年海外に行ってましたので、ほぼ見ておりませんでした。唯一、2007年の第58回は、マラッカに滞在しておりまして、そのホテルでは衛星放送でNHKが映るということがわかり、「推し」である馬場俊英というシンガーソングライターが出るので、時間を見計らって拝見いたしました。ちょっと感動しました。記事

その他、エレファントカシマシや宮本浩次が出るときは予約録画をしました。機種の問題で番組ごとの録画となるので5時間分ありますから、削りに削って3分にする作業もやや面倒なんすけどね。

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さて、2022年の第73回紅白歌合戦ですが、出場歌手が発表された時点ではどうでもよかったんです。しかし、当日になってこの人が企画した5人の同級生たちによる楽曲も特別企画として出るということがわかりました。事前にタイムテーブルも判明したので、23:00頃、録画を始め、生でも見ましたよ。

そう、「時代遅れのRock'n'Roll Band」ですね。メンバーは桑田佳祐、佐野元春、世良公則、Char、野口五郎。五十音順なんすね。

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とりわけ、わたしゃ佐野元春のデビュー以来のディープなファンですから、見逃すわけにはまいりません。いずれも業界歴の長い人たちではありますが、元春とCharは紅白初出場です。

 

以前、ちょっとだけ取り上げたものは、音声のみでしたが、今回はきちんと映像付き。バッキングの大友康平、ハマオカモト、原由子も入ってますし、小学生時代のエピソード(もちろんフィクション)がラストにあります。

「♪燃えろ、いいバンド」という楽屋落ちも。わかりますよね。

さて、NHKの放送では、通常の出場者は楽曲が3分を切るというタイトなスケジュールであるため、イントロからアウトロまでのフルヴァージョンはまず無理で、途中を省略するのが慣例です。まあ、これは他の放送局でも同じで、ミュージックフェアであっても、カウントダウンTVであっても、ミュージックステーションであっても同様。

しかし、今回NHKはいい意味でやってくれました。楽曲がフルヴァージョンであるばかりでなく、登場シーンから教室で昔の同級生(元春を除く)とブルース調の「朝起きたら」とアコースティックヴァージョンの「夜空の星」のセッションもありまして、かなり長いものでした。スタジオ中継だったので、大泉洋と長友の「ブラボー!」が被らなくてよかったです。

「いつも素敵なトラックに乗っている、大友君のカウントで…」という桑田のMCもツボでした。

さて、この曲はさりげなくではあるのですが、「No More No War」という歌詞以外にも争いごとや平和について歌われています。間違いなく、ロシアのウクライナ侵攻がきっかけとなって、この曲は誕生したのだと思いますね。そして、チャリティシングルでもあります。

2020年代、成人年齢が18歳からとなっても、若年層の投票率が上がらず、政権与党が妙な動きをしても、時の政府に異を唱えるのはあたかも悪いことといい切るような若年層が多くなりました。

ですが、今回のロシアの動きはどう考えてもロシアに非があるでしょ。クリミアやウクライナ東部が限りなくロシア色が強いといっても、首都のキーウにミサイル撃ち込まないでしょ。

当たり前のことを楽曲ではありますが、形にした桑田佳祐、あんたは偉い。清志郎が生きていたら、さらに強く行動に出たと思いますがねえ。

はっきりいうと、「時代遅れのRock'n'Roll Band」という曲は、英語ヴァージョンがあるわけでもなく、世界に配信されているわけでもありません。でも、ミュージシャンとしてはっきりと抗議という形を表したということに意義がありますね。

なんか、最後は堅くなってしまいましたが、2022年の締めくくりに、いいものを見せてもらったことに感謝です。元春の紅白初出場がこういう形で実現するというのもよかったです。最近追悼記事ばっかりだったし。

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